ドラゴン編 第2話 再会でございますか?
いや、そんなバカな、桜子もちゃんと記憶を継承したはず・・・
まさか、継承していなかったの? そうよね、記憶継承は、5000点もかかるし、貴族になったし、そんな点数、残せるはずないよね。
そもそも、私が探しにくるなんて、予想もしなかったから、仕方ないよ、うん、仕方ない・・・
バカだよね、私って・・・桜子が記憶を継承してないなんて、どうして予想できなかったでしょう。
物事を悪い方に考えて、対策を考える私が・・・
「誰だか知りませんが、離れた方がいいですよ、このドラゴンは不死身だ、戦いはまだ終わっていません」
「足を退け! 」
「エリック、落ち着いて」
怒っている人に対して、落ち着いては最高の煽り言葉だと思うけどな。
「離れろ! いつまで私をここに閉じ込む気? もう五百年だぞ、私は五百年も空を飛んてなかったぞ、対話する相手もいなくて、暗い地下に閉じ込められるドラゴンの気持ち、ちゃんと考えろ! 」
「ごめんなさい、本当にごめんなさい、わかりました、約束します、暇があったらエリックと話ししに来るから、ね」
「でも、私じゃなくて、ジャスティンを選んだでしょう」
「それは・・・」
「私より、ジャスティンの方がいいでしょう」
「えーと」
「外に出る! 」
「ま、待って」
うわー、こいつ、面倒だな。人間も、ドラゴンも、孤独すぎるとこうなるのか・・・
「じゃあ、毎日来て、私と話して」
「それは、ちょっと、毎日は・・・えーと、週一回なら」
「やっばり私のことはどうでもいいのだ、わかった、外に出る」
「あ、ちょっと待ってください、本当に忙しいんです」
「じゃあ、ドラゴンを探せ、それとも、君以外にもドラゴン語を話せる人間がいるの? 」
え、ドラゴン語? ドラゴン語で会話していたの? ひょっとして、私、ドラゴン語を話せるかも・・・いや、まずは様子を見よう。
「あ、また外に出たくなった」
「あ、私、どうすれば・・・」
「どうせ私なんか誰も気にしていないんだ」
「そ、そんなことないよ」
桜子かわいそう、でも、このドラゴンとは関わりたくないな・・・
いや、待って、私がこのドラゴンの話し相手になれば、桜子の側に居られる、い続ける理由が出来る!
状況は大体理解した、このエリックとか言うドラゴン、ただ構って貰いたいだけ、つまり、構ってちゃんだ。
構ってちゃんは無視が一番だけど、そうも行かないよね。
構ってちゃんと交流するには、話術も大事だけど、一番大事なのは、気を長くすることだ。
ドラゴンだし、役に立てそうな情報もきっと得られるはず。
「かっこいいドラゴンですね、五百年からここにいたのか、ずっと年上ですね、物知りさんなのかな」
「ドラゴン語? 君は、一体? 」
「そうだ、私こそが不死の象徴として崇めされ、不死を司るレジェンドドラゴン、エリックだ! どうだ? すごいだろう」
うん、予想通りの性格だ、構ってちゃんはとにかく褒められ弱い、褒められ慣れていないからな。でも、構ってちゃんを褒め過ぎると、更に面倒くさくなるから程々にしないと。
「娘よ、どうやってドラゴン語を話せるようになったのがわかりませんが、気安くにドラゴンに関わると、ロクな結果にならないよ」
「黙れ、スネク家の小娘が」
「すこいよ、すこいだけど、閉じ込められたから、この500年間がのことは全然知らないよね?」
「なん・・・だと?」
「ちょ、死ぬわよ、もうこれ以上この件に関わらないでください」
「私が色々教えてやる、その代わり、あなたも色々教えて」
「ふ、ふはははは、面白そう、のった」
これで対等な関係を築き上げた、あとは自分を優位に立たせよう。
「君はうちの門番ですね、持ち場に戻りなさい」
「あ、はい、でもこの子は?」
「大丈夫、さぁ、行きなさい。そしてドラゴン語を話せる君、ちょっとついて行きなさい、あと、エリック、先のことを忘れって、この子を巻き込まないで、この埋め合わせは必ずしますから」
「 おい、スネク家の・・・」
「大丈夫よ、エリック、私達、もうお友達でしょう」
「ははは、そうだ、もう友達だ、待ってるよ! 」
これで桜子とも仲良くなれる。
「どういうつもりなのかわかりませんが、ドラゴンとは関わらない方がいい、知識が欲しければ図書館に行きなさい」
「桜子」
「桜子とは何ですか? 」
「私だよ、すずしろよ、本当に忘れていたの? 」
「すず・・・う、あ、頭が・・・痛い」
頭が痛い? それは良かった、痛いと言うことは、いつか私のことを思い出せるかもしれない。でも早まっちゃダメ、嫌われてしまう、ゆっくりに思い出させよう。
「大丈夫、それより、もうドラゴンに近寄らないで」
「そしてエリックをずっと抑えるつもり? 」
「っ・・・」
「私に任せて、何の心配も要らないよ」
「でも、君見たいな子供に」
「あなただって、私と同じく、12歳な子供ではないか? 」
「どうしてそれを? 」
「さぁ、どうしてでしょうね・・・私はリリーナ、リリーナ・ナナリーよ、よろしくお願いします」
「私はクネス・スネク、よろしくお願いします、これを持っていて、この屋敷の通行証です、あと、ジャスティンのことだけではなく、困ったことがありましたらいつでも相談しなさい」
ついてにエリックのことを誑かして見ようか。