魔界編 第6話 秘書でございますか?
大佐によると、秘書はただの肩書き。私は会議を出席して、セレンと仲良くすればいい。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい、リリーナ」
会議が終わったら頃、私達の荷物は全部桜子の屋敷に届いてるでしょ。
「では早速会議を始めましょう」
仕切ってるのはセレン、上半身は美女で下半身は鳥だ。
「おお」
火のゴースト、あの黒いのはオーラ? 歩くと残像みたいのが残る。
「プラント、始めるわよ、ほら、起きなさい」
桜子は私と同じ、角が生えてるけど、私と違って、手や足、首とかは鱗で覆われてるところがある。
「う、あー、だりぃ…」
風のプラント、性別はわからないけど、髪の毛は植物の根だ。あれ、おかしいな、どうして根なの? どうして葉や花とかじゃないの? あっ、そうだ、植物にとって花は生殖器なんだ…
「ところで、何故この女がはここにいるんだぁ?」
「リリーナ…」
「紹介しよ、僕の秘書、リリーナちゃんだ」
「僕? 」
「ああ、僕はもう昨日の僕に別れを告げた」
土の大佐、見た目は人間、というより、死体だね。肌が白過ぎる…
「もう帰っても? 」
「はいはい、ふざけてないでちゃんと座りなさい」
「へい〜」
遂に始めたのか、結構期待したのよ、この会議。
「今回の議題は、勇者だ。情報によると、聖剣の勇者は魔界に入ったらしい」
「聖剣の勇者がぁ? 何しに魔界に来た」
「わからない」
「はあ? 」
「わからない、けど勇者の目的を知らない以上、接触するのは危険だ」
あれ? おかしいな、だって、魔物、魔人と人間は三すくみなはず。魔人は魔力が高いから魔物に狙われる、魔物の素材のために人間は魔物を狩る、そして、魔物を対抗する為に人間を利用する魔人。なのにどうしてこの魔人達は勇者を警戒するの?
聞いたほうがいいのか? 秘書である私が知ってて当然のことを聞くのはちょっと… 後で調べよう。
「追い返せばいいんじゃねぇ? 」
「駄目よ、もし南の魔獣を倒しに来たら? 」
「じゃあほっとけばいいんじゃねぇ? 」
「それも駄目、剣の勇者は軍隊に属するから魔人と敵対する可能性もある。私達は冒険者ギルドと同盟してるけど、軍とは敵対してるのよ」
「じゃあ、どうすれば? 」
ちょ、通信石が? はぁ? 今?アサ? 今会議中なんだけど…やっば無視したほうが…うん、でも、アサは用もないのにかけてくる子じゃないからな。
「もしもし…」
タケノコか、やはり魔界はレアな魔物と出会いやすい。アサの通信石を聞いてよかった。
さあ、戻ろう。
う、みんな私を見てる…
「リリーナちゃんだったっけ」
「あ、はい」
「リリーナちゃんは人間語を話せる」
え、何の話? あっ…
「えーと…」
「話せるよね」
「とぼけても無駄だからな、昔、お前が角がなかった頃、人間語を喋ったな」
「あ、うん。そうだけど」
「リリーナちゃん、お願いがあるんだけど」
「あ、はい、何ですか? 」
「敬語はいらない」
「あ、うん」
「リリーナちゃん、君は私達の中で一番人間に似てる、然も人間語も話せる。剣の勇者と接触して、ここ、魔界に来た目的を探ってくれないか? 」
席を外したのがまずかったのかな? 違うな、ゴーストだ、私のこと、嫌っているのか? それとも…
まあ、ゴーストと馴れ合うつもりはないから、どうでもいいか。
イエス! 魔界戦隊ファイブは5人組だ、つまり…
「リリーナ、嫌なら断ればいい」
「そうだよ、リリーナは僕の秘書なんだから、こんな危険なことをしなくでも…」
「お願いしてるだけだよ、別に無理して行かなくてもいいから」
そう、つまり、三人を味方につければ、私は魔界を左右することさえ出来るようになる。今回だって行かなくでいいから。
「うん、任せて」
「ちょっと、リリーナ」
「危ないよ」
「そうか、ありがとう、リリーナちゃん。以上だ、みんなお疲れさん」
「「「「「お疲れ」」」」」
勇者か、角を隠さないとね。
「リリーナ、ちょっといいか? 」
「僕もリリーナに用があるけど」
「私もだ」
来ると思ってた。
「えーと、まずはさく、あ、いや、クネスでいい? 」
「うん」
桜子のことだから、きっと…
「リリーナはその角を移植されてから不死属性になってるよ、だから、勇者が持つ神聖属性の武器はリリーナにとって、最も危険なものなんだよ」
流石にここで気絶させるのはまずいか…
「それはクネスも同じでしょ…」
「リリーナ、まさか、私の為にぃ? 本当、お人好しなんだから…大丈夫、私も行って、影から守るから」
よし、次は大佐だ。
「お前に何かあったら、僕はどう母さんに説明すれば…」
「ごめん、セレンさんと仲良くなりたくて…」
「あっ…リリーナ、すまん、本当にすまん、そしてありがとう! リリーナに商談して本当に良かったと思う」
最後はセレンか…セレンのことはまだよくわかってないから慎重に行こう。
「リリーナちゃん、最初は遂に大佐と言う名のエロの塊を誑かす悪い女が現れたと思っていたのだが、違ったみたい。だって、ああいう女は危ないことを避けようとするから」
「私、そんな風に思われてるのか…」
「今は違う、リリーナちゃん、応援してるから頑張って!」
ちょろい…でも、ちょっと疲れた。ああ、早く戻ろう、タケノコが待ってる。