魔界編 第7話後 荒療治でございますか?
「いい加減にしてっ!」
「は…はぁ?」
「リリーナはね、お前の為にあの大佐というクズの秘書になったのよ! 人間もやめだ。これ以上リリーナから何を奪うつもり?」
「それは…とにかく、不公平だ! 私にはリリーナしかないのだ、なのに! リリーナが友達と絶交しなければ私は死ぬ、死んでやる」
「死ぬって、お前、不死身でしょ」
アホだ…まあ、知ってるけど。
「あ、そうだった…じゃなくて、そう、そうだ! 出てってやる!」
「いいよ、でもねぇ、この何十年、ドラゴンの目撃情報なんていなかったよ。お前が外に出たところで、お前と話できる存在はいない」
「いやよ、いやよいやよいやよ! こんな…私はただ、対等な友達が欲しいのに! 」
「いいよ、なら、ドラゴンさんも私以外の友達を作ればいい」
「でも、ドラゴン語を話せる者はお前達以外に…」
「前にもアサと話したことがあるじゃない? 私が翻訳してあげれば、アサとも話せるよ」
「でも…じゃあ、約束して、私が呼んだらすぐに来て」
「それもダメ、明後日、リリーナは私と出かけるんだ」
「不公平だ!」
「じゃあ、ドラゴンさん、また今度…」
「え…えーーっ!」
これで一件落着、あとは…
「リリーナ、ごめんなさい、いつも迷惑かけてしまって」
「いいのよ、桜子」
「さ、桜子? う、ま、また、頭痛が…」
「桜子、私だよ、分かんないの?」
「頭が…う、うはぁ…ぐっ」
またバタンと…いつもそうだ。いつもこうやって倒れて、起きる頃には前世について何も思い出せないパータンだ。でも、もう疲れた、今日、ここで終わらせる! そんな言葉があった、治らない病気には荒療治に限る、ってね。
確か、私にも水属性の魔法が使えるよね。
「えーと、確か、優雅でエレガントな令嬢、それは水。水の…えーと、玉よ、ぶっかけて、ウォーターボール」
気絶した人を起こしたいなら、水をぶっかけるのは一番手っ取り早い。
「グホ、コホコホ、え…リリーナ?」
「違うでしょ」
「え、何?」
「覚えてる? 私が働いてるファミレスで助けてくれたことを? 初めてうちに来た時、私がお母さんに似てると言ってくれたことを?」
「う、う…頭が、割れそう」
また気絶するのか? させないだから、ウォーターボール。
「コホ、り、リリーナ?」
「ブブーまたまた不正解〜」
辛そうだけど思い出すまでやめるつもりはない。だって、桜子が死んだ時、初めて泣いた。驚いたわ、まさか私が友達の死でそこまで悲しむとは思いもしなかった。だから!