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魔界編 第4話 プランでございますか?

ふむ、桜子と同じ屋敷に住みたいのは山々なんだが、あの屋敷からじゃ人間の住む町は遠すぎる。アサはまだ人間なんだから、食事が必要なんだよね…


解決策は考えてたけど、やはりアサを魔人にするのが一番だと思う。うん、ちょっとドラゴンさんと商談して見ようか…


「ドラゴンさん、そういう訳で、アサを竜人にしてください」

「いやよ」

「え? でも、アサとここで住むためには、アサを魔人にする必要があるの」

「いやぁだぁーっ! また角が切られるなんて嫌だ! あたしとあの人間、どっちが大切なの? 」


はぁ、これ以上このドラゴンと話ししたくない。うん、でも、正直死霊術を使える竜人は私だけでいいとも思ってるし…


「そうだね、いくら再生できると言えども、痛いのは嫌だもんね。ごめんなさい、ドラゴンさん」

「あ、うん、そうよ、その通りだ」

「では私はこれで、邪魔してごめんなさい、ドラゴンさん」

「もう行っちゃうの? もっと話してよぉー! 」

「ここに引っ越したら毎日話せるではないか? 」

「そうなんだけど…」

「拗ねないの」

「早く引っ越してよ」

「はい、はい」


ではプランbで行くしかないか… プランbというのは、アサを殺して、アンデットとして蘇る計画なんだけど… そうすれば、アサはもう食事する必要はないし、意のまま操ることも出来る。


でもさ、アサはアンデットになると、力加減が出来なくなるとか、味覚や、感情もなくなるみたいなこと言ってたし。


なんでも言う通りにする操り人形か、今まで通りの友達、助け合う仲間かのどっちかだ。もしアサがいなくなったら……

不思議よね、六年前はアサのことが嫌いだったのにね。でも今はアサが居なくなると想像しただけで寂しくなる。


はぁ、仕方ない、ではプランcで行くか… プランc、アサが人間のままで私と桜子の屋敷に住んで、食材を買って、私が料理を作る。あ、アサがリアジュウレイアの魔法石で火を起こしてもらわないとな。うん、完璧。たとえ腹が空かなくなっても、料理を食べたい気持ちは変わらない。


そうだ、これでいいんだ、すぐにアサと話そう。


でもさ、アサは本当に桜子の屋敷に住みたいのかな? 多分なんだけど、アサは私と二人きりで暮らしたいと思う。アサが反対しそう…どうしよう? うん、仕方ない、あの技を使うしかないか…


「アサぁ! やったよ、苦労した甲斐があったよ、嬉しい! 」

「え、な、なに? 」

「聞いて驚かないでよアサ、私たちはね、今度ね、クネスさんの屋敷に住めるの! 」


私のハシャいてる様子を見って、反対できるのかな?


「え? 」

「うん? 」

「え、私達、あの屋敷に住むの? 」


え、私の技が、通じなかったのかな? 顔色が…


「うん、そうだよ。アサ、嬉しくないの? 」

「そ、それは… 」

「宿泊費も払わなくていいから結構楽になれるよ」

「でも、あ、そうだ、あそこからじゃ…食事が…」


ふん、その問題はもう解決済みだ。


「それなら心配いらないよ、食材を買って私が料理を作るから」

「はぁ? 」


アサが間抜けな顔になってる。アサとの付き合いが長い私は分かる、納得させたようだ。


「リリーナって、料理できるの? 」

「うん、出来るけど」


すずしろだった頃は料理得意だったからな…


「住もう住もう! ああ、いいようね、そうだよね、宿泊費も節約出来るしね、ウヘヘヘ」


よし!


「あ、いや、待って、リリーナは私と同じく、十二歳だよね。そして、六歳で学院に来た。ということは、リリーナは六歳前から料理作ったのか? 」


あ、やばっ… これどうしよう?


「うん、まあ」

「リリーナ、私頑張るから! 精一杯稼ぐから! お願い、リリーナと二人暮らししたいの! 」


問題はお金じゃないよね… でも、私も方向間違いてる、技も、手料理と言う餌も、アサが心から求めるものではない… けれど、折角手に入れたチャンスだし、無駄にしたくない…


「でも、あそこに引っ越してもちゃんと二人暮しだよ」

「でも… リリーナ、お願いっ! 」

「ねぇ、アサ、私とどんな二人暮ししたいの? 」

「そ、それは…」

「ねぇ、アサ。アサはどうして私に、ここまでついてくれたの? 」

「私は…」

「最初はね、アサのことが嫌いだったの。先生との約束を守るためにしようがなくついてこさせたけど…」

「リ、リリーナ……っ……」


言い方悪かったのかな? 泣かせちゃった…


「でもね、今はアサがいなくなると寂しくなる、これからもアサと一緒に居たい」

「嬉しい……ウウっ……でも、別にあの屋敷……ヒクっ…に住まなくでもぉ……」

「うん、でも、あの屋敷に住んだら、ドラゴンの面倒が見やすくなるから。お願い、アサ、分かって」

「そう…だね、これ以上、ワガママ言ってはダメなんだね。分かった、料理の方、私も一緒に頑張るから」


うん? 料理? あ、料理出来るのは私が背伸びしてると思ってるのか…


「心配いらないよ、私の料理は美味しんだよ。引っ越したら食べさせてあげようか」

「もう、この小悪魔め…」


はぁ、疲れちゃったよ。反対するのは予想したけど、ここまでとは思わなかった…色々本音も漏れたし… でも、やはり、アサは人間のままでいいと思う。


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