戦争介入編II 第12話 後 安心でございますか?
「でもさ、すずはただ『ガラスは白い』とだけ言うのではなく、ちゃんと理由をつけてみんなを納得させるじゃない?」
「説得力があるのと、正しいのとは違うけどね」
まあ、全知全能ではない以上、何かが絶対に正しいとわかる術はない。だから説得力で判断するのは悪いことじゃないとは思うのだけれど。
「あたし達さ、すずの言葉だけを信じてるわけじゃないんだよ。この際だから言わせてもらうけど、あたしずっと言ってたよね! すずお人好しすぎるだって! 前世からそうだった! すずのそんなところが大嫌いだった! いいようにされるのを見てざまぁと思ったと同時にイライラしてた!」
「桜子……」
「……嫉妬もしてた! すずを閉じ込めたいぐらい」
アサといい、私ってすぐどっかに行っちゃう感じなのかな? まあ、桜子は冗談で言ってるとは思うけど。
「とにかく! あたしが言いたいのは、あたし達が信じるのはすずの言葉だけじゃない! すずが今までしてきたこと、性格、考え方、そういった小さな積み重ねを鑑みて、すずをリーダーにした。もちろん、みんながすずに頼り……というより、甘えすぎたのは否めない。あたしだってそう。でも、頼れる人、答えを出してくれる人、納得させてくれる人……すずがいるとすっごく、こう……安心する」
楽ではなく、安心、か。
「私だっていつだって正解を出せるわけではないのよ」
「それはみんなも分かってると思うよ。でもみんなの納得のいく答えならたとえ間違ったとしても仕方ないとみんなは思うはずよ」
昔は信じてたかもしれないけど今は……。
「少なくともケルベロスのみんなはなにがあってもすずのせいにしないと思うよ」
いやだって、私はトーマスの件で呼び戻されたし。
「トーマスの件はすずを呼び戻せるための口実だよ」
考えてることバレちゃった。
「親友だからね。すずが考えてることぐらい分かるよ。話を戻すけど、みんなはすずに言われて結構反省したよ。セレンさんのあんな顔ははじめて見たし」
「セレンさんどうな顔してたの?」
「えへ? 本人に口止めされたから言えなーい」
「もー、桜子の意地悪っ!」
「かわいい」
「ちょっと、腰に手を回さないで」
「とにかくすずに重荷背負わせすぎのはわかってるけど、あたしとたぶんすずのお母さんもなにがあってもすずの味方だから安心して」
「こんなことになると知ったらもっと帝王学とか、兵法とかの本を読めばよかったぁー」
「でもすずはあたしと一緒にあのシリーズやってたじゃん」
「現実に武器の三すくみなんてないし……っていうかそろそろ手を放して」
「いいじゃん! 親友じゃん! スキンシップだよ」
「もーっ!」




