魔界編 第1話後 挨拶でございますか?
「リリーナちゃん、これ」
え、魔法石?
「えーと…これは何ですか? 」
「私がたっちゃんの父と結婚する時、私のお母さんがくれたものだ、今リリーナちゃんにあげるよ」
早いよ! 重いよ! これどうするの? 貰うの? いやいやいや、こんなもの貰ったら面倒なことになりそう…
「そんな、貰えません」
「どうして? 」
いや、どうしてって…
「大佐さんとは付き合ってばかりで…」
「でも結婚するよね」
「それは…」
「え、結婚しないの? 」
「するつもりですけれど」
「なら問題ないじゃない」
おい、大佐、なんとかしてください!
目をそれすんな…はぁ、アサ、助けて!
『アサ、どうすれば』
『この人の性格を考えたら絶対に取っちゃダメ』
私もそう思う! アサを連れて来て本当に良かった!
「えーと、私は普通な女の子で、大佐さんはイエス! 魔界戦隊ファイブの一人です。私は大佐さんに釣り合うかどうか…だから、私が大佐と釣り合う女になるまでは貰う資格がありません」
「なんていい子なんだ…たっちゃん、リリーナちゃんはたっちゃんと釣り合わないの? 」
「いや、そんなことないよ、僕の方がリリーナちゃんに釣り合わないよ 」
「なら問題ないじゃない、さあ、受け取って」
はあ、仕方ない、後で大佐さんに返そう。
「リリーナちゃん、ちょっといいかしら? リリーナちゃんと二人きりで話したいの」
「ええ、いいですよ」
「たっちゃんと侍女さんはちょっとここで待ってて」
私がいないと、アサは魔人語が分からなくなる、大丈夫なのかな?
「ねぇ、リリーナちゃん、たっちゃんのどこか好き? 」
どこも嫌いだけど…
「そうですね、不器用で頑張り屋さんなどころが愛おしい」
う、反吐が…
「そう、そうなの! たっちゃんがリリーナちゃんと一緒に居れば安心だね、さあ、たっちゃんのところに戻ろう」
はあ、流石に疲れた…
「さあ、たっちゃん、リリーナちゃんをたっちゃんの部屋に連れてって」
なっ…
「わかった」
ちょ、大佐、お前…まあ、これはお芝居だと大佐もちゃんと分かっているし…アサも部屋の外にいるし、大丈夫か。
「リリーナちゃん、お願いします、僕と付き合って下さあい! 」
「え!? ちょっと、何を? 」
「お願いします、お母さんはリリーナのこと、凄く気に入ってるからさ! 」
「ちょ、大佐さん…いやいやいや、大佐さんは好きな人がいるでしょ」
「それは…でも、父が死んだ時から、お母さんがそんなに嬉しかったのはこれが初めてだ」
「いやいやいや、大佐さんのお母さんが嬉しかったのは、大佐さんが彼女が出来たからでしょ、別に私でなくでも」
「お願いします! 」
ダメだこれは…
『リリーナ、気をつけて、大佐のお母さんは扉の外って盗み聞きするつもりよ』