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復活

胃腸炎にかかって一週間寝込んでた

俺の部室は棟最上階の最西端に位置する。


部の予算、人員、活動実績、……それらを総合してよりポイントの高い部が上のフロアの快適な部屋を獲得できるといったなんとも殺伐としたシステムである「らしい」とウワサだが、いかにすれば多くのポイントを獲得できるのかが分からない。


たとえば吹奏楽部は全国大会に出場したにもかかわらずこの棟ではほとんど犬畜生同然の扱いで予算も降りないものだから、いまだに粗大ゴミに捨ててあったキモチ馬糞(まぐそ)のニオイのする青いポリバケツをティンパニがわりに利用してるし、金管楽器なんかメッキが全部ハゲて茶色の茶管楽器、予算委員会でその惨状を訴えるけれども生徒会予算委員会(要するに部活連合における財務省)やカスゴミ軽音部に無視されたり罵倒されたり頭を冷やせカメムシとコップの水をぶっかけられたりする。


それでも下げた頭、髪の房の先から水を滴らせつつじっとこらえているんだから最高にいじらしい連中だ。


問題は軽音部、馴れ合い舐め合いしゃぶり合いのなかよし倶楽部、実績は年6回の馴れ合い乱〇パーティ同然の定期ライブのみ、Fコードも満足に押さえられぬのもさることながらエモを気取って(エモに失礼だろう)アンプ全部のツマミを最大値にしてるような耳ナシ玉ナシのカス共、そのくせプライドとファッション意識だけは無駄に高く、ワイシャツは第七ボタンまであけてネクタイゆるゆる、極端な腰パンで引きずった裾がウンコまみれになっている、ニキビが潰れて痕が膿んだ頬を引きつらせ、ニワトリが喘息の発作を起こしたような笑いを発し、友達らしき者と語りたるは、


「海外のグランジ最高だよな。やっぱりニ〇ヴァーナだよ」


「ああ、とくに『オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ』なんか最高だよな」


「あれを聴いてると日本の音楽の貧弱さが改めて浮き彫りになってきて恥じ入りたい気持ちになるね」


「ポップスに汚染された日本の音楽にアメリカの音楽を超えることは無理だね!(「POPsだけに、プッ!」笑ったと同時にこいつの頬のニキビが潰れて黄緑色の膿がブチュリ噴き出した)」


俺は知っている、この男がこないだ近所のレコードショップで某アイドルグループの握手券付きの新譜を購入してたことを。


こんな連中でもそれなりファッション意識がある者だからバカなサブカル糞女 (たいていメンヘラのブサイク)が擦り寄ってきてきゃつらの部室は常にラブホ状態、通りかかるたびに栗の花のにおいが漂ってくる。


おまけに学校の文化部では一番予算をもらっていて定期ライブはたまに「さい〇まスーパーアリーナ」でやったりする。予算委員会では奴隷みたいな貧弱な顔しといてわがまま放題の王様気分、吹奏楽部へのパワハラ・セクハラは当たり前、この間なんか副部長のわりかしかわいい眼鏡の女の子に3人がかりでからんでいって、スカートの中に手を突っ込んで尻を撫でさすったり、乳首探しゲームと称してオッパイを指先でつんつこしたり、その娘の泣きじゃくって涙で濡れた頬をベロベロ舐めたりしてたそうだ。逆らえもせずかわいそうに、その娘が学校に来ることは二度となかったという。まったく生きてる価値のないむしろ歩く公害、くっさいくっさい汚らわしい汚物、一生ネットの晒し者、カマくさくナヨナヨしたサブカル糞野郎、百ぺん死んでも足らぬミジンコ、キモア〇ペゴミカスガ〇ジ、学校の恥、病原菌、うんこ、犬も食ったら死ぬ毒、岩間〇一、早く駆逐した方が世のため人のためだ。


俺たちもああはなりたくないもんだな。


「全くだね。ボクも去年軽音楽部に入部してあまりの酷さに10分で退部してきたさ。ああいうガ〇ジはゴミ収集車のローラーで一旦すりつぶしたあと、産業廃棄物処理場で然るべき手順のもとに処分する方がクリーンさ」


「やつらのクリーンな処分は無理だろう。使用済み核燃料より厄介なゴミだぜ?」


「それもそうか。あんな汚物をキンタマに仕込んでたあいつらの親父もよく死ななかったものだな」


「あいつらのような存在を生み出した連中も同罪だ。嫁さん孕ませる前に抹殺すべきだったんだ」


「そうすると奴らの先祖はみんな同罪ってことだよ? 生命の起源まで遡って、我々のルーツが同じ生命体と仮定すると、人類全体に罪があるってことじゃないかい?」


「キリストの言ってた原罪ってのは、おそらくそのことだろう」


「違いない」


俺とともに大いに鼻息荒げているショートカットは、遊琴菊代(ゆうこと きくよ)という。


なんでも、生け花の流派の家元とかで菊代なんて古風な、それも女の子らしい名前をつけられているのだそうだが、本人はサッカーをやるのも観るのも大好きなボーイッシュ系。


だが美少女だ。

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