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プロローグ

思いつき

「好きだ!付き合ってくれ!」

「えっ……?」


いきなりだが、俺は今!告白している!

相手は同じ村に住むリエだ。

リエとは幼い頃から家が隣同士という事もあり、一緒に過ごしてきた。

寝るときも、遊ぶときも……ずっと一緒だった。

そして、気づいたら好きになっちゃたんだよ!

もうこの気持ちを抑えきれん!俺は告白する!……となり、現在である。

頼む!付き合ってくれ!


「その……ゴメン。ない」

「えっ、ないって……」

「あんたと付き合うのがない。てか、無理!絶対、無理!」


リエは今まで見たことがない程、顔を歪ませて拒否してきた。

な、なんで⁉︎断るにしてもなんでそこまで?


「あんたとは、なんてーか友達?にしか思えない。それ以上は無理。理由としてはなんとなく無理」

「理由、なんとなく⁉︎す、少しでも可能性は……」

「ない。じゃあ話し終わったなら私帰るから……じゃ」


呆然として固まったままの俺を置いて、リエはさっさと家の方に歩いて行ってしまった。

……マジかよ、マジかよ〜〜!

何だよ。なんとなくって!くそ、振られた……振られたよ!


「グスッ……辛い」

「ふっ、女に振られた程度で……涙を流すんじゃない」


……ッ⁉︎だ、誰だ?

急に聞こえてきた声に驚いて、後ろを振り向くと木に寄りかかり此方を見つめている黒装束の男がいた。

な、なんだこいつ?少なくても村の人間じゃないな。記憶にないぞ。


「俺が誰だか分からないといった様子だな」

「あ、ああ。誰だよあんた」

「教えてやろう‼︎」


男は黒装束を手ではためかせながら名乗りを上げた。

……カッコイイと思ってやってるのか?振られて泣いてた俺が言うのはなんだけど、すごくダサいんだが。


「俺の名はシロウ!多くの者に『情報屋』と呼ばれているものだ!」

「情報屋?」

「そうだ。その名の通り様々な情報を売るのを生業としている。不老不死の材料の情報、深海に棲まう魔物の情報、天空に浮かぶ巨大都市の情報……果ては、絶対に付き合える魔法のアイテムの情報もな(ニヤリ)」

「ぜ、絶対に付き合える魔法のアイテムだと⁉︎」

「そうだ。それを使えば100%意中の相手と付き合える」


何だそれ!凄く欲しい!

それを使えばリエとも……いや、でも魔法のアイテムに頼って付き合うなんて。

いや、しかし付き合える可能性が現状無いんだぞ?

アイテムに頼ってもいいかな……。

くっ!良心と欲望がせめぎ合う。


「ちなみに、初回サービスだ。特別に情報料は半額にしてやろう」

「あ、買います」


良心なんて知らないわ。やっぱ自分の欲望には忠実じゃないとね!

提示された情報料を払い、さっそく詳しい話しを聞く。


「俺が知ってる情報では……そのアイテムは霊竜山の頂にある」

「れ、霊竜山⁉︎あ、あの竜が棲まうってウワサがある山か!」

「そうだ。実際に竜がいるとの情報は俺の元に入ってないから、恐らくデマだとは思うが……それよりも、霊竜山の道中の方が大変だぞ?」

「へ?なんか有るのか?」


霊竜山は遠目で見たが、高い山だなぁとは思ったが何かありそうには見えなかったけどな。


「……魔物がバカみたいに多い」

「多いって言っても、森の中くらいだろ?」

「そこのか?言っちゃ悪いが倍以上はいるぞ」

「ま、マジ?」

「マジだ。俺が直に行って確認したから間違いない」


嘘だろ……倍いるって。

何とかなるか?森の中の魔物ならよく倒してるから問題ないけど。


「あとな、魔物はそこの森と比べたら強いやつしかいないぞ?」

「無理じゃねぇか‼︎」


数でも質でも上とかふざけんな!せっかく情報買ったのに意味ねぇじゃん!

クソ〜、結局そう都合よくはいかないのか。

俺は首を項垂れて、意気消沈だ。


「おい、どうした?こんな事で諦めるのか」

「諦めたくはない。けど、どう考えても死にに行くようなもんだろ」

「確かに今の話しだけだとそうなるな」


まるで話しはまだ終わってないみたいな言いぐさだな。

魔物をどうにかできる方法でもあるのか?


「魔物は強いし、多い。だが、とある物から作り出した武器なら何とかなるぞ……多分」

「その話し詳しく!」

「情報料」

「クッ、持ってけ泥棒‼︎」

「泥棒じゃない、情報屋だ。毎度!」


この情報屋、最初からこの情報も買わせる気満々だったな。

だからさっきは半額にしたんだ。

意地汚いぜ!だが払うものは払った。

さあ情報を聞かせてもらおうか!

金を貰ってホクホク顔の情報屋は、霊竜山へと向かう道を指差しながら説明しだした。


「ここから霊竜山に行く途中に竹林があるだろ。そこの中の黄金に輝く竹……それは神聖なもんでな。魔物には特に強い力を発揮するらしい」

「つまり、黄金に輝く竹を見つけてソレで作った武器なら魔物を倒して山頂まで行けると?」

「多分な。後はお前の実力次第といったところか」


黄金の竹か……聞いた事ないな。

竹林には何度か竹を取りに行ったが、どの竹も普通だった。

本当にあるのか?疑いの眼差しで見る。


「この話しは本当だぞ。ただ黄金の竹はコロコロ変わるだけで」

「変わる?」

「そう。黄金の竹は、全ての竹を移動しるから。一分経てば違う竹に移動してる」

「何だそれ!それを探せと?」

「付き合いたくないのか?振られた相手と」


うっ……つ、付き合いたい。リエと付き合いたい!

その為にここまで金を払ったんだ。やってやる。

竹の一本や二本さっさと見つけて、それで槍でも作って、霊竜山の魔物を倒しまくって、山頂にある魔法のアイテムで……リエと付き合うんだ!

そうと決まれば、さっさと竹林へ向かわねば。


「やってやる。俺はやる!絶対に山頂のアイテムは手に入れる!」

「そうか、やる気になって良かった。情報を売った身としても頑張って欲しいからな」

「情報屋……何だかんだ色々ありがとうな」


こいつが現れなかったら俺は、リエの事は諦めていただろう。

だがこいつのおかげで可能性を掴めるかしれない。少々良心は痛むが、リエと付き合えるかもしれんのだ。

そう思うと少しは感謝しても……ん?どうしたんだ。急にそんなに離れて?


「あー、一つだけ言ってなかった」

「何だ?」

「実は……この情報お前で十人目だから急いだ方が良いぞ!じゃあな‼︎」


は?…………ちょっと待てコラ‼︎

急に離れたと思ったら逃げる為か!てか、俺以外にもこの情報知ってる奴がいるのかよ!

ふざけんな、このクソ情報屋‼︎

急いで逃げだした後を追いかける。

捕まれ!一発殴らせろ!


「はははははっ!俺に構ってる暇があるなら、急いで竹林に行った方がいいぞ。他の奴らが先に黄金の竹見つける前にな」

「ッ!そうだ、他の奴らが見つけてしまうかも……チッ!今回は見逃すけど次に会ったらただじゃおかないからな!」


どっかの三下みたいな台詞を吐きながら俺は、180度回転して竹林へと向かって猛ダッシュを開始する。

急げ!他の奴らに先を越されちゃならない!

魔法のアイテムは俺の物だ!

次は多分、1ヶ月以内。

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