魔界編 第11話 前 手紙でございますか?
「ヴァン、これを見て」
「うん? 何これ?」
「手紙だ」
「手紙って、ラブレーター?」
「違うわっ!」
「誰から?」
「お前の後輩」
「え!?」
おかしい…だって、今日後輩ちゃんに会ったのはただの偶然だったはずだ。
「お前宛てなのか?」
「うん、とにかく読んでみて」
どれどれ…前略、勇者様がどんな理由で魔界に足を踏み入れたのは存じませんが、勇者様達が魔界に来られた理由を調べるために…
「読み終わったか?」
「まだだ、せっかちすぎ」
わたくし達は魔人に捕まえてしまいました。リリーナは頭に角を埋め込まれました。あの角でわたくし達を監視しており、もしわたくし達が…
「終わった?」
「もう、うるさい」
「しょぼん…」
まあ、こいつの気持ちもわからなくもない。こいつとは長い付き合いだ。こいつ、女の子に弱いわけじゃないけど、ちょっとフェミニストなところがあるからな…
あ、続きを…もしわたくしが裏切りと思わせた行為がありましたら、リリーナは死んでしまいます。わたくし達は勇者様のせいで魔人の駒になってしまいました。勇者様、どうか責任を取ってわたくし達を助けてください。勇者様が来るまで毎晩今日に会った店でお待ちしております。
「なるほど」
「ね、ヴァン、行こう。今こうしてる間にも、あの子は僕達を待っているんだぞ」
「そうだな」
「知らなかった。僕たちの軽率な行動で被害を受ける人があるんだ」
「そうだな。お前は勇者だからな」
「罪悪感で死にそう」
「もう、うるさい!」
そうか…そうだったのか…今日の対話を振り替えたら確かにそんな感じだった。確かに最初から何しに来たと僕達に聞いたな。後輩に悪いことをしたな。アサ・オカンといえばかなりお人好しだったような。こんな後輩をこんな敵意向き出したような手紙を書かせたか…あと、あれ、猫耳ぽいのはおかしいと思った…
「ユアンさん、先輩、ごきげんよう。来てくださいましたね」
「あ、こんばんは」
「こんばんは、手紙読んだ。まずお詫びしよう。ごめんなさい」
「ごめんなさい」
「で、僕達は何をすれば良い?」
「簡単です。イエス! 魔界戦隊ファイブのドラゴンナイト、クネス・スネーク、及び死を司るドラゴンと不死を司るドラゴンを倒せばいいです。けれど、わたくしが関与してることがバレたらリリーナは殺ろされるのでくれぐれも悟らせないように」
「簡単って、あのドラゴンナイトを? 本気で言ってんのか?」
「大丈夫でございます。神聖属性はあのドラゴンの弱点です。ご心配なく」
「それに、これは魔界に宣戦したようなことだ」
「そうですね。倒すより、暗殺の方が正しいかもしれません」