死ぬのなら誰かのためが良い。
人の記憶は、何かのはずみで消されることがある。だが、何か、一つ。とてつもなく印象的な何かが、その記憶に植え付けられているのなら、もしかしたら、失われた記憶の片鱗だけでも戻ってくるかもしれない。
私たちは外に出た。青く澄み渡る天。今日は雲一つない快晴だった。熱く照りつける太陽は今ほぼ垂直に上っていた。じりじりという音が聞こえほど強い日差しは陽炎を激しく揺れさせていた。
「あ”-”...なんで外は中と変わらぬくらい熱いんだ!俺はもっとすずしくなりたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああいッ!!!!!!!!」
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「なぁ~♪...まさかクールドリンクを飲んだだけでこんなにも涼しくなるなんて...」
私はあまりの歓喜に意味不明な声を上げてしまった。それを見かねて何を言うかと思えば何も言わなかったエルとドースは少しにやにやしながら何やら怪しい行動をとった。
「な...何してるの...?」
「「荒ぶる鷲のポーズ!」」
「何を言っているの?!」
さっきはにやにやしてた割にはドースが真っ赤になっている。からかってやると今にも爆発思想にまで赤くなった。
「こ...殺すぞ!この野郎!」
目をまん丸くして、ぷんすかぷんすか頭から煙を吹き出すドースを見て大きく笑った。「バカバカばかぁ!」とポカポカしてくる。それを私は( ̄∇ ̄;)ハッハッハーくらいで済ましていると、それを見ているエルの目がどこか寂し気で、何か嫌なことを思い出したかのような目をしていることに気づいた。どうやらドースもそれに気づいたらしく、不思議そうに見ていた。
「何かあったのだろうか...」
「わからない。けどあまりい深く詮索してはだめなのはわかる。後で”俺”が話を聞くから」
ドースはきょとんとした顔をした。俺はその顔を確認してから、ドースの頭をゆっくり撫でた。幸せそうにしているドースは今の俺の顔が険しいことなど知ることもなかった。
~数時間後~
「ねぇ...コズキ。この世界に来る前の私の話をさせて?」
私はエルの口調が普通の女の子に戻っていることで、どれだけ真剣な話をしようとしているのかよく分かった。
「じゃぁ俺も、元の世界の口調で話させてくれ。いいだろ?」
「...!あなたは...!」
どうやら状況が読み込めたらしいエルは、少し歪んだ顔をもとに見ドスと話し始めた。
「ん、私はね、ここに来る寸前に人を、人を殺したの。」
「!?お前...」
「ごめん...ごめんなさい。こんな話...」
俺はその話に含まれた恐ろしいほどの現実味に震える体を、無理やり意識で抑え込み、さっきの目についての事に話を変える
「それはいい。さっきお前、すっげー悲しそうな顔をしてたよな?あれはなんだ?」
「気付いてたの。そうね。あの時のあなたとドースが、7歳だったころの”雪夜”と”葉露”に似ていたから...」
「は...づゆ...?」
何故か知らないが、異常に頭が痛くなり抑えざるを得なくなった。私はもがき、足掻き死に存えたものの末路...意味が分からない...分からない...助けて...真紀...
「葉露...?!葉露...?!」
その瞬間俺の中にある記憶が走馬燈のように走り流れ、フラッシュバックを繰り返した。ある一つの記憶が、身に覚えのない記憶が、どんどん流れてくる。その中に一番印象的に出てくる少女...ツインテールの金髪と白髪、青に赤色の混じった髪の毛の少女が...
お兄ちゃん!...お兄ちゃん...!助けて!おに...い...ちゃ...
誰だ!?誰だ誰だ誰だ?!
「ああああああああああああああああああああああああっあああああああああああああああああああああああああああっああああああああああああああっあああああああああああっああああああああああああっああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「"雪夜"!...」
お前は...富士宮...
-私が人として死ぬのなら...その時は誰かのためになるように死にたい...-
「エ...ル...富士...み..」
ばたっと自分が倒れる音だけが最後に耳に残った。
俺は...
「やぁ。久しぶりにあったね」
俺は声がする方向に顔を向けた。すると先には、もう鼻が残り数ミリも残っていないような距離にとてつもない美貌をもった美少女の顔があった。その可憐な顔が近くにあると正直ドキドキが止まらない。
「わぁぁぁぁぁっぁぁぁああ!近い!近い!顔が近い!」
「口の香りがすごくいい。ゼウスなんか比じゃないな。」
何を言ってるんだこの人は!俺は目をぐるぐるにして、湯気を上げていた。まるで女子な反応に少し場かり驚いているのか、俺の事を凝視してくる彼女。
「はわわわわわわわわわわ...わ?」
気が付くのが遅れたが昔の男の体の、高い声に戻っている。昔の俺は男子だが女子だった。昔の俺よりコズキとしての俺の方が落ち着いていたのだが...
「ははは!コズキとしての体の方がよかったか?雪夜。私的にはこちらも君も好きなのでしばらくはそのままで頼む。」
「ニュクス...」
ハハハ!と笑うニュクス。しょんぼりする俺をみてさらに大笑いする。俺はどうしようもなくなり深くため息を吐いた。
「で、俺をこんなところに呼ぶからには何か用があったんだとは思っていたいが。」
言い放つように聞くと、ニュクスはまだ笑いながら答えた
「ああ、そのことだな。私が呼んでいるのではないよ。君が死ぬたびにここに来るだけさ。つまり今君は死んでいる。まぁ返すことは可能だが、特殊なパターンのみで返すことができる。まずそのパターンてのが、君が何かのはずみで失われた記憶を取り戻し、ショックを起こした場合。そして私が自発的に呼んだ場合。そして...」
「神が俺たちを殺す...だろ?で、なぜ神が俺たちを”殺す”?そしてさっき俺は失った記憶の一片を回復した。葉露の事を忘れさせたのは...お前だろ?」
俺の声が響いた瞬間ニュクスの表情が一瞬一手盗られたような顔になった。
「お前...一体”何者”だ?」
驚愕と恐怖をその表情と声に孕ませ、俺に対する態度を変えた
「 」
俺の声は、音にこそならなかったが、ニュクスには聞こえたらしい。そしてこの言葉が俺から、出てきた段階で俺は関わりすぎた。
-君はこの世界のゲームに負けたのだ。私の不手際でな。ならばいっそ私の手でこの世界を終わらせてやる-
ニュクスのそんな声が響いた瞬間。俺は何かにとらわれる感覚に襲われた。
「ゲームには、まだ...負けていない。」