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ヤクザと巨獣

17時毎日投稿になるかも


「なんだ?急に頭に気持ち悪い声が響いたぞ?」


「私もですぅ」


「ほう?」


また、頭に野太い声が響いたと思うと突然地面が揺れた。


「うぉ!地震か!…異世界にもプレートとかあるのか?」


「それは意味分かりませんけどぉ、原因あれですよぉ。ヤクザさん」


リタが俺の背後を指すとそこには巨大な影があった。いや、巨大な魔獣だった。ちょうど馬鹿でかい山のトンネルがすっぽり収まるような…


「なぁ、リタ…」


「何ですかぁ?」


「あれはその…」


「お察しの通り、寝顔が不細工なヘビモスですよぅ」


「誰が不細工じゃぁ!」


さっきより、でかく野太い声が頭に響いた。


「ちょ…おま、ヘビモスさん聞こえてるから…お前、ヘビモスさん今冬眠中だっていっていなかったか?あれがヘビモスさんならもう冬眠どころが、完全に目覚めているよね?ものすごくこっち睨んでるし…目ン玉ひん剥いて怖いんだが…」


「さっきまで、ヤクザさんも同じ様な顔していましたよぉ」


「そうじゃなくて、冬眠中のはずのヘビモスさんが起きている理由を説明しろっていっているんだよ!」


「あーそれは、たぶんヤクザさんを神の間からここに送るとき巨大な邪神様の魔力を放出するからですよぅ。別に放出する必要はないのですがぁ、ほら邪神様は適当なところがあるので力加減を考えずに過剰な魔力が放出するのですぅ。その魔力に触発されて起きたのでしょうねぇ。勇者はヤクザさんがここにいるってわかっている理由もそれですよぅ」


「つまり、あのクソ女神のせいだと?」


「まぁ、邪神様が魔力を抑えて送っていただけたらあの不細工は起きなかったわけですし、そうなりますかねぇ?」


ズズンと地震が起こる。


「お前、ヘビモスさんの悪口は自重しろって。空気よめ空気を…それにしても、ホント碌でもねぇなお前の主は…」


「今の主はヤクザさんですよぉ。まぁ、碌でもないことは認めますよぉ。そもそもそういう神様ですし怒っても仕方ありませんよぉ」


「こそこそと話し合いは終わったか?悪の子と邪神の眷属よ」


いつまでもこそこそと話し合っている俺らに痺れを切らしたのか軽く地ならしをしながら問うヘビモスさん。


「いや、そのー話し合いはまだ終わってないので続けたいんすけどぉ…本当にヘビモスさんの眠りを妨げたのは謝ります。すいませんでしたぁ!お願いです俺の話を聞いてください!」


不機嫌なヘビモスさんの態度を察して俺は十八番スライディング土下座を発動した。


俺の目つきを悪さが原因で職質されたときに使い、鍛えられたこのスキル!これで、全て乗り切った信頼の実績がある。


届けヘビモスさんにィィ!


「…一応話は聞いてやろう。だが、下らん理由ならその背中踏み潰すぞ?」


キタアアァ!


どうやら俺の誠意がヘビモスさんに伝わったらしい。ヘビモスさんは会話できるぐらい高い知能を持っているし、ワンチャン話し合いできるのではないかと踏んだがあたりだったようだ。エ○タークみたいに眠りを妨げたら問答無用じゃなくてよかったぁ!


