魔界編 第8話後 記憶でございますか?
「ちょっと、アサ、これは、何の冗談?」
どういうこと? まさか…いや、ないない。お母さんはまだ死んでいない。私の寝言でも聞いたでしょ。
「しろ、私よ。リリーナはしろでしょ? 顔そっくりだもの」
睡眠魔法を使い始めたから、一度も夢を見たことない。なのに…ドッキリならどうして今になって…
「アサ、悪い冗談はやめて」
「冗談じゃないよ。しろが死んだあと、私も…」
何言ってんの? 分かんないけど、何が聞きたくない…
「優雅でエレガントな令嬢、それは水。静謐な水面よ、安らかな眠りをあたえたまえ、アクアスリープ」
アサは私の手を握って寝てるから、私が覚めた時アサも起きた。
「おはよう。しろ」
怖い、なんだか、アサが怖い。
「やめて、私のお母さん、すずな母さんはまだ死んでいない!」
「そうか、しろは知らなかったか…そうだな、しろがバイトしようとした時、私はしろを止めたよね。そしたら、しろは私にこう言った。大丈夫、私はお母さんのように無理しないからって」
本当のことだ…もしかして…
「しろが死んだあと、私は自殺した」
「どうして? 私のために貯めた金を使って夢を叶うべきた! なのにどうして?」
「寂しかったから」
私のせいだ…私のせいでお母さん…そうか、だからアサと誕生日が近いのか…
ちょっと待って! つまり、私が実験台にした人も、ずっと利用してきたのも、すずなお母さんだったのか…そんな…私、なんてことを…
「そうか、私、最初からリリーナのことを懐かしく感じたのはこれが原因なのか…」
どうして、気づかなかった…なんか、罪悪感で死にそう。それに、そうか、すずなお母さんは、もう死んだのか…
もうこの話を続けたくない…
「あ、桜子も前世のことを思い出した。一緒に桜子の部屋に行こう」
「桜子? あの? 桜子もこの世界に転生したの?」
「そうよ。昨日思う出させた」
「桜子の部屋って、桜子はここに住んでるの?」
「うん、桜子がクネス・スネークだよ」
「つ、つまり、しろは桜子を探すために、魔界に…」
「うん、そうだよ」
「じゃあ、わたくしは…」
「母さん?」
「あ、いや、やはりアサって呼んで。ほら、同い年なのに、お母さんはちょっと」
「それもそうだね」
なんか、変。わたくしって…あ、そうか、前世の記憶が甦っても、別にアサの記憶は消えたりしないのね。
「どうしてリリーナは、クネスが桜子だとわかるの?」
「アサは転生の時の事を思えてる?」
「うん」
「あそこで神様に聞いた」
「私もしろがこの世界に転生したことを知ったからここに転生したよ。ねぇ、しろ、お願い、桜子のことを放って置いて二人で住もう」