平和推進編 第3話 後 組織体系でございますか?
待ち人が来てくれた。いや、『待ちゾンビ』と言うべきか。トーマスの件でゾンビ狩りが始まった影響で、こちらに合流させた面々だ。元獣人奴隷国からのブレイク公爵、貿易国家から元帥と国王。そして……レオンさん。私が、はじめて殺した人……。
覚悟してやったことよ。後悔なんてしない。それより。
「皆さんにお聞きしたいけど、良いリーダー、良いトップになるにはどうすればいいの?」
「支配と奨励でございます」
「規律であると」
支配と奨励。飴と鞭のようなものなのか。
「私はリーダーではあるが、実権がないので支配なんてできないよ。規律もそう」
「責任の所在は?」
あれ?
「私……だと思う」
「実権はない。責任は背負う。リリーナ様、それはいけませんな」
言われてみれば確かにそう。
「ではまずは実権を握ることから始めなくては」
「それはあんまりしたくないかも」
実権なんて握たらもう逃げられない。それに……。
「ケルベロスには、明確な組織体系が存在しないの。現状だと、あくまでも魔界のトップと勇者の交流の場、あるいは平和を望む人間や魔人の寄り合いに近い。組織と呼べるかどうかすら怪しいなのかも」
「ならばリーダーもトップもあったものではないな。都合よく利用されているだけではないか」
「そうだね」
「それなら選べる道は二つだ。体系を整えて実権を握るのか、リーダーを辞退するのか。道は二つだ」
そうなっちゃうのか……。
「……体系を整える方向に進めることにする」
私が残っても、残らなくてもこれは必要だと思ったから。
「王様は先ほどから一言も発してないけど。君の意見も聞かせてほしい」
「体系を整えることには賛成だ。だが、余は『王の資質』を語りたい」
「王の資質?」
「そうだ。王の資質とはなんだ?」
リーダーシップみたいなものなのかな?
「部下を納得させられる、よく回る舌……なのかな?」
「違うな。重要なのは舌ではなく、目だ」
「目か。でも私に部下を選ぶ権限はないよ」
「『人を見る目』とは言っても、『選ぶ目』ではない。『見透かす目』だ。人の持つ『才能』、その者が『できること』、そしてその者が『したいこと』。この三つは、全く違う」
「適材適所ってことか」
「60点というところか。『適材適所』という配置に満足する者もいれば、それ以上の何かを求める者もいる。名誉、地位、財産、正義……。部下の欲望を見抜き、『この方こそが自分を理解してくださる』と思わせることが肝要なのだ。そうすれば、彼らは心からお前に尽くすだろう。無論、部下たちの間には価値観の対立も生まれよう。その際は、どちらを優先することが組織にとって最大の利益となり、損失を最小限に抑えられるか、常に天秤にかける必要がある」
これが本物の上に立つ人か。勉強にはなったけど、私にできるのかな?