俺の土下座の姿が滑稽なのかくすくすと笑っているリタを横目に見てこれはいけないとリタにも誠意を見せるように促す。


「おい…ぼさっと立っていないで、リタお前もなんかいえ…誠意を見せろ。もう一押しでいけるから」


「分かったですぅ。お任せくださいー」


おお、やってくれるか…という期待はあっさり裏切られた。


Oh…俺はとんでもないものを見てしまった。可愛らしい手から立てている一本の中指。いわゆるFU○Kサイン。


何をしてくれてるんじゃーと思いながらも俺は希望を捨てなかった。


リタの手は小さい、つまりヘビモスさんからしたら見えないのではないかという望みを賭けて、恐る恐るヘビモスさんを見上げると…


額の血管が浮き出ているではないか。


俺は賭けに負けた。仕事しろ「超幸運」


「おい、不細工ぅ!まだ大事な話しが終わっていないので、とっとと眠ってろカスですぅ!寝てその面白顔を観光名所として見世物になるのがいいですぅ!」


「コロロロロロロロロロォォォス!!」


「何してくれてんやワレェェェェェ!!」


ヘビモスさんと俺の絶叫が地鳴りとともに響いた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――



ものすごい地響きとともに後ろから巨体が迫っていた。

あまりの怒りに我を忘れたヘビモスさんである。

そう俺らはヘビモスさんを怒らせて追いかけられていた。


「楽しい追いかけっこですぅ♪」


「ふざけんなゴラァ!誰が挑発しろっていった!せっかく穏便済ませる俺のチャンスを無駄にしやがって!楽しむならお前だけ楽しめこの糞アマ!俺を巻き込むんじゃねぇ!」


俺はヘビモスさんを怒らせた元凶に怒りをぶつけていた。こうでもしないと怒りでヘビモスさんみたいになりそうだ。


「えーヤクザさんが誠意を見せろといったじゃないですかぁ。私はそのままいいたいことぶつけただけですよぅ」


「このKYがぁ!」


俺はほぼ死語になっている言葉でリタを罵る。

落ち着け俺…落ち着ける状況じゃないが頭に血が上っている状態で活路は見えない。

そう俺に言い聞かせて怒りをこらえる。


「フーッ…そういやお前一度ヘビモスさんと追い駆けっこしたと言ったな?お前が挑発するぐらいなんだから逃げ切れる方法があるんだよな?どうやって逃げたか教えろ!」


「えっとぉ、ヘビモスはスタミナに限界があってそのまま逃げ切れましたぁ」


「なにっ!つまりスタミナが切れるまでこのまま走りきればいいんだな!」


なるほどあれだけの巨体を動かすんだ、少し動かすだけでもかなりの労力が必要なはず!希望が見えたぞ!


「で?どのぐらいこのまま逃げ切ればいいんだ?」


「一ヶ月ですぅ」


「…は?」


聞き間違いか?


「一ヶ月ですぅ」


「ふざけんな!こら!どうやって一ヶ月も逃げ切るんだよ!逃げ切れるわけねぇだろうがぁ!」


「私は、半分実体がないような精霊体なのでスタミナとかないのですぅ。なので、私は逃げ切れるのですが…ヤクザさんのことは考慮していなかったですぅ。つい、いつものように行動しまったのですぅ」


あははと笑ながらリタ。


ふざけんな…こいつといい、女神といいどうしょうも無いやつしかいねーのか…


しかし、リタの話が本当だとしたら1ヶ月ぐらい執拗に追い回すってことだろ?それぐらい執念深いってことで…最悪じゃねえか…。


「それにしても、全力で走っているのに少し疲れた程度なんだが…俺の体どうなっているんだ?いや、有り難いけども!」


「それは、ヤクザさんが悪の子になったことで邪神様の加護を得ているからですぅ。なので、身体能力極大向上を得ているのですぅ。でも、限界はあるので逃げ切れないですよぅ」


それは、俺が分かっているよ。くそったれめ!

現に少し疲れているのだ。

もってあと数時間だろう。それでももう人間止めているレベルだが…。


「…なら、俺の力でヘビモスを蹴散らせられると思うか?」


「無理ですぅ。ヤクザさんは、魔物を一匹も倒していないので、ソウルクラスがレベル1の状態ではっきり言って紙屑ですぅ。さらにいうと、ヘビモスは、リヴァィアサン、ジスと並んで神獣と呼ばれている文明が生まれる前から存在する不滅の魔物なのですぅ」


「お前良くそんな魔物に喧嘩売ったな!」


「ちょっと調子乗ったかもしれないですぅ」


「いや、ちょっとどころじゃないから!」


やばい魔物に喧嘩を売る大物のリタにつっ込みを入れつつ生き残る手段を模索した。


てへっ見たいに可愛く舌を出しているがマジで洒落にならないことをしてる自覚はあるのかこいつ…


「一応聞いておくがリタはヘビモスを倒せるか?」


「無理ですぅ。出来て傷を負わせるぐらいなのですぅ」


「あいつに、傷を負わせられるの?すげーなおい!なら、足止めぐらいは出来るよな!そうとなら早く行ってくれればいいものを…」


「ヘビモスは、傷ついても速効で自己治癒してしまうので無理ですねぇ」


「期待していた俺が馬鹿だったよ!」


まぁ、倒せるなら逃げると言う手段をとるわけがないわけで…なおらさなんで喧嘩うってるんだこいつは…


くそっ、何か手はないのか?だが、異世界に来たばっかりのぺーぺーに何が出来るんだ?


あぁ、勇者ならこんなとき逆境からかっこよく倒して万時解決するんだろうが、悲しいことに俺は悪役だ。いったいどうすれば…。


ふと、可能性を見出した。しかし、この選択は現状よりもやばくなる可能性があった。


どうするか…そんなことを考えていると俺はニヤリと嗤った。


「ヤクザさん、思いっきり悪い顔しているのですぅ。悪役の目つきしているのですぅ…」


「うるせー、そんな軽口たたけるなら問題ないな。それより耳かせ。生き残れる手段を考えた」


Q ヘビモスさんの寝顔が気になります

A ご想像にお任せします。誰か書いてくれてもいいんだよ(チラッ


QリタちゃんのFU○Kサインはどこで覚えたのですか?

A「邪神さまがなめられたらこうしろと教えてくれたのですぅ」


Q邪神さま碌でもないですね。

A「ありがとう。お前を『不死身』にして永遠にいたぶってやろう。遠慮することはない」


Qヘビモスさんはリタちゃんを追いかけていた記憶がないのですか?この怒りようなら忘れているとは考えにくいのですが。

A一ヶ月追い回して疲れ果てたのと同時にすっかり忘れてしまいました。


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