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幹部編 第6話 見誤りでございますか?

「勇者さんの仲間だよね。これあげるよ。お守りだよ。きっと守ってくれるよ」


ああ、これが例の…


「そんなのいりませ…」

「ありがとうございます」

「リリーナ!?」

「宗教の理由で本当は女神様以外の神様のお守りを貰っちゃダメなんですけど、せっかくですし、ありがたく頂きますね」

「そうか。修道女だもんね。貰ってくれて嬉しいよ。じゃあ俺はこれで」


ヘラヘラしててすごく怪しい。まあ、偏見かもしれないけど、用心するに越したことはない、か…


「リリーナ、貰っていいの? 爆発するかもしれないよ」

「貰わないと別の殺し方を考えるでしょ。だから、ちゃんと貰ってから捨てる方がいいよ。でもアサのせいで疑われてるかもしれない」

「う…」

「まあ、気にしないで。そういえば、勇者もこれを貰ったはず。ちょっと勇者と話しようか」

「勇者のことは別にどうでもいいじゃないか。爆弾として役に立って貰おう」

「ダメよ。勇者は私達の国や家族を守って貰うから、こんなところで死なせじゃダメ」

「母上なら死んでも別に悲しんだりしないけれど」

「私の母さんが死んだら私が悲しむから」

「しろのお母さんは目の前にいるんじゃないのか?」

「アサじゃなくて、今のお母さん。あー、アサはずっとお母さんとして扱いされたいわけ?」

「じゃあ、リリーナは恋人扱いしてくれるの?」


あっ、墓穴掘っちゃったよ。アサに話しを逸らすのも無駄だし…


「今はまだアサをそんな風に見れない、かな」


やはり先送りしかない。でも、先送りするにも限度がある。


「今は…」

「うん、今は。私は簡単に恋に落ちないのは、すずなお母さんもよく知ってるはずだと思うけど」

「そうね」


納得したようだ、お守りをゴミ箱に捨てて、勇者のところに行った。でもそろそろアサへの返事を真剣に考えないと。


「リリーナちゃん、どうしたの?」

「こんにちは、ユアンさん。お守りを貰えましたか?」

「貰ったよ」

「えーと、ユアンさん、私は修道女で、ユアンさんは女神様に選ばれた勇者なので、別の神様のお守りを持つべきではないと思います。それに、この角に寄生されてる今、聖剣は仕方ないと思うけど、お守りを見てやはりいい気分にならないので…」

「そうか。そうだよな。女神様の加護があるのに、他の神様のお守りを持ち歩けば罰が当たるもんな」


よし、勇者の説得も成功したし。もう一回運をチェックしようか。

うん、先輩の運命は変わっていない。つもり先輩はお守りのせいで死ぬわけではないのか。多分魔獣に殺されるんでしょ。

他に先輩を助ける方法はないのか?

あるよ。簡単じゃない。私は超能力を持ってて、先輩が死ぬ未来を見たから行かないでって言えばいい。でも、そうなると、戦力が低くなって私とアサが殺される可能性が増える。それに、自分の力のことは可能な限りバラしたくない。残念だけど先輩のことは見殺しにするしかない。


「ユアンさんと先輩はいつ知り合ったのですか?」


と、聞いてみたけど、別に聞きたくもないくだらない話を聞かされた。


「そうですか、仲良しですね。今回のクエストは危ないですし、死ぬ可能性もないわけではないです。今、この瞬間を大切にしましょう」

「いいことを言うね」

「では、私達はこれで」


これでいいのかな? 先輩を見殺して…先輩死んちゃうよ…

よしてよ。見殺しにするのは、今回が初めてじゃないでしょに。ハエハンターを散々恥をかかせた挙句見殺しにしたんじゃない? 今更何戸惑ってんの?

あれは違う、ハエハンターが先に私達を囮にしたから見殺しにした。でも先輩は違う。先輩は別に悪い人でもないし、私達に何か悪いことをしたわけでもない。


ねぇ、何いい人ぶってんの? リリーナはそんないい人じゃないでしょ! リリーナはゲスだ。

いや、何も自分のことをゲスだと決めつけなくでも。いや、ゲスだ。でも、ゲスだと自覚をしてからいい人をぶる人の方が、自覚なしでいい人をぶって、周りに嫌われても気がつかないバカよりマシだと思う。


じゃあ、決まりね。見殺しにしようか。


はぁ、運なんか見るもんじゃなかった…見なければこんなに悩むことはなかった。でも、見なければ死ぬかもしれない。死んだらしばらくこの世界に戻れないと思う。そしたら、すずなお母さんも桜子も二度と会えなくなる…それに、この世界は前にいた世界より面白い。


ふむ、次は自分とアサの運だけ見ようか。


出発の朝、長い一日になりそう。勇者と一緒に先頭に立たせられた。あの命知らずは…一番後ろ…何が命知らずだ。やっていることと言ってることが違うではないか。やはりあのお守りはただのお守りではないのね。利用させて貰うか。


「十時方向に魔獣が! 全員戦闘準備!」


魔獣の姿を確認した瞬間、後ろから悲鳴聞こえた。でも、魔獣は前にいるのにどうして後ろから悲鳴聞こてくるの? 振り向いだら、魔人冒険者を全員殺した命知らずの姿が見えた。そして、他の冒険者は炎に包まれ、もがき苦しみながら死んでいく姿が…


どうして今? まだ早いでしょ! 食べられた冒険者で魔獣をダメージを与える計画じゃないのか?


「どうしてお前達は生きてる? まあいいか、息を止めさせるまでだ。死ね!」


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