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魔界編 第2話 盗み聞きでございますか?

『アサ、彼女の動き全部報告してね』

『でも、言葉分からないよ』

『大丈夫、分からなくでいい。でも、出来るだけ正確に発音を覚えてくれれば嬉しいけど』

『う、うん、頑張ってみる、私達の未来のために! 』


私達の未来? どういうこと? あ、忘れたとアサに知られたら怒られそう、けど、今は思い出す暇はない。とりあえずアサの話に合わせよう。


『うん、私達の未来のために! 』


「大佐さん! 」


私は口に右手の人差し指を当てて、左手の人差し指で扉に指を指した。流石にこれで分かるよね。


「? 」


あ、忘れた、こいつはアホだ、親子揃って馬鹿だ。

ふむ、仕方ない、話を逸らそう。


「本当に良いお母さんですね」

「ああ」

「私、ちゃんとできたのかな? 」

「だから、お母さんがリリーナちゃんのことが凄く気に入ってるから、僕とつき…」


この馬鹿! はぁ、よかった、間に合った、僕と付き合ってという前に口を塞いだ。


『ナニシテルノ? タッチャン、ハヤクオシタオシナサイヨ! だって、どういう意味? 』


早いよ、何を考えているの? 嘘でしょ、あいつまさか私達がへんなことをするまでずっとあそこで盗み聞きするつもりか?

はぁ、仕方ない…


「ところで、これを見って下さい、これをどう思いますか? 」

「すごく…大きい」

「触りたくありませんか? 」

「いいのか? 」

「うん」


リアジュウレイアの魔法石だけどね。上手く勘違いされたのかな?


『アサ、状況は? 』

『変な笑い声を上げてる』


無粋なお母さんだ、終わるまで盗み聞きするつもりか? もう…


「大佐さん、出して見たい? 」

「本当にいいのか? 」

「うん、一杯出して」


魔力で火魔法を…


「あ、外で出してね」

「もちろんだ」


じゃないと部屋が壊れるから。


『リリーナ、あの女はいやらしい顔をして何処かに行ったわよ』


よし!


「ねぇ、大佐さん、先の告白、本気じゃないよね? 」

「割と本気だったよ」

「大佐さん、セレンさんのことが好きでしょ? あれは嘘だったの? 」

「嘘じゃない! だがな、彼女が僕のことをゴミを見る目で見るんだ、耐えられないんだ! それにさ、母さんは父さんが死んだ時から、こんなに嬉しかったのはこれが始めてだ! 」

「なるほど、彼女への気持ちはゴミを見る目で見られたくらいで冷めるんだ…」

「そんな訳ねぇだろう! 彼女はねぇ、僕の幼なじみだ。魔人の寿命は長い、だから出産率も低い、だから同じ世代の魔人は滅多に出会わないんだ。僕と彼女は同い歳だ! それにさ、僕は彼女に一目惚れしたんだ! イエス魔界戦隊ファイブで一緒に仕事ができると知った時、僕がどんなに嬉しかったのか」

「諦めたくないでしょ? 」

「だが、母さんがこんなに喜んでくれたし」

「あなたのお母さんは…」

「分かってる、僕は母さんのために生きているわけじゃないと言いたいだろう」

「違うよ、大佐さんの母さんが嬉しかったのは大佐さんが彼女を出来たわけではないの。大佐さんが幸せになれるから嬉しかったです。セレンさんを思うまま私と付き合っても、大佐さんは幸せにならないよ」

「でもさ、セレナはそう簡単に落とせる女じゃない…ああ、分かった、リリーナちゃんも僕の友達のように無責任なことばかり言って僕を恥じらわせるつもりだな」


ムカッ!


「すると、私はわざわざ大佐さんを恥じらわせるためにここにいるんのですね、こんな芝居まで付き合って…」

「ごめん、リリーナちゃん、今のは僕が悪かった。そうだな、リリーナちゃんは勝負を勝って来なくでもいいはずなのに」

「謝ることはないですよ、大佐さん」

「リリーナちゃんって聞き上手だな…」

「ありがとうございます」


ふん…


「なあ、リリーナちゃん、リリーナちゃんならきっとセレンの気持ちを分かるはずだ、どうすればセレンと仲良くなれるんだろう? 」


来た!


「私はセレンさんのこともよく分かりませんし、接触できる機会もありません」

「じゃあさ、僕が会議に連れて行くよ」

「そんなこと言っても、一回、二回くらいじゃセレンさんの気持ちを分かるはずもないですよ」

「じゃあこうしよう、リリーナちゃんは今日から僕の助手、いや、秘書だ! これからは僕と一緒に会議に出席しよう」


ふ、ふふふ、計画通り!


「でも、私みたいのがあの会議を出席するなんて…」

「リリーナちゃん、お願いだ、この通りだ」

「分かりました、大佐さんがそこまで言うのなら」


よし、恩も売ったし、大成功、なのかな?


「では大佐さん、私はそろそろ…」

「リリーナちゃん、本当にありがとう。リリーナちゃんのお陰でまた頑張れるようになった。会議する度に迎に来るからな」


あ、そうだ、忘れるところだった。


「大佐さん、これ」

「貰っとけばよかったのに」

「いやいや、これはセレンさんのために取っておかないと」

「それもそうだな」


疲れた、はらは減らないけど。ああ、私、本当にもう人間じゃなくなった。


「あら、リリーナちゃん、泊まっても良かったのに」

「誘ってくれで大変嬉しかったのですが、また別の機会にしましょ。あ、大佐さんのお母さん、お会い出来て本当に良かったです、本当にありがとうございました」

「また来てね、絶対だよ! 」

「はい」




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