ドラゴン編 第11話 大佐でございますか?
「好きな子が居るんだ、同僚の子で」
同僚? 桜子じゃないでしょうね?
「でも、向こうはその気がないと言うか、友達のままでいいって言われて、でも、諦めたくないと言うか…そんでうちの母さんが凄く心配してて、彼女を家に連れて、安心させようと思ったが…」
ああ、そういうこと、こんな息子だから、親も心配する訳か。なるほど、モテない人が背伸ばししたら、あんな風になるよね、女性はちょっと褒めるだけで落とせると思ってる。
「そんで、友達に相談したら、別に彼女じゃなくで、セフレでもいいんじゃねぇって…そしたら、あの子が、ゴミを見る目で僕を見るようになった」
ははっ! 馬鹿だな、こいつ…
「要するに、大佐のお母さんに会い、大佐さんと付き合ってるふりをすればいいんですね」
「ああ、そうだ、来てくれるのか? 」
「ちょっと考えさせてください」
「明日返事貰える? 」
「あ、いや、五分くらいでいいですよ」
そうね、確かに、死霊術のテストしたいから是非こいつと勝負したいんだけれど、問題はこいつが信用できるかどうかの話になるよね。一応桜子の知り合いだし、行く前に運をチェックすれば問題ないでしょ。でも、付き合ってるフリね…大佐の母さんがめんどくさそうからいやだな、きっと私を会えたくて大佐にプレッシャーをかける、そしたら、ふふふ、大佐に恩を売ろう。そうね、万が一に備えて、アサも同行させて貰うか。
「もう一度確認させてください、私と大佐が勝負をする、私が勝ちましたら、大佐さんの家に行かなくていい、大佐さんが勝ちましたら、私は一度だけ大佐さんの家に行って、大佐さんのお母さんの前で恋人のフリをする、それで良いんですか? 」
「ああ」
かかった!
「わかった、ただし、勝負の内容は私が決めさせていただきます」
「ああ、いいよ! では明日勝負したあと家に来て貰うか」
「明日って、だめですよ、準備させる時間くらい下さいよ。それに、私が勝ったら行かなくていいって約束したじゃない」
「じゃあ、明日勝負しよう、そんで、明後日家に来てもらう、死体はちょんとこっちが用意するから」
死体…まぁ、死霊術だから仕方ないか…
「では明日の10時、さく、あ、いや、スーネク家に迎えに来てください」
「おお! そういやリリーナちゃんとクネスちゃんは知り合いだったのか? 」
「うん、えーと、大佐さんの好きな人ってひょっとして…」
「あ、いや、僕の好きな人はセイレーンだ」
セイレーン、ああ、水の…
「そうですか、では私はここで」
「明日迎えに来るからな」
流石に疲れた、あ、桜子が待っててくれた。
「終わったか? 」
「うん、待ってくれてありがとう」
「友達だからね、私の家まで送るよ」
「ありがとう」
そして、私達はスピードラゴン車に乗った。
「ねぇ、クネス、私、大佐を信じてもいいのかな? 」
「リリーナ、大佐に何もされていないよね? 」
「されてないよ、ただ、勝負に負けだら大佐の家に行くことになったけどね」
「はぁ、リリーナはバカだ、どんでもない大馬鹿だ! 私がリリーナの側に居てあげないとね」
うん、私の頬を撫でて、瞳を見つめてる。チャンスかな?
「桜子…」
「さ、桜子? う…頭が…痛い…頭が…割れそうだ…」
「桜子、大丈夫? 」
「わ、私は、佐倉…桜子…」
あ、気絶した、起こさないと。
「桜子、桜子、起きて、桜子! 」
「あ、リリーナ、私…」
リリーナ? 私のこと、また思い出せないのか? いや、焦っちゃダメ、焦っちゃダメ。
「急に倒れてびっくりしたよ」
「あ、ごめん」
「気にしないって」
「あ、リリーナ、大佐の家に行っちゃだめ」
「でも、もう約束したし、それに、私、ドラゴンさんに自信をつけさせたい」
「でも大佐は危ないよ、女のことしか考えない変態だから」
「心配しないでも大丈夫、大佐はそんな悪い人じゃないから」
「ねぇ、やはり私も一緒に行くよ」
「ダメよ、大佐さんが困るから」
「それは困るさ、リリーナちゃんを犯せないから」
「もう、そんなに心配しなくでも」
「リリーナは断れないからよ」
別に断れないわけじゃないけどね。とりあえず桜子に知らせた、あとは最後の難関だな。
「アサ、明日大佐との勝負がもし負けたら、大佐の家に行けなくちゃならないことになるの」
「男の家に? 一人で? 」
アサは大佐の噂が知らないようだ。
「明後日、アサと一緒に行きたい」
「勿論一緒に行くよ」
「実は…」
私はアサに大佐の事情を話した。
「アサは私の侍女を演じて欲しい」
「拷問かな? 」
「え?」
「いや、なんでもない? 」
「いや、リリーナ、勝ってばいいじゃないのか? 」
うん、勝たなくじゃね、勝たなければ計画はずっとずれるから。
「そうね、でも練習もなしで勝てるかどうか…」
「練習か、あ、死体が要るのね、ちょっと魔物を殺しに…」
「ちょっとアサ落ち着いて」
結局練習してなかった…