北朝鮮と闘うべきか、否か
クリスマスイブの穏やかな笑顔に包まれた平和な日本で。ふいに子供が突然画面の切り替わったテレビを指差す。そこには、北朝鮮人民軍の軍服を着たいかにもがっしりとした壮年の男がテレビカメラを前に演説を始めている光景が写し出されていた。[米帝の差し出した手のひらの上で、安易な平和と飽食に溺れる日本人とその悪の根源であるアメリカに対して遂にわが総統の正義の鉄槌が下るときが来た。目下我が人民軍の優秀な特殊工作員300名が日本の稼働中の四つの原発を完全な制圧下においている。我々の要求が満たされない場合、全ての原子炉を暴走させた上で爆破。大量の放射線をばらまくことになる。更に本国から正義の核を積んだミサイルが東京とワシントンに着弾することになるだろう。我々の要求は只一つ]その続きを固唾を飲んで見守っていた全ての人々の目の前で、satと書かれた服を着た一人の男が放った銃弾が全ての可能性をゼロにして男の顔面を吹き飛ばした。
それから24時間できらびやかな日本の将来は暗黒に包まれたものとなった。原子炉を奪い返そうとする日本の自衛隊員と北朝鮮の特殊工作員との死闘の結果は男が語った通りになった。特殊工作員は一人として降伏することなく戦死するその瞬間まで発砲をやめなかった。原子炉が爆破されると、特に東海村原発の放射線を含んだチリは運悪く首都に向かって吹いていた風にのって首都圏の広範囲に降り注いだ。他の原発も似たような状態となりそれだけで日本の国土の三分の二が汚染地域と化した。凶報はまだ続き東京と日本の主な主要都市に対して数百発のミサイルの内数発にだけ核を積むと言う戦法で東京を含む日本の七都市に核のキノコ雲が上がった。同様の戦法をアメリカ合衆国に対しても行うと北朝鮮の総統が宣言した所でアメリカの都市にキノコ雲が上がることはなかった。日本の惨状を聞きすぐさま日米安保を発動させようとしたアメリカの大統領に今回の一件を黙認するようにとの中華人民共和国とロシアの圧力がかかったのだった。北朝鮮を攻撃した場合中国とロシアは北朝鮮との間に秘密裏に結んでいた三国軍事同盟により参戦するとの事だった。アメリカ大統領の脳裏に第三次世界対戦と核による人類の滅亡という考えが浮かんだ所でアメリカの出方は決まったのだった。日本を見捨てるという方に。ヨーロッパの国々も多かれ少なかれアメリカと態度を同一にした。時の利を得た北朝鮮人民軍は大韓民国に対して宣戦布告し、中国とロシアを背景に一週間で韓国を併合し、ここに北朝鮮によって朝鮮半島は統一されるのだった。アメリカが動かないという最悪の状態のまま死に物狂いの自衛隊の生き残りは、反撃をした場合更なる核攻撃を行うという宣言に屈し停戦条約という名の敗北を認めることになる。
それから10年後。




