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平和推進編 第4話 後 人形劇でございますか?

 「なあ、公爵さんよ。偉そうに御託並べてさ、結局お前がリーダーになりたいだけじゃないのか」

 

 ここでドロシー参戦。


 「ああ。そうだ。それがなにか」

 「ふざけんな! 獣人だけでは飽き足らず、今回は魔人も奴隷にしたいのか!」

 「奴隷、か。実に聞こえが悪い言葉だな。私はただ、無能な者にも生きる目的と役割を与えてやろうというだけのことだが?」

 「お前! お前! お前ぇーっ!」

 「吠えるな。さて、セレン、貴様はどうだ。本当に、ただ平和のためだけにこの戦争を止めたいと? 十分な勝算があっても、か?」

 

 それは、私がずっと考えていたこと。今、ようやくブレイク公爵の口を借りてセレンさんに問うことができた。

 

 「それをあなた方人間が言うのか! 魔人を狩って魔石にするあなた方人間が!」

 「魔人の密猟は法律で禁止されている」

 「それを取り締まらなければなんの意味もない! ……それでも、ケルベロスの仲間を見て、人間を知って、人間でもいい人と悪い人があることを知った」

 「そうです。私もリリーナ様と出会うまでは、人間を憎んでいました」

 「理由はどうであれ、貴様も私と同じく中立ではない。この場で、己の陣営が有利になるよう立ち回る。それが為政者というものだろう」

 「それを否定するつもりはない。だからこそ、私はリリーナをリーダーにした」

 「本当にそれが理由か? 笑わせてくれる。貴様ら納得云々ほざいてるが、結局貴様らは自分の都合のいいことをこのリリーナという小娘にせがんでるだけ。違うかね」

 「ミシェルをお前ら俗物と一緒にするな。ミシェルはちゃんと自分の考えを持ってる。暴動を扇動し、一時休戦に持ち込んだのも、人間の魔人への偏見を少しずつ解きほぐしているのも、全てミシェルの仕業だ」

 「誰だね、貴様は。庶民風情がこの私に意見するとはな」

 「これだから俗物は! 地位以外縋るものはないのか? ここは議論の場だ。ちゃんと理屈で反論しろ! 大体お前はまだ公爵のつもりか。ゾンビにされた挙句、ゾンビ狩りから逃れてここまで亡命してきたのだろう! それで偉いつもりか」


 ゾンビの話題が出た。……ブレイク公爵、手筈通りね。アサも私の死霊術の詳細を思い出し、これは一人人形劇であることに気付く頃ね。下手に余計なことを口にさせないよう、手を握って釘を刺しておかないと。本当は事前に打ち明けるべきだったけれど、アサは演技が得意ではないから……敵を欺くにはまず味方から、なんてね。


 「確かに私の命は、この小娘に握られている。だが貴族を見くびるな。命を握られた程度で、この信念が曲がるものか。庶民風情が何を分かった気でいる。日々の生活に追われる貴様らにな。……それに、だ。そもそも貴様らが『納得』だの『同意』だのと騒ぐのは、心の底ではこの小娘を信用していない証拠ではないのかね?」

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