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ちょっと変な国語の先生の話

珍問珍答シリーズ その7 「友人紹介」

作者: マボロショ

「人物紹介の文を書こう」という課題学習の時間に、自分の身近な人物だと書きやすいだろうと、

「友人紹介の文を書きなさい。誰のことを書いてもよい。どんな人か想像できるように」という問題を出しました。解答したのは、実業高校1年の生徒たちです。

偏差値的には、低い評価しかしてもらえない彼らが、のびのび、生き生きと筆を取りました。

友だちの個性、自分の個性にあふれる、おもしろい解答が、いっぱいです。昔、昔のことですが、今、読んでも新鮮な印象があると、私は思いました。

その1


A君はいつも頭がボサボサで、バカなことばっかり言っている人気者です。ぼくより少し背が低く、いつもみんなの弁当を追いかけて、おこぼれをねらっています。

授業中は、しゃべり過ぎで、注意されてばかり。たまにまじめになると、女の子の話です。

顔は、ちょっと男前で、女の子には人気があるみたい。そのことで、よく自慢する。自信かじょうな男です。

好物は、フルーツポンチ、ハンバーガーなど、子どもが好きな食べ物ばかり。

嫌いなものは、幽霊。やっぱり、子どもみたいなところがあると思います。


その2


T君はとても危険な人です。通称アイパー君2号と呼んでいます。服装は、だらしいです。でも、髪だけは、ちゃんと、セットして来ています。友人から、お金を借りています。ぼくも、夏休み前に、6000円貸してやりました。でも、いまだに返してくれません。来週の水曜日に返してくれると言っていますが、多分、返してはくれないと思います。とてもイヤな奴です。

しかも、人の弁当を食いあさります。ゴキブリみたいな人です。

今、彼女がほしいと言っています。ほかの友人のところへ、女の子から、「写真を撮らして」と来ると、すごい顔をして、その友人をにらみます。

少しだけやさしいところは、CDを貸してくれることです。ただ、それだけです。ぼくにとっては、CDは貸してくれなくてもいいから、お金を返してほしいです。


その3


A君とぼくは、いつもいっしょに、遊んだり、売店に行ったりしている。たまに口げんかをしたりするけど、すぐに仲よくなる。いつも、自分のことを、シティーボーイと言っている。実習で草取りをする時、なんで、このシティーボーイがこんなことを、せないけんのか、と言っている。そんなこと関係ないけ、早くせいと言ってもしない。

A君はニキビが多い。いつもニキビ予防の緑色の薬を顔にぬっている。


その4


Aは、バイクにくわしい。この前、平和台に野球を見に行った時、八木山峠にバイクがたくさんとめてあった。ほんのちょっとしか見る時間はなかったのに、「あれは、ナントカよ」などと言っていた。ぼくは、全然、そんなことは知らないので、もう、何と言っていたかおぼえてもいないが、多分、彼の言ったことは、合っているだろう。

小使いが月2500円で、バイクの本が500円。あとは、ジュースをよく買うぐらいのものだ。

家に行くと、彼は、たいてい、テレビを見ている。それか、BOOWYの音楽ばかり聴いている。なぜ、あんな音楽が好きなのかわからない。今も、なにか、新しいアルバムを期待しているようだ。

一人で出かける時は、必ずウォークマンを持って行っている。平和台に行った時も、ウォークマンを持っていた。自転車の時にもウォークマンを聴いているが、まわりの音が聞こえないので、あれは危ない。本人は、一応、ボリュームをおさえていると言っているが。

いまだに、車やバイクのプラモデルを組み立てている。べつにモデルを集めるのが楽しいのではなくて、作っている間が楽しいのだそうだ。今、F1の15000円くらいのプラモデルを作りたいと言っている。

本人のほしがっているもの、ベスト5。第1位は、だんとつのバイク。2位は一人部屋。3位からは、ミニコンポ、F1のプラモデル、自転車、だ。欲が深いなあと思う。全部で4,5百万はかかりそうだ。これも、夢のまた夢であろう。


その5


A君は、人に、猿に似ているとよく言われます。でも、本人は、そんなこと気してはいないようで、そんなに猿に似ちょるかと、笑いながら、ぼくに聞きます。明るい友人です。

彼は釣り好きらしく、よく、川や池などに行っています。この前も、ぼくに、どこか、よく釣れる場所を教えてくれと、聞きに来ました。テスト中でも平気で釣りに行ったりします。だから、あまり、成績はよくないようです。

ぼくと二人で、テレビゲームのマネをして遊ぶこともあります。遊ぶというより、一方的に、ぼくが彼をやっつけるだけです。少し、手を出すこともありますが。

ほんとのテレビゲームも好きらしく、よく、ほかの友だちに、わからないことを聞いています。これくらい熱心に勉強してくれればと、親ではありませんが、ぼくはそう思います。


その6


カーラーをしてくれるというので、F君の家に行った。へやは、ふとんを敷きっぱなしで、とてもきたなかった。カーラーをするために、ふろ場に行った。まず、パーマ液をつけた。次に、カーラーで、まいてもらった。髪からカーラーを抜く時、F君は、思いっきりひっぱったので、毛が、だいぶぬけた。とてもくやしかった。「もう、1か月は、とれんけ」と言ったのに、次の日には、もうとれていた。ただ、髪の毛を損しただけのような気がする。


