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平和推進編 第2話 後 「それでも家族」でございますか?

 なぜあいつの地下室に少女がいるのか。答えは分かっているのに、僕の頭がそれを認めるのを拒んでいた。


 「パパって誰だよ!」

 「パパはパパだよ?」

 「お前のパパじゃねぇよ!」


 僕は力任せにその子を突き飛ばし、地下室から逃げ出した。


 翌朝、地下室の鍵を閉め忘れたことを思い出した。僕が地下室に入ったことが、あの男にバレるに違いない。一日中びくびくしていたが、何も起こらなかった。きっと、あの子が鍵を閉めて、僕のことを黙っていてくれたのだろう。


 数日後、僕は再び地下室に忍び込んでた。少女は僕のことを「お兄ちゃん」と呼んだ。僕もそれを受け入れた。


 あれから毎晩のように、僕はミアに会うために地下室へ通った。

 ミアは、雑用係としてこき使われてる。

 彼女の母親は魔人で、あの男に囚われ……。

 心を病んでたミアの母は数年前亡くなった。ミアはこの地下室から一度も出たことがない。いつか母の故郷に行くのが夢だと教えてくれた。

 僕が「いつか連れて行ってあげるよ」って言ったらミアは弾けるような笑顔を見せてくれた。

 外で捕まった昆虫を見せても、他愛のない話をしても、ミアは笑ってくれる。魔法学院でのことを話したときは、一緒に泣いて、慰めてくれた。ミアと過ごす時間は、かけがえのない僕の宝物だ。

 

 だからあの男のことが憎い! ミアも、母さんも。僕の大切な人を、人として扱わないからだ!


 月日は流れ、僕はあの男の背丈をとうに追い越していた。もう母さんとミアを守れる。当時の僕は、愚かにもそう信じ込んでいた。次に母さんに手を上げたら、叩きのめしてやると考えていた。


 また些細なことで母さんを殴り始めたあいつに、僕は殴りかかった。だが、あっけなく返り討ちにされた。僕を庇ってくれた母さんを背に、あいつは「お前らが悪いんだ」と吐き捨てて地下室へ消えた。

 「あんな奴、いない方がいい!」


そう喚く僕に、母さんは静かに言った。


「それでも、あの人はあんたの父親なんだよ。……それに、お父さんは間違いなく、あたし達のことを愛してる」


 もし時間が戻せるのならと、何度思ったことか。カッとなった僕は、言ってはいけないことを口にしてしまった。

 「なにが愛してるだ! あいつは……」

 僕は母さんに、ミアと彼女の母親のことを全て話してしまった。案の定、母さんはあいつを問い詰め、そしてまた殴られた。


 そして、ある日、仕事探しから家に戻ると、家の周りには衛兵が大勢いて、家の中はおびただしい量の血で赤く染まっていた。

 ……どうやら母は、ミアを他の魔石密猟者に売り飛ばし、それを知った父が母を殺したらしい。そして父も、その罪を問われて死刑を言い渡された。

 両親の遺産で、どうにか魔石に加工される前のミアの角を取り戻すことができた。

 僕はミアの夢を叶うために、ミアの角を手に、ミアの故郷を目指す旅に出た。そこで出会ったのが、イエス! 魔法戦隊ファイブのゴーストだった。

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