幹部編 第8話 後 サイコでございますか?
「ご主人様、何なりとお申し付け下さい」
「あなた、先輩の記憶を持っているの?」
「持っておりませんが、読み取ることはできます」
記憶は持ってるけど人格は別、と言うことか。
「じゃあ命令しよう。私の言うことを最優先にしつつ先輩を演じなさい」
「承りました」
「ではまずアサに加勢しなさい」
「かしこまりました、ご主人様」
「先輩は人の前で私のことをご主人様だと呼ぶの?」
「いいえ、申し訳ございません、ではリリーナちゃんとお呼びします」
「敬語もやめて。上手く先輩を演じて。いちいち注意させないように」
「わかったよ、リリーナちゃん」
「よろしい。では行こう」
「わかった。火よりも熱い火よ。空気を生贄にし、青く燃えろ! ブルーフレイム!」
さすがの命知らずも2対1は厳しいのか、回避に専念した。やはりあいつを魔獣と戦わせたい。もう一度最初から考えよう。
あ、勇者はもうボロボロだ。お願い、持ち堪えて!
あいつはお守りを使って冒険者を沢山殺した? じゃあ、どうして冒険者を殺そうとした? ダメだ。サイコパスが考えそうなことがさっぱりわからない…。最初は勇者をリーダーにしようとした。これは最初が睨んだ通り勇者に罪をなすりつけようとした。でも、私が口の中に爆発されるんではなく、戦う前にお守りを発動した。読めない。ああ、もうっ! サイコめ! あっ、そういえば、あいつ、なんか人生の一ページみたいなこと言ってなかった? でもそれだと辻斬りでもすればいいのに。あれ、ひょっとして、こいつ、ただの戦闘狂? よくよく見れば、こいつ苦戦してるのになんか顔が笑ってる。可能性は高い。命知らずと言われてるから多分強い魔物と戦ってきたと思う。なんか合点が行った。このクエスト、人が集まらないと出発できないし。
あれ? あれは魔法石? あいつも魔法石に頼ってる?。 そうだね、魔法を魔力で切り裂いてるからね。ふっ、なんかピンチ抜け出せるかも。
「ねぇ、ハロルドさん。それ以上アサと戦ったら、魔獣と戦う時魔力が足りなくなってしまうでは?」
「くっ…」
「もうやめにしませんか? 冒険者を皆殺すまで魔獣と戦いたいでしょう」
「そうはいかない。ちゃんと口封じしておかないと」
「ハロルドさん、元も子もなくなってしまいますよ。私は今回のことを言いふらすつもりはないです。ここはひとつ私達を信じて戦いをやめにしませんか? こうしましょう、おまけにアサにハロルドの魔法石を充填もらうのはどうですか?」