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逃走編 第2話 ゴーストでございますか?

 「はぁ、ようやく戻った」


 「送れてくれてありがとうございます、シスコーンさん」


 「ありがとうございます、シスコンさん」


 「シスコーンだ! 」


 「では、縁があったらまたどこかで会いましょう」


 「あぁ、またどこかで」


 はぁ、二日無駄にした。早くスピードラゴン車を予約しないと。


 「おお、これは可愛い子ちゃんじゃないか。火のゴースト様を見に戻ってきたかい? 」


 火のゴースト? どっかで聞いたことがあったような・・・駄目、思い出せない。


 「火のゴーストって、イエス!魔界戦隊ファイブのあの火のゴーストですか? 」


 なるほど、でもどうして魔界のえらいさんがここに?


 「そうだ、知らなかったか? 」


 「ええ」


 「えーと、どうして火のゴーストさんがこの町に? 」


 「十二年前に、とんでもない魔物が人間界と魔界の境に暴れまわったけど、人間と魔人が手を組んで撃退したが、その魔物が戻ってきたらしい。だから、ゴースト様があの魔物を退治しに来た。今回は兵隊の代わりにゴースト様一人だけ来てくれたけど、兵隊より頼もしく思えるよ。」


 十二年前に? まさか、お父さんと叔父さんが命落とした、あの戦闘か?


 けれど、あたしと関係のない話だわ。


 「あっ、そうだ、あなた達冒険者だよな、今日、冒険者ギルドでゴースト様を歓迎する晩餐会が開催された、行って見るといい 」


 町がこんなに賑やかになったなんで、二日前はそんな賑やかじゃなかった。


 「それにしても、リリーナ、上手くシスコーンさんを騙したね」


 「うん」


 「ひょっとして、リリーナって、嘘上手いなの」


 やばっ! 手の内を見せることになっちゃった。 これだから、仲間を作りたくなかった。


 「まさか、あたしを・・・騙したことも・・・あったりする、なんで・・・ない、よね? 」


 「あるわ」


 「え!? 」


 「ある」


 あたしはバカだ! ここは、そんなことないわよって、答えべきだ。なに感情的になってるんだ、あたしは!


 「誰だって、嘘の一つ、二つをつくから気にしなくていいと思うよ。素直になってくれてありがとう」


 「あっそ」


 やはり、アサはあたしのこと、何一つわかっていない。


 なに? あたし、アサに理解されて欲しいの?


 そうか、なるほど、感情的になった理由がわかったわ。あたし、もう嘘はつきたくない・・・もう・・・疲れた、こんなお芝居みたいな日々を終わりしたいの。


 もしかすると、あたしが桜子を探す理由って、桜子を死なせたから償いたいわけではなく、ただ桜子と過ごしたあの頃に戻りたいかもしれない。


そのために、アサを駒にした、嘘と演技で。


 アサとの関係は、嘘で築き上げたもの、今更やめなれないよ。やめたら、以前がついた嘘が全部バレルから。


 もし、アサは本当のあたしを知ったら、また昔と同じ、優しく接してくれるかな?


 違う、あたしが、アサをあたしから離れられないようにさせるんだ。アサをあたしにメロメロさせてあげるんだ。


 でも、そううまくいくの? アサは男ならうまくいく自信があるけどな。すずしろが研究したのは、男を魅了する方法だけ、女には通じないわ。


 死んだふりをしたあと、面白半分で上目遣いをしたとき、可愛いって言ってくれたけど、女の子が同性に対して使うかわいいって、信じべきものじゃない。


 もう、ホントにどうすればいいのよ? 


 いや、待って、前にアサがあたしを愛しいものを見る眼差しで見つめたことがあったよね、アサは妹が欲しかったと思う、一人っ子だし。


 そうと分かれば、妹としてアサに甘えるよんだ。


 まさか、バイトが辛くて、やけくそになってすずしろが、金持ちを落としそうとする時研究した男を落とせる方法が、ここまで役に立てるとは思わなかった。


 「ねぇ、アサ、もっと近くに来て」


 「え!? あ、え!? 」


 必殺、耳元で囁く!


 「ねぇ、頭なでなでして」


 「はぁ!? どうしたの? リリーナ、熱でも・・・あ、いや、リリーナ、いいの? ハァハァ。ホントに、いいの? 」


 「いい、よ」


 「あぁ、あぁぁ、リリーナ~」


 またこの眼差し、作戦成功かな?


 「ねぇ、アサ、もし、もしだよ! もし、あたしは悪い子だったら、アサはあたしのこと、嫌いになる? 」


 怖がるふりをして、アサを見つめる!


 「きらいになれるわけないじゃないか! 」


 よし、作戦大成功!


 「ねぇ、腹減ったから、ご飯食べに行こうよ」


 「待って、あと1分撫でさせで」


 「だめ~」


 「30秒」


「30秒だけだよ」


 「うん」


 結局お芝居しなきゃいけないのか・・・


 あたし、もう救いようがないかも。


「ねぇ、アサ、火のゴーストの晩餐会に参加しない? 」


 「うん、いいけど大丈夫なの? リリーナは人が多い場所が苦手じゃないの? 」


 「それでも、いきたい」


 「じゃ、行こう」


 「うん」


 ちょっと心配だわ。


 「ちょうど晩餐会が始めた」


 「冒険者の諸君、よくぞ きてくれた。このゴースト、感激だ。皆が知っての通り、俺は、あの化け物を退治しに来た。あの魔物は強い、でも、俺は戦えなければならないのだ、民を守る為に、これが、俺の使命だ! でも、これはお前ら冒険者の使命でもある! 今回お前らは参戦しないけど、自分の使命を忘れじゃいけない、魔物を倒せ、民を守ろう! 乾杯! 」


 「乾杯! 」


 「ねぇ! アサ、あの魔物って、すごく強いよね? 十二年前、人間と魔人がたくさん犠牲になって、ようやく撃退した魔物だろう? ゴースト一人だけで大丈夫なの? 」


 もし負けたら、セレナお母さんやフランカが・・・


 「リリーナ、耳を貸して」


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