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魔界編 第5話 タケノコでございますか?

いよいよ、今日がお引越しです。この日が、永遠に来なければよろしいのに…ああ、どうしてリリーナはあのドラゴンに構うのですか?

わたくしは、リリーナとずっと宿屋で、二人だけで住みたいのです。なんと言いますか、わたくしはわたくし達だけの空間が欲しいのです、なのに…


「行ってきます」

「行ってらっしゃい、リリーナ」


リリーナはイエス! 魔法戦隊ファイブの会議に出席出来るようになりましたが、わたくしには関係のない話です。わたくしはただ、リリーナと一緒にクエストでお金を稼ぎ、平穏な日々を送りたいだけなのに…


では、わたくしもお出かけしましょうか…今日はどんな依頼を受けようかしら。ここ、魔界にも冒険者ギルドがあります。けれど、魔界の冒険者ギルドで受けられる依頼はわたくし達の冒険者ギルドで受けられる依頼とは少々違ったところがあります。わたくし達の街は素材や魔石、肉などの物が目当ての依頼が多いのですが、ここのギルドは魔物退治クエストしかありません。報酬も魔界の方が高いです。それが原因か、ここの冒険者は半分以上が人間です。


「おはよう、アサ」

「ごきげんよう」

「あの、アサ、一緒にクエストでも…」

「遠慮させていただきます」


わたくしはリリーナ以外の人と組むつもりはございません。虫ケラは話し掛けないでくださる?


「でも、アサみたいな女の子が一人で…」

「ご心配には及びません」

「じゃあ、アサはずっと一人でやるつもり」


一人ですって? いや、リリーナはまたわたくしと一緒に依頼をこなしますわ。


「誰のパーティに入った方がいいよ」

「入っております」

「本当か? でもパーティメンバーを一人させるなんて、ろくなパーティとは言いがたい」

「何ですってっ!」

「あ、ごめん、言い過ぎだ」


あなた方に何が分かると仰るのですか…


「それでは、ごきげんよう」


全部あのドラゴンのせいですわ、あのドラゴンさえいなければ…確か、わたくしの魔法であのドラゴンの角を切ったことがありましたわ、ですから、あのドラゴンを倒すのも不可能ではありません。

とりあえず、この魔物で練習しましょう。運が悪かったですね、魔物さん、今虫の居所が悪いですの。八つ裂きに差し上げますわ。


「ウィンドブレイドっ! 」


これで…あ、そんな…ありえません、魔法陣が、消えました? まさか、そんなことが…もう一度試してみましょう。


「ウィンドブレイド! 」


また消えました、いいえ、消されました。ど言うことは、この魔物に魔法は効きません…まさか、魔法陣を消すことが出来る魔物があるとは思いもしませんでしたわ。

逃げましょう、勝ち目がありません。

やはりあの方達と組んだ方がよろしいなのでしょうか? 剣士様がいっらしゃるから…けれど、わたくしのパートナーはリリーナただ一人、他の人と組みたくありません…


そうですわ、リリーナに聞きましょう、魔物博士であるリリーナなら、この魔物について色々知ってるはずです。では早速通信石でリリーナをお呼びしましょう。あ、けれど、この時間なら、リリーナは会議に出席してるはずです…呼んでも無視されそうですわ…

お願い、リリーナ!


「もしもし、アサなの? ちょっと待って…あの、申し訳ございませんが、ちょっと席を外しますね」


リリーナ、通信石に出てくれました、嬉しいです。


「どうしたの? 」

「リリーナ助けて、今回の討伐目標は魔法陣を消せるの、何か対策があるの? 」

「魔法陣を消せる? あの魔物の種族は? 」

「タケノコ、だったっけ」

「あ〜タケノコかぁ。タケノコはね、目で魔法陣を喰える恐ろしい魔物だよ、だから、タケノコが見えないどころで魔法を発動すればいい。土属性の魔法なら簡単でしょ」

「なるほど、リリーナにかけて本当に良かった、やはり私のパートナーはリリーナしかいない」

「ちょ、アサ、何言ってんのぉ、もうぉ〜あ、そうそう、目玉をくり抜いてね、結構レアな魔法石だから。あと肉も美味しいから取っておいて」

「え、ちょっとリリーナ、私、グロいのが苦手だから」

「大丈夫、一応植物に分類されてるから血なんてないよ、それじゃ」


ああ、リリーナに通信石して本当によかったです、心が熱くなりました。土魔法ですか…得意ですけれど、土魔法で串刺しにするより、風魔法で八つ裂きにする方が好みなんですけれどね。

そして、リリーナのおっしゃる通りに、魔法を発動することが出来ました…ああ、早くリリーナにお会いしたいわ。


「アサ、ただいま。おお、荷物はもう届いたのか。あ、タケノコはどうだった? 」

「リリーナのお陰でタケノコを倒したよ。ほら、肉と目玉だよ」

「よくやったね、アサ。明日、目玉をお店に持って、魔法石にして。魔法陣を消せる魔法石なんて滅多に手に入らないから」

「分かった」

「じゃあ、料理するから火を起こして」

「うん」

「昔、一度だけタケノコを料理したことがあるの」

「え、タケノコは魔界しか見つからない魔物じゃないの? 」

「あ、いや、それは…」

「変なリリーナ」


そして、リリーナの料理を食べて、懐かしい味だと思いましたわたくしは意識を失いました。


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