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序章 第5話  ずるいでございますか?

今回は残酷な表現がありますので、苦手の方は最初の少しだけを見ないで下さい。

 

「きゃぁー!」


 お父さんが、お母さんの目の前で真っ二つになった、叫んでいるお母さんの首もはねられだ。


 あまりにも驚いてあたしは思わず涙を流した。でも、声を出しちゃ駄目、あたしは必死に口を手で塞いた。


 今はかなしみにおぼれている場合じゃない、弟や妹達を隠さないと!


 「お姉さん、今日は早いね~あれ?お姉さん、どうして泣いているの?」


 やはり彼らは何が起こっているのか知らない。


 ウイがいない、後で彼を捜さないと。とりあえず弟や妹達を山に隠す。


 「お姉さん、お父さんは?」


 「・・・・いい?絶対にここから出ちゃ駄目だよ、お姉さんはウイを探しにいくから。」


 「かくれんぼ?」


 「そうだよ、外に出たら負けだよ。」 

 

 今は説明する暇はない、それに、どうやって彼らに説明すらばいいのかもわかんない。それよりも、一刻も早くウイを捜さないと。ウイは海でお魚さんを捕まえに行ったはず、お願い、神様、ウイを守って。


 神様のバカ、ウイは捕まえられた、あの連中は若い人を捕まえ、老いた人を殺す。捕まえられた皆は全員二十歳未満だ。


 反抗する人もいるけど、あたし達の武器じゃあの連中が纏っている石に傷一つも付けられない。反抗した人はすぐに全滅した。


どうしよう、どうやってウイを取り戻せばいいの?


 無理だ、ウイは諦めるしかない。この命に引き換えで助かるなら、あたしは迷わずにこの命を捧げる。けど、あたしが命を換えても、ウイを助けることは出来ない、ここは他の兄弟の為にも、死ぬ訳にはいかない。


 先ず、あの連中がいつまでこの島に泊まりたいのかもわかんない。だから、あの連中の目が届かない場所で、水や食べ物を取るしかない。


 あの連中を観察する必要がある。先ず、若い人を捕まえ、老いた人を殺す、つまり、働ける人が欲しい。でも、それだけじゃ、あの連中がこの島に住み続ける可能性も否定できない。だから、あの連中が荷物を何処へ運ぶのかを見るんだ。もし、荷物を島へ運ぶなら、やばい。


 「お姉さん、もうかくれんぼは飽きたよ、それより、お腹はもうペコペコだよ、果物を食べたい!」


 あーあ、もっとやばい事が起こった。弟や妹達があの連中に気付かれた。もうおしまいた。


 「きゃぁ・・・お姉ちゃん、お姉ちゃんっ!」


 血を見たことがないオイが気絶した、でもどうせあの連中から逃れる術がない。逃げてるカイも、キイもすぐに捕まえられた。恐らく、あたしは唯一まだ捕っていない島民なんだろう・・・


 でも、どうする?一人で隠れる、生きるか、皆と一緒に捕まえられ、死ぬまであの連中の為に働くか。あの連中はあたし達の言葉がわかんない。だから、弟や妹達があたしの事をあの連中に言っても、あの連中はあたしの事を知らない。でも、あの連中は働く人が欲しい、つまり、あたし達は殺されない。問題は弟や妹達はまだ働けない、あたしがいれば、彼らの代わりにあたしが働ける、彼達が楽になれるはず。一体どうすればいいの?


 「お姉さん、この人達は誰?」

 「何故外に出た、絶対出ちゃ駄目だって言ったのに!」

 「だって、お腹減ったもん!」


 あたしが悪いんだ、ちゃんと話せばそんなことにはならなかったのに・・・


 あたしはすぐにあの連中に捕まえられた、あの連中の一人はあたしの顎を持ち上げ、何かを言っている。言葉が通じないから、余計に怖くなっだ。


 そして、次の日、あの連中は島から食べ物を沢山奪った後、あたし達全員があの大きい木みたいなものに連れて行かれた。この木みたいなものは多分海を渡れる。まさかあたしの夢がこんな最低な形で叶うとは思わなかった。


 あたし達がこの暗い部屋に閉じ込められて、一体何日が経っただろう。最初は毎日水と食べ物が与えらたけど、いつから無くなったのかは、もう思い出せない。あたしは我慢が得意だから、毎日半分位のお水を残していた、水はずっと飲まずに含むだけ、あたしは知っていた、海の水は飲めないから、実際、あの連中も出発する前に食べ物より、お水の方を必死に探していた。


 でも、残念、弟や妹達はあたしみたいな節約上手なしっかりものではない、とっくに水を全部飲んでしまった。そこで、問題だ、あたしが貯めたこの水は、例えあたしが飲まないとしても、一人分ほどしかない、一体誰にあげればいいの?


 「あっ、お姉さん、水を隠している、ずるい!」


 「お前、どんだけ卑怯だよ、いつも一番で果物を食べてただけじゃ足りないか?今度は水も独り占め?」


 「お姉さんはもう死んだ方がいい!」


 「お前ら、お姉さんはそんな人じゃないよ、そんなこと言わないで!」

 

 「ウイ・・・」


 「さっ、お姉さん、水を俺に下さい。」


 所詮ウイもお水の為にか・・・


 これは流石に・・・心が痛い、ずるい、ずるいってずっと言われてきたけど、そこまで悪いもの扱いされると、さすがにあたしも、もう・・・


 でも、やはり泣いちゃ駄目、あたしは何も言わずにお水を渡した、元々弟や妹達の為に貯めたお水だから。


 心が痛い、目の前で、親が殺され、いつも自分より大事な弟や妹達に誤解されて、親が死んだいま、もう誤解は解けない。


 そして、もう一つ大きな問題がある、それは、あたし達がこの暗い部屋から出ることは出来ない、だから、大小便もこの部屋の中でしなくちゃいけない、だから、皆も・・・


 あまりにも臭くって、誰かが吐いた、そして、嘔吐物の匂いでまた誰かが吐いた、誰一人として我慢出来るの者はいない、全員吐いた、まるで地獄を見てる気分だ、あれ?地獄って、何?


 

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