冒険編 第8話前 戸惑うでございますか?
「リリーナちゃん、もう三日だし、そろそろ返事、貰えるかい? 」
この三日間、色々考えだ、あたしが魔物図鑑を覚えて、冒険者に成った意味。それは、桜子を探す為にだ。桜子を探す為にも、冒険者に成るしかない。元々桜子を探す為にその世界に来たから。
けれど、もし転生した前に、記憶がなくなったらきっと今より楽に生きるだろう。今まで、一度もリリーナ・ナナリーとして生きたことがない。生まれてからすずしろの記憶があるから、リリーナ・ナナリーと言う人間は元々存在しなかった、あるのはリリーナ・ナナリーの皮を被る別の人間、鈴川すずしろだ。
もし、すずしろの記憶がなければ、リリーナ・ナナリーはどんな人生を送るのだろう? アイの人生はすずしろの記憶のせいで滅茶苦茶された、リリーナの人生まですずしろの記憶に左右されるのは、本当にいいのかな?
きっと、すずしろと言う薄汚い大人より、無邪気な子供、リリーナ・ナナリーの方が楽しく生きられる、今でも遅くない、すずしろじゃなくて、リリーナ・ナナリーとして生きるのも悪くないと思う。
すずしろとして、桜子を探す為に生きるか、リリーナとして、冒険者として生きるのか?
「リリーナ、あたしが知っているリリーナは、無理に自分がしたくないことをさせようとしないのよ、未知の冒険に不安を覚えるのも仕方ないと思うけど、あたしもいるし・・・」
「あなたが知っているリリーナ? あなたが知っているのは本当にリリーナ? 本当にリリーナと呼べるの? 」
「どういう意味? 」
「実はね、あたし・・・」
何を言いよとしているんだ、あたしは? まさか弱音を吐きたい何で。
「いや、何でもない」
「リリーナ、これだけを覚えて、例えリリーナがどんな人でも、どんなことをしても、あたしはずっとリリーナの味方だよ! 」
アサの体暖かい、こんな風に抱きしめされると、何故か、スズナお母さんのことを思い出した。
「さぁ、アサ、行きましょう、あたし達、二人だけの旅」
「はい」
ごめんなさい、入院中なので今週は半分しかありません。