その7


A君は、バイクを持っていないのに、持っていると言って、ウソをついています。クラッチやギアなどの操作のまねをしますが、ぜんぜんまちがっています。それでも、本人はひとりで、はしゃいでいます。顔がとても大きくて、髪の毛はちじれていて、まゆ毛は太く、口のまわりのひげが、やけにこゆく、とても人間とはおもわれません。身長は低く、足はみじかく、ふとっています。電車通学なので、電車が来ない時、ひとりで腹をたてて、ぼくらにあたりちらします。どんどん、なぐったりします。みんな、こまっています。


その8


A君は目が細く、ちびまる子ちゃんに出てくる、ながさわ君によく似ていると、みんなから言われています。明るい性格で、女の子には、とてもやさしいです。くつ下は、ちょっとメッシュかかっていて、ぼろいです。髪は天然パーマなのに、自分で、メッシュアイパーパンチとか言って、いかにもポリシーを持ってやっているかのように言っています。こわいところです。そのくせ、自分がやばくなると、「ギャースカ言うな」という言葉を、口ぐせのように言います。


その9


彼は、とてもかっこいい。女にもてもてだ。でも、ぜんぜん、うらやましくはない。その女の子たちの顔が、ピーだからだ。しかし、その中の一人と、彼はつきあっている。すこし、いや、そうとう趣味が悪いと思う。「よく、あんなやつと、つきあっているなあ」と言うと、「おれは、あいつを愛しているんだよ」と言った。


その10


S君は、ふつうの人より色黒である。暗いところにいると、彼はみえないで、目と歯だけが、浮いているようで、びっくりすることもある。

友だちからビデオテープを借りてやる、と言いながら、なかなか借りてくれない。いつも、「わかった。わかった」と言っているが、わかってはいない。

バスケット部に入っているらしいが、あまりうまくはないようだ。いつも、友だちといっしょに、中学校に行って、やっているらしい。しかし、そこでも、うまい方には、入っていないらしい。


その11


彼は、学校にいる時と、ぼくと二人でいる時の性格が、ぜんぜんちがいます。学校にいる時、ぼくが、ちょっとアイドルの話をすると、「何か、このアイドルおたく」などと言うくせに、ぼくの家に来て、アイドルのCDや写真集を見ると、「このCD、かしてくれ」と言う。この前なんか、5枚も借りて帰りました。


その12


彼は、自分で、「おれの口ぐせは、パーフェクト」と言っているが、まわりの人は、「あいつ、バカじゃないの?」と言っている。掃除がすんだら、「パーフェクト」と言うが、ゴミがまだ、かなり残っているやはり、単なるバカとしか、言いようがない。

この間、K君と、かなりはでな口ゲンカをしていた。30分ぐらい続いた。結果は、引き分けであった。

あるアイドルの熱烈なファンで、CDもかなり持っているらしい。そのアイドルのカレンダーが販売中止になったと教えたら、その日一日、機嫌が悪かった。


その13


彼は、入学してしばらく、とっても静かで、おとなしい人だった。学校になれたら、ギャグが爆発し始めた。授業中でも、スケベなことを平気で言う。家でも連発するらしい。

タバコで、2回も停学になり、停学のセンパイと呼ばれている。

勉強も、やる時には、きちんとやっている感じで、授業中でも、たくさん発表などしている。

いい人だなあと、ぼくは思っている。


その14


あいつは、やらしい。「おれは、そんなに、やらしくない」と言うが、実は、やらしい。おれたちが女の話をしていると、あいつは、かならずそばに来て、聞きたがる。自分のことを、やらしくないと言って隠すやつは、ムッツリスケベだと思う。あいつも、そうだろう。

「オレやったら、殺しちょうね」とか、大ボラをふく時もあるが、そんなことはできるはずがない。

この前、友人のことを話していたら、あいつが、「オレも知っちょうぞ」と言っていた。しかし、いろいろ聞いてみたら、ほとんど、何も知ってはいなかった。


その15


ライバルは8人いる。みんな、必殺技をもっている。

R君は、冷静で、波動拳を使う。ジャンプでかわしたつもりでいると、後ろまわしげりをくらわしてくる。なかなか強い。が、オレの方が強い。

E君は、動きがおそい。攻撃力はあるけど、オレの方が強い。

B君は、動きがすばやく、手足が長い。そうとう強いが、オレにはかなわない。

G君は、8人の中では一番強い。ソニックブームをしたあと、すぐ攻撃ができるから、倒すには苦労する。けど、オレの方が強い。

K君は、R君と同じ必殺技を使う。しかし、攻撃型の相手だ。こっちが落ち着いて戦ったら楽勝だ。

Cさんは、一人だけ女だ。しかし、女だからといって、手かげんはしない。Cさんは、動きが一番すばやく、すぐ、ジャンプする。そこで、オレが昇龍拳をうつ。このやり方をしたら、倒せる。

Z君は、動きがおそく、ジャンプ力もない。必殺技をくらったら、一番こたえる。だから、近くに来たら、波動拳でビビらす。そしたら、簡単だ。

D君は、手足がのびる。それに火をはく。だから、接近戦にもちこまなくてはならない。そしたら、楽勝だ。

以上、8人、みんな、いいやつだ。

ほかに、四天王もいる。中でも、Bというやつが、とてもわるい。そいつをたおすために、オレたち8人は戦っている。これからも、技にみがきをかけて、がんばらなくっちゃー。





彼らの生き方が、学校、社会、家庭で、それぞれ、どんなだったか、想像できるでしょう?

与えるテーマが、心にひびいたら、生徒たちは、喜んでペンを走らせる、ということの、一つの例と、お認めいただけたら、幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言]  面白い試みですね! こころに残った人物が、 特徴を引きたてられて、 良く描かれてました。
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