ヤクザ地に降りる
投稿は気分です
「名前がヤクザって何だよ…あの女神、ぜってー適当に決めただろ…」
異世界に着くなり愚痴をこぼす。もう、敬称つけずに取り繕うことをしないほど俺の中では女神の評価は低い。
「あははーその通りかもしれませんねーあの方はかなり適当ですからぁー。改めて、ヤクザさんよろしくお願いしますぅ」
「あぁ、よろしくリタ。…で、ここはどこだ?」
あたりを見渡すと木に囲まれていた。薄暗い森だと思うが進むべき道がない。
「んーどうやらロングランド王国の南部に当たる森みたいですねー。転生先が海の上じゃなくて良かったですねー」
「いや、流石にそこまで適当じゃないだろ…じゃないよな?というかリタは俺らの居場所が分かるのか?」
「はい、ここは巨獣ヘビモスというおっきな魔物が生息している森ですよぉ。昔、ヘビモスにちょっかいかけて追いかけっこしたことがあるので覚えていますぅ。あそこの山の穴がヘビモスが通った跡ですよぉ」
あははーと笑いながら説明するリタ。
リタが指した穴とやらをみると馬鹿でかい山に不自然な巨大な穴があった。薄暗いと思ったら山が日差しを遮っていたらしい。巨大なトンネルから僅かに日が差し込んで幻想的で綺麗である。
そんなことを考えているとふと気付いた。
「なぁリタ。ヘビモスっていうのはあんな馬鹿でかい山にアホなぐらい無駄にでかいトンネルを掘るほど巨大なのか?」
「当然ですよぉ。だから巨獣って呼ばれているのですぅー」
「…それってここかなり危険じゃないか?」
「危険か危険じゃないかでいったらまぁ、危険ですよねぇ」
「なんで、そんな楽観的なんだよ…」
あははーと楽しそうに笑うリタを見て頭が痛くなってきた…
「まぁ、ヘビモスはまだ冬眠中なので起こさない限り大丈夫ですよぉー」
「そ、そうか。ならいい、さっさっとこんな危険なところは抜け出そう。ここは、ロングランド王国…というところなんだよな?取りあえず人がいる町に行きたいんだが、どういけばいいんだ?」
「えー?ヘビモスの不細工な面を見に行かなくていいんですかぁ?かなり見ものですよぉ?」
「なんでお前はそんな危険なところに行きたいんだよ…却下だ却下」
「ちぇー、久しぶりに見たかったんですけどねぇ。ロングランド王国の町とか村は覚えていませんが都ならばここを真っ直ぐ行けばあったばずですよぉ」
そういいながら、リタは小さい指をヘビモスのトンネルとは逆の方向に指す。
「おお、信じていいんだな?信じるぞ?」
「なんで、そんな疑うのですかぁ?まぁ、都に行きたいなら止めませんがあんまりお勧めしませんよぉ?」
「なんでだ?異世界で平穏に暮らすなら都が安定するだろ。経済的な面でも安全面でも都が一番なはずだ」
「普通ならそうですよねぇ。でも、もしかして忘れていません?ヤクザさんが悪の子だってことを」
「いや、別に忘れていないが…悪の子と都が何の関係があるんだ?」
「大ありですぅ。都には、悪の子の天敵、勇者がいるのですよぉ。今代の勇者はやばいですぅ。ヤクザさんが悪の子だって知られたら速効で殺されますよぉ?」
「まてまて、俺なんにもしていないんだが!女神がいっていた平穏な世界って嘘なのかよ!悪の子をクーリングオフ希望するぞごらぁ!」
「落ち着いてくださいヤクザさん。邪神様のいっていたことは嘘ではありませんよぉ。その勇者が強すぎてこの世界は平穏なのですよぉ。つまり、そのぐらい世界の平和の象徴である勇者がやばくて、世界の厄災である悪の子にとってはベリーハードなんですぅ」
女神の発言と態度を思い出す。思えばどこかはぐらかそうとしていたし、態度がおかしかった気がする。
「…あの女神重要なことを説明せずに俺をこの世界に送ったってことか…それと邪神といったか?」
「はいー…もしかしてあのお方が邪神だということを知らなかったのですかぁ?てっきり、分かっていた上で悪の子になることを同意したのかとぉ」
「んな、話し聞いてねーわ!あいつ自己紹介のとき女神としか言ってねぇぞ!」
「まぁ、嘘は言っていないですねぇ。邪悪な女神様ですからぁ。あのお方らしいですぅ」
「うるせー!!感心してるんじゃねーよ!」
血管が怒りではちきれそうだ。おそらく、文字通り俺の顔は茹蛸状態になっているだろう。
クスクス笑うリタの顔があのクソ女神にそっくりなことも俺の心をイラたせた。ちょっと可愛いと思っている自分にもイラついていた。
俺は、邪神に騙されたのだ。嘘ついていない?そんなものは方便だ。大事なことを説明していないならそれは詐欺だこのやろう。
「それよりー」
「あぁん?」
それよりってなんだよ!騙されたこと以上に大事なことがあるのかよ、と向き直ると。
「ここにヤクザさんがいるっていうのは勇者に知られていますので、早めに離れたほうがいいですよぉ」
「そんな大事なことは速く言えボゲェ!」
「ヤクザさんさっきから口調変わっていますよぅ。こわぁい。ベビモス見たいな不細工面していますよぉ」
「テメぇー!!」
リタと言い争っていると突然地響きと共に背後から巨大な影が現れた。
「不細工で悪かったなぁあああ!」
怒りに震えたような野太い声が頭に響く。
Q「超幸運」を神様からもらわなかったら主人公は?
A楽しい(ベリーハードーモード)イベントがたくさん。※もらってもハードーモードです
Qリタはヘビモスと追いかけっこしたみたいですがどうなったんですか?
Aリタが逃げ切りました。馬鹿でかい山のトンネルが追いかけっこした跡です。
なお、追いかけっこが楽しかったのでリタはヘビモスの森を覚えています←重要
Q主人公の口調が物騒になっていますが…
Aヤクザを嫌っていますが血は争えないと言うことでしょうね。
Q主人公が会った女神様が邪神なら、本物の女神様はいますか?
Aそれは、私が偽の女神だと言いたいのか(固有スキル「絶望」発動)