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戦争介入編II 第7話 前 正義でございますか?

番外編も同時に投稿したのでお忘れなく

 「私、この気持ちを抱えたままでは戦えない。ジョーリィ君はどうなの?」


 教皇猊下の命より、聖なる弓の勇者の仲間という名目で派遣された監視役として、数年前から女性勇者、アレクシアと共に行動し、その性格は大まかに把握したつもりだ。だから、彼女がこんなことをくちにしても別段驚かない。

 前回の戦争が終結してから国内、いや、国内外問わず、トーマス財団主催の魔族との対談の映像が流れている。当然アレクシアにも必ず観たはずだ。

 アレクシアは国から招集され、戦争に参加はしたものの、乗る気がかんじられなかった。そして、現在の一時休戦状態では、アレクシアはもはや自分の本心を隠せなくなっている。どこまでも素直な人だ。こういう人だからこそ、勇者として女神さまに選ばれたのだろう。

 しかし、困ったものだ。こっちは教皇猊下からは何とかしても我が国の勇者の手で魔王を打ち倒すように勅命を受けてるんだ。しかも、共同訓練に参加している他国の勇者、ジョーリィを戦争から離脱させようとしては、我が国はその責任を取れない。どうすべきか……。


 「僕は……」

 「ジョーリィ、君も魔族との会談映像は見たはずよ。魔族だって人間と同じ、感情を持ってるし、魔人の中にも戦争を望まない者は多いのだ」

 「それは理解している。しかし、残りの勇者二人が招集を応じなかった。だからこそ、君と僕がちゃんと勇者として、国のために行動しなければ、人々は安心して暮らせなくなる」

 「……それもそうだけど。いや、むしろ、我々勇者が自ら進んで魔界と交渉するべきじゃないのか。国のお偉いさんを見るに交渉する気さらさらないし」


 いけない。教皇猊下は魔王の首がご所望だ。どうにかして軌道修正を図らなければ。


 「アレクシア、国と民のために戦うことこそが勇者の本分だ! 迷うな」

 「私は国の単なる道具になるつもりはない」

 「違うんだ、アレクシア。耳を傾けてほしい。国には国の事情がある。勇者が知りえない情報を、公開してはならない情報も存在する。そうした情報をも踏まえて国は決断を下しているのだ。だから、国の命令に従うのが最善だ。もしアレクシアが本当に民のために思うのならば、国の判断に従うべきだ」

 「けれど……」

 「魔族だぞ! 人間より魔族を優先にするつもりか? 勇者が人間のために真剣に考えなければ、誰が人間のために考えるというのだ! 目を覚ませ!」

 「……分かった」


 それでいい。勇者はそうあるべきなのだ。

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