魔人編 第7話 粉末でございますか?
「グオァアーーー!」
何これ? 耳が痛い! 咆哮しているの?
あーもう! うるさい!
「・・・」
「え? 何? 聞こえないよ! 」
「・・・・」
「聞こえないでば! 」
アサは空に指さししながら何を言っている。
空に何があるかな?
え!? ちょ、嘘だと言ってよ、アサ!
あれは・・・あれは・・・リアジュウレイア!
あ、咆哮止んた。
「アサ、逃げるわよ、依頼主さんのも伝いといて」
あ、いや、今アサが傍から離れわけにはいかない。
「あたしも一緒に行く」
「うん」
ハエハンターはまた気付いていない、リアジュウレスの気を引てるから、しばらく大丈夫。
問題は空を飛んでいるリアジュウレイアだね、リアジュウレイアはリアジュウレスと同じ、攻撃されない限り、火球ブレスを吐いて来ない、今はまだあたし達の魔力量を測っているから、今しかない、走れ、あたし。
「依頼主さん、温気に見てる場合じゃないです、逃げてください」
「え? あ、でも彼らはまだ戦てるんだ、勝てる可能性も・・・」
「空を見てください、リアジュウレイアが・・・」
「まじか・・・でも、僕たちが逃げだら、彼らはどうなるのか? 」
「これはリアジュウレスを呼び寄せた彼達の責任です」
「そ、そうだな、でも、一応彼らにも伝えよう」
「そんな余裕あると思います? 」
そんな余裕、君があっても、あたしがないのよ。
「そうだな、おい、リアジュウレイアが来た、僕達は先に逃げる、お前達も・・・うん、死なないで」
「おい、てめぇら、くそが、俺らも逃げるぞ」
残って囮に成れよ、あなたの責任何だから・・・
「アサ、出来ればリアジュウレイアを攻撃しないで、あたしが運転するから、状況を報告して」
「わかった」
うわ、やはりあたしを狙って来たか。
「リリーナ、これ以上は無理、攻撃していい? 」
「ええ、でも先ずは翼を折って」
「はい」
あたしもできるだけ車を左右に移動させる。
「ウオォォ、ウゥウーー!」
落としたようだ、つまり、火球ブレスが来る。
「リリーナ!」
「分かっている、火球ブレスがくるんでしょう」
「違う、ハエハンターが・・・」
「ええ? ハエハンターがなに? 」
「ハエハンター、こっちに向かって攻撃仕掛けて来た」
「え!? うわぁーーっ! 」
「うわぁーーっ! 」
な・・・なに?
スピードドラゴン車がひっくり返した・・・
あのハエハンターが、こんな卑怯な・・・
あたしは、いや、あたしは違う、確かにハエハンターを囮にしたいけど、別に行動をしていなかった、なのに・・・
幸い、リアジュウレスはあっちに行った、じゃないと・・・
「アサ、迎撃! 迎撃! 」
「え? あ、はい! ウィンドブレード! 」
「水よ! 水魔法で! 」
「あ、はい、アクアアローズ」
やばい、噛みついてくる、こっちは前衛がないのに・・・
どうしよう?
今はあたし、いや、あたしとアサの命がかかっているから、全力で行く。
先ずリアジュウレイアの運を全部奪う、あたしとアサで分ける。
問題はどう分ける、半分ずつ? いや、あたしが七割? いや、アサが死ぬかもしれないし。
いいよ、アサは大切な・・・えーと、大切な・・・そう、駒、駒なのよ。六年をかけて育った、大切な駒なのよ。
よし、半分ずつ。
頭痛くなるあれもやるか・・・
はい、使て・・・
・・・
おい、使てよ。
・・・
でも、ねぇ、頭痛くなるし。
もう、使てよ、痛がる場合か?
うん、駄目だわ、三日後自然死、その前にあたし達が死ちゃうわ。
でも、あたし達はまだ黄色なのよね。
いやいや、油断しちゃ駄目、勝つ方法を考えなくちゃ。
先ずはあの火球ブレスを何とかしたい、歯も何とかしたい、そうなると・・・
うん、喉と歯から運を抜いて・・・
駄目か、やはりきっかけがないと・・・
きっかけ、きっかけ・・・
こうするのはどうだ?
「アサ、もうちょっと時間を稼いで、何とかなるかもしれない」
「は、はい」
このスピードドラゴン車にもあるのかな?
有った、やはり商人さんのスピードドラゴン車は違うわね。
「出来るだけリアジュウレイアから離れて」
「はい」
「あたしが合図を出したら、最上級魔法を詠唱して」
「え!? でも、詠唱したら、火球ブレスを迎撃出来なくなる」
「あたしを信じて」
「はい」
ゆっくり、ゆっくりとリアジュウレイアを近づいて・・・
火球ブレスを使おうとしている!
「アサ、今だ! えい! 」
喰らいなさい!
リアジュウレイアが火球ブレスを使う時、くしゃみをさせて、火球ブレスをリアジュウレイアの口の中に爆発させる、これで火球ブレスを使えなくなった。
「自由で、マイペースの少女、それは疾風、荒々しい竜巻よ、全ての敵を空中に巻き上げて!ウィンドトルネード!」
うわ、飛べないはずのリアジュウレイアが高く飛んだ、いや、飛ばせた。
「リリーナ、凄い! 凄いよ! 」
「はぁ、生き延びた」
「うん、リリーナのお陰様で」
「そんな、大袈裟な」
「でも、やはり、魔物研究員って凄いよ! あの粉末は何? どうして火球ブレスはリアジュウレイアの口の中で爆発したの? 」
「胡椒だ」
「胡椒って・・・え?? 」