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目覚め


次、俺の目が醒めると服が全て無くなっていた。

と言うか体が異常に痛い、ついでに言うなら周り中真っ赤である。


「あ、よかった目が覚めましたね?良かったですよーもう一回蘇生してたら人として甦れなくなるか蘇れても肉体のみが復元されて廃人と化すところでした〜」

「こえぇな」


ついでにリソースも無くなってココごと吹き飛びますね、と付け足される。


「それよりも、一体全体何がどうしたらこうなるんですか?このダンジョンの中にこんな風になるギミックなんてありませんよ?」

「それは…」


俺はこの天使に昨日のことを伝えようとするが加護が自動発動し禁則事項として発言をキャンセルされる。ついでに頭痛とともになにがしかの作用が働くが、そちらは何か別のものにキャンセルされる。


「っ…!禁則事項、だとさまさか俺が天上からの規制を受ける日がくるとはな…」

「えっ、マジですか…」


禁則事項というのは加護を受けた探索者、およびこの世界樹の守る生存圏における法のようなものだ。もっとも、その正確なあり方は天上の意思、神の意向によるところが大きい、ま、詰まる所神による独裁法、言い方が悪いかもしれないがそう言った面が強いこともまた確かである。

神一人でもその禁則を発生させる事は可能で発生する箇所を絞ったり、対象を少数にする事で効力を高めたりできるのだが…今回の場合は俺個人に、しかも昨日の出来事に関連する事にのみ絞られているためかなり強い強制力を持っているようだ。

まぁ、個人的にはそれを弾いた力も気にはなるが…もうそれを仕掛けたのは誰なのかは解っているため一生知る事は無いだろう。むしろ知りたくなくなったような気さえする。


「まぁまぁ、多分この私の魅惑的なナース服に淫語が飛び出したとかそういう禁則でしょうね!」

「自信満々にアホなことを言うな、ついでにまな板に興味はない」


ポン子が部屋の隅でのの字を書き始めたが気にしない、というか話題にされるとまた頭痛がやばそうなのでこれ以上の追求を避けるための鮮やかな罵倒だと思う(愉悦)


「ま、いいですよ!希少価値でステータスですから!」

「ああ、そうだな」

「そんなことよりも!いっぱい溜め込んだのを吐き出すのです!その凄いの!早くちょうだい!」


頭痛が痛い、というか身体中痛いのに極めて目の前の存在が痛すぎるために頭痛以外感じない、面倒臭いので魔魂を全て捧げる。


「はい、3480…3480!?」

「ああ、色々あってな」

「色々が凄い気になるんですが…ま、まぁいいでしょう、累計6614魔魂、世界樹の一部機能回復と第六階梯への到達です。おめでとうございます!」


全身に今までとは比にならない魔魂によって産み出されたエネルギーが駆け巡り加護がより一層力強くなったように感じる。それと同時に全身の痛みが和らいだような気がした。


「今回の祝福ガチャは…『死線』です!オーバーキルドレッド、好きですよ!」

「わかる人がそれくらいいるのか不安になるネタもNGだ。で、どんなもんんだそれは」

「えーっとですね、複合型の祝福…ですかね?半分異能のような気もしますけど、『生命の危機若しくは格上との相対時に生命力、治癒力、五感を強化する。また、三回まで死の未来を観測する。』ですって、回避もそれなりにヤバイですけどこれは完璧に固有祝福ですね〜」


…え、なにそれはじゃあ今の痛みとかが急激に引いてるのは天使という上位存在が近くにいるからって事ですか?なに俺、いつも生命の危機に晒されてんの?


「あ、あと…なんか見間違いじゃなければ神格からの加護を得てますね…でもこんなところで、しかもダンジョン内の何処で?…まぁ、いいですけどね加護は邪龍ファフニール、世界樹の守護者にして原罪を飲み干す龍…本当にどこで何をしてたんですか!?」


やっぱりか、ああ、やっぱりか…非常に嫌な思い出しかない相手の名だ。というかあいつは一体何がしたいんだ。いくら神格って言っても現世の人間である俺に干渉するのにそれなりの理由があるはずだ。まぁ、もし俺だったらもっと勇者様やら英雄やらに接触するんだが…それとも本当にただの事故だったのか?


困惑している俺を見ずに空中に出現させたインターフェースの情報を精査して興奮するポン子、というかさっきから「これがあるならダンジョンごと焼却できるのでは?」とか、「カタログスペックは低めだったし今回も何回か死にかけてるけどなんか10階層まで突っ込ませればなんとかなるのでは!?」とか、恐ろしい事を呟かないでください、俺の新しい異能さんが超反応してるから、治癒力と生命力高まりまくってついでに五感が鋭敏になっていってるから!


「というかよく見なくても右目の色が変わってますよね、体の一部に加護を受けている神格の影響が出るなんてなかなかいませんよ!!」

「え、目の色?」


フンスフンスと鼻息を荒げた彼女が鏡を突きつけてくる。

そこには平凡な赤銅色のような茶髪に魔眼であることを示すある種の特殊な輝きを放つ眼を持ったフツメンがいた。久々に見ると髭がひどい、ついでに右目が黒に近い赤ではなく見ようによっては黄金に輝く蜥蜴のような縦長の瞳孔を持つ眼に変わっていた。

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