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魔界編 第8話前 記憶でございますか?

「私は…どういうこと? 経験してない記憶が、頭に…ぐ…す、すず?」


ようやくか、もう何回目でしょうね? 20回までは数えていたんだけど。


「すず、私…いや、リリーナ? え、何? 私、誰なの? 頭の中がぐちゃぐちゃだ」

「そうね、色々話したいこともあるけど、もう夜遅いし、寝よう」

「うん、そうする。お休み、すず」


はぁ、遂にこの日が来た。この世界に生まれてからずっと待ち望んだこの日が。私は明日から昔のように、すずしろとして暮らせるんだ。

すずしろとして…そうだな、ちょんと整理しなければ。私、いや、過去の私、すずしろはどんな人間だったのか。

私にとっては、いい人も悪い人もいないの。いるのは賢い人と賢くない人だけ。すずしろは、まあ、バカだね。すずしろはお母さんの言葉、人に優しくする時、心が暖かくなる、を信じて、時々ホームレスのためにお弁当を作っていた。最初は本当に人助けしたかっただけ。でも、いつの間に、優越感を求めるようになった。人を助けることはつまり人より上の立場にいることだからな。でも、それでいいんだと、私は思っている。偽善? 偽善じゃない、本物の善は、宗教の色に染められてなければ無理でしょ。だって、思うの、どうして他人のために何かを犠牲にしなければならないって。それにさ、偽善とか言う人は大抵善をなさない人だ。自分を正当化するために他人の善を貶めてるだけ。


そうね、すずしろは二割の優越感と八割の優しさで善をなすに対して、リリーナは利用価値といい人ぶるためしか行動しない。でも、うん、他人から見ればどっちでも変わらない、か。


あ、そうそう、すずしろは自分を偽ったりしない。元々寂しがり屋ではないから。まあ、忙しかったしな。リリーナはまあ、演技派だね。桜子は本当の私を知っているから気をつけないとね。人によって態度を変わる人は一番嫌われやすいからね。


あとは、桜子は私に寄生する前に、自分に自信を持てないの。普段は明るいふりをしてるけど…そう、桜子何をしてもまずはできないという。私が桜子に頼らない限り、桜子は何をしても自信がないの。まあ、出会ったばかりの話だけど。私が桜子に自信をつけたから今は大丈夫だと思う。


つまり、すずしろとリリーナは、外見も、与える印象もそんなに変わっていないはず。今までのように振る舞えばいい。


はぁ、疲れたわ。もう寝ましょ。


「お帰りなさい、しろ」

「ア、アサ?」

「しろ、私よ。お母さんだよ。わからないの?」


え、えーー!?


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