表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/300

序章 第9話 王女でございますか?

ここはアルフル王国、そして、わたくしはこの国の王様の一人娘、つまり、王女だ。


 そう、わたくし、ニーナ・K・Y・アルフルは、この国の、たった一人の王女だ、未来の女王、もしくは、未来の王妃だ。


 なのに、どうして、このわたくしがこんな料理を食べなければいけないのよ!


 「ニーナ、あなたはもう十六才だ、王たる者は民の気持ちを分からなくてはならない、だから、今日から、あなたは民がいつも食べてる料理を食べなさい。」


 急にこんな事言われでも、だって、昨日まで豪華な料理を食べてるのよ。そもそも、こんな硬いパンと味がないスープ、本当に料理と呼べるのかな?


 こんな物を食べる人がいるわけないだろう、歯が持たないわ!


 わたくしは信じない!だから!


 「セバスチャン13、わたくしを、お城から連れ出して。」


 「ひ・・・姫様!?」


 「外にいきたいと言ってるのよ!」


 「いけません、姫様、貴方様に万が一のことがあったら・・・」


 「外が見たいと言っておる!」


 「姫様、それだけは・・・」


 「いいわ、お前がわたくしを外に連れ出すまで、何も食べませんわ!」


 「姫様、お気持ちは分かりますが、外は危険過ぎます」


 「あくまでもわたくしのお願いを聞いてくれないのね、分かった、晩餐の準備、しなくていいから」


 「姫様・・・」


 セバスチャン13はいつものように、料理を持ってきた。


 「準備しなくていいと言ったではないか」


 「仕方ありません、姫様、料理を食べたあと、出掛の用意を」


 「セバスチャン13、ありがとう」


 「もったいないお言葉です」


 こうやって、わたくしは初めて、お城から出た。


 馬車に乗ることも、これが初めて、でも、わたくし、お尻のお肉あまりないから、長い時間乗ると、お尻が痛くなった。

 

 セバスチャン13との付き合いは長い、こうやって彼と旅をすると、初めて出会った時のことを思い出したわ。


 「あなた、名前は?待って、言わなくていい、どうせセバスチャンなんでしょう」


 「姫様、確かにセバスチャンでございます」


 「あなたはわたくしが出会った13人目のセバスチャンだから、あなたはセバスチャン13だわ」


 「姫様、確かにセバスチャンは多いですが、わたしのような優秀なセバスチャンは他にいません」


 「あ!な!た!はセバスチャン13だ」


 「はい!姫様」

 

 本当に懐かしいわ、もう三年が経ったか。


 「姫様、間もなく、バゼル公爵領に到着します」


 「ええ!?バゼル公爵領って、ちょ・・・王都じゃないの?」


 「いや、王都を見ても意味ありませんから」


 「でも、わたくしが見たいのは、王都での人の食事だけ、王都から離れる必要はありませんわ」


 「姫様、国王様が何故貴方様に庶民の料理を食べろと命じたか、分かりますか?」


 「ええ、分かるわ、民の気持ちを分かるように、と」


 「では、バゼル公爵領でいいです」


 そうね、父上が治める土地は王都だけ、あの父上の王都は参考にならないわ。 


 「姫様、バゼル公爵領に到着しました。」


 「あら、そう、では降りるわ。」


 初めて外に出った、成程、城と随分違うのね。


 汚い、こんなところに本当に住めるの?


 「あなた達、こんな食べ物よく食べられるわね。あっ・・」


 投げられた、このわたくしに、こんな汚いもので・・・


 「セバスチャン13、あの無礼者を・・・」


 あ、逃げだ!


 「姫様、いけません。」


 「だって、あの者は、わたくしに・・・」


 「聞いて、姫様、あの者達は、そんなカビパンでも、必死に探した」


 「カビって、なに?」


 「長い時間に置くと、カビが生えてしまう、貴方様は見た事ないでしょう。でもね、このもの達は、そんなパンでも、一生懸命探しているのよ!」


 「パンがなければ、ケーキを食べればいいじゃない?」


 「姫様!」


 「そう言うと思った?」


 「姫・・様?」


 「セバスチャン13!!!」


 「はい」


 「もう分かったから、お城に戻るわよ!」


 「かしこまりました」


 待っているのは、怒っている父上でした!


 「何故城から出た?」


 怖い!やはり父上は怖い!


 「あの、た・・民の気持ちを分かりたくて・・・」


 あら?父上いまニヤッとしたか?いや、見間違いでしょう。


 「よかろう!で、何か分かったか?」


 「はい、わたくし、今まで本当に幸せ者でした、民はわたくしより、ずっと食えない物を食っている」


 「まずまずだな、でも、罰は与える」


 「え!?あっ、はい。」


 「罰として、セバスチャンは三日間謹慎だ」


 「父上、わたくしが無理矢理セバスチャン13に・・」


 「だろうな。だからだ、王が過ちをおかすと、苦しむのはいつも王ではない、民だ!」

 

 セバスチャン13、ごめんね。


 「ニーナ、あなたはもう十六才、だから、使命を知って貰う。知っているだろう。わしが管理出来るのは王都だけだ。でも、いつの日か、あのくそ貴族共から、土地を取り戻す!でもな、あなたが駄目な王なら、何の意味もない!分かるか?」


 「勿論です、父上。」


父上、こんな事考えてるのか?そうだね、もし全ての領地が、王都のようになったら、わたくしもこんな物を食べなくって済む、動機は不純でも、民の為なら別に悪くないわ。


先ずはセバスチャン13の見舞いに行くか。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