プロローグ
ジリジリと太陽の照り付ける音がする。
「暑い…こんなことなら日傘でも用意したよ…」
「いやいや、砂漠に来ることはわかってたんでしょ」
「こんなに暑いとは思わなかったんだよー!」
乾いた空に叫び声がこだまする。
叫び声の主はガルーディアと呼ばれる黄髪の少年だ。
「誰だっけ?昼に動いても大丈夫とか言ったのは?ガキがよぉ」
「誰がガキだ誰が!」
「お兄ちゃん大声出して怒らないで!」
そう言ってガルーディアに喝を入れたのはガルーディアの妹であるライリーだ。彼女も黄髪だ。
「おぉ~そうだなライリー、お兄ちゃんが間違ってたよ~」
「……キモ」
「聞こえたぞ!ロアーク!」
ちょくちょく煽っているのはロアークだ。
「怒らないでって!もう…ロアークさんも!」
「…んん?」
和気あいあいと砂漠を進んでいると前方の砂が盛り上がり、中からモンスターが三体現れた。
それはサンドワームと呼ばれるネズミのようなモンスターだ。
「サンドワームだ!ライリー!僕の後ろに!」
ガルーディアが剣と盾を持ってライリーの前に立つ。
その瞬間、前方に横一閃の黒い筋が入り三体のサンドワームの体がずれた。
「はい行くよ~」
キン と剣をおさめる音を鳴らして何事もなかったかのように進んでいくロアーク。死体を蹴飛ばして。
「…やっぱ強えな…はぁ」
「そう落ち込むなよシスコンクソガキ」
「ガキっていうな!」
なぜか憤慨しているガルーディアを後目にロアークは物思いにふけっていた。
(まさか俺が旅に出るとはな~家壊されなきゃあと数百年はないと思ってたな…)
「おい!聞いてるのか!?」
雑音を無視してロアークは家が壊された日のことを思い出した。