第七話 ピラミッドは二度壊れる
「あそこだ」
ガルーディアの案内で「カクタス」の本拠地にやってきた三人。
少し離れたところで本拠地の建物を観察していた。
「おお…これはまたすごいな…」
本拠地はいわゆるピラミッドだった。それもかなりでかい。砂漠の中心に君臨するかのようなデカさだ…いやそれほどでもないかも。
「しかし外に誰もいないのが気にかかるが…まあいいガ黄色、やれ」
「ガ黄色て、はぁ…はいはい」
打ち合せ通りガルーディアが右手を前に出す。
「『ライトニング』」
ガルーディアの右手から雷が迸りピラミッドの壁を破壊した。
「ライロリはガ黄色のそばを離れるなよ」
「う…うん、わかったよロアークさん」
「行くぞ」
破壊した壁から中に入ると、そこには悲惨な光景が広がっていた。
「これは…全員死んでやがる」
中には大量の死体があった。全員同じ服を着てるからカクタスのメンバーであることは明らかだった。
立ち込める死臭にガルーディアとライリーが顔を顰めている間、ロアークは死体を除けて漁っていた。
「惚けてないで探せよ。たしか…懐中時計だったか?」
「お前…この光景見てもなにも思わんのか?」
引き気味にガルーディアが尋ねてくる。
「全員死んでるなら好都合、手間が省けたじゃないか」
「それは…そうだが…」
「誰かがやってなかったらどうせ俺らが殺ってたんだから、変わらん変わらん」
ロアークはそういうと再び漁り始めた。探しているのは盗られた懐中時計だ。
「はあ…ライリー、行くよ」
「うん…お兄ちゃん」
ガルーディアもライリーと共に時計を探し始めた。ライリーは今にも吐きそうな表情を見せていた。
探し始めて数分後
「無いな」
「広いから探すの大変だな…」
そう話しながら三人は二階部分の捜索に向かう。すると、ロアークは急に上から膨大な魔力を感じた。
「…」
「うわっ!」
「え!?ロアークさん!?」
ガルーディアとライリーを抱えてロアークは壁に向かって走り出した。
壁を破壊して外に出た瞬間、ドゴォオオンという音と共にピラミッドが吹き飛んだ。後には巨大なクレーターと煙が残った。
「やべ、懐中時計が!」
「そこ!?」
すかさずガルーディアがツッコミを入れる。
ロアークら三人が脱出した場所の反対側には二人の人物が立っていた。
カクタスの服を着た無精ひげの男と仮面を被った男だ。
「おい!手ごたえ無かったぞ!どういうことだ!」
無精ひげが喚き、仮面の男の胸ぐらを掴む。
「おかしいですねぇ。直前で気づかれましたか」
「お前が『仲間を皆殺しにして餌にしたほうがいいですよ』って言ったんだろ!」
「うるさいですね。耳元で騒がないでくださいよ。私はアドバイスしただけじゃないですか。直接やればいいでしょう?とにかく私は別の仕事があるのでこれで…」
「あ!おい待て!」
仮面の男がだんだん透明になって消えた。
「…まあいい、あいつの言う通り直接殺そう。たかが二人の子供に負けはせん」
そう言って三人がいる方向を向く。その目には光は無かった。