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食パンをくわえて登校してたら曲がり角で美少女とごっつんこ☆してパンモロした話する?



私立黎明高校。


それが俺の通っている高校の名前である。


なんでも、カソリック系の、明治から百余年続く伝統校らしく、親のコ……(オッホン!)推薦入学の決まった当初は、厳格な校風か、学校帰りに買い食いもできぬは窮屈だと暗澹たる気分に陥ったものだが、こうして通う段になると、その寛容なる風潮にはいい意味で裏切られた。


なんでも創立者が生徒の自由を重んずる生粋のリベラリストで、昭和の翼賛的な風潮からもその創立の精神を頑なに守り続けてきたという。


制服の着こなしもこころごころ、スカートの短い者もあればその逆も然り、だが注意する教師もいない。注意せずとも限度をわきまえているのだ。一線超えぬ限り教育的指導はほぼないと言ってよい。


なんともいい高校じゃないか。


ホームルーム前の喧騒をよそに、ガムを吐き捨てマルボロに火をつけると、ワキからにゅっと片腕が伸びてくる。


「宿題見せてッ!」


一瞬教室が静まった気がする。それほどこいつの声はでかいのだ。パラパラと天井から粉が落ちて、教室の窓ガラスが全て破れ、近くの女生徒が耳からウミの混じった血を噴き出し、とまり木の小鳥たちは熟れすぎた果実のようにボタリボタリ地に落ちた。


朝からどうしてこんなに元気なのだろう。体内に原子炉でも内蔵しているのか? 過熱でメルトダウンせぬか心配なものだ。元気の毒素にあてられそうだぜ。(これって不謹慎か?)


同級生の堀北真美。


美少女だ。


それで、要件はなんだ? よく聞いていなかったから分からないぜ。


「だから宿題見せてッ!」


今しがた耳を痛めた生徒が、今度は三半規管を揺すぶられたのか、盛大に吐いて教室が吐瀉物の海に沈んだ。


まあ、見せてやるよ。ただし何か見返りが欲しいな。週に三、四回は写さしてやってる気がするぜ。そんなに写経が好きなら寺にでも入ったらどうだろう、仏の御心で煩悩も取り払われて一石二鳥だ。


「それはありがたいけど、ウチは一応牧師の娘ってことでこの学校を選んだからねっ、そうはイカのキンタマさっ! あと宿題はやるもんじゃなくて写すもんだよっ! 」


松岡〇貴みたいな爽やかな声で清々しいまでのクズ発言をありがとう。照れるな、だって? 皮肉だバカ。


「代わりと言っちゃあなんだけど、今週末に映画おごったるよっ!」


そいつはいい交換条件じゃないか。ちょうどチンかいマ〇コト最新作「君の名前なんだっけ。」を見たいと思ってたところだ。


「契約成立だ」


俺たちは固い握手を交わした。黄土色の水面が日を受けてキラキラと輝いている……

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