戦争介入編II 第6話 前 ライバルでございますか?
ごめんなさい。投稿したと思ったのですが、してませんでした。ですので、今週は前後まとめて投稿いたします。
「くっそ! リリーナ・スネークめ!」
第三勢力の存在を考えると、これ以上人間との戦争を続けるにはあまりにもリスクが高すぎる。
1回目、撤退しようとした人間を追撃したところ、後方から人間の部隊に襲われ、かなりの損害を出した。
2回目は後ろから魔獣の群れに襲われた。
最初の襲撃の時は、まだリリーナ・ナナリーの策だとは思わず、単なる人間の戦術だと考えていた。
しかし、よく思い返すと、もしそれが人間側の策だったとしたら、撤退するフリをやめ、私達を新手と挟み撃ちにするはずよ。
そして2回目の襲撃では私達だけでなく人間側も攻撃を受けていた。つまり、第三勢力が絡んでいるのは間違いない。
さらに、2回目の時に人間を襲ったのは魔獣、私達を襲ったのは魔獣のゾンビ。これはセレンとタイサの固有魔法によるものに違いない。あの二人は魔人だ。回りくどいことはしない。
こんな戦術を考えつくのは、リリーナ・ナナリーただ一人。
「リリーナ・スネークめ! クラーラ! 俺はリリーナ・スネークに対抗するために、君を魔人にし、腹心にした。それなのに、人間である君はなぜリリーナ・スネークの策を見破れなかった!」
「申し訳ございません」
「謝罪なんか求めてない! なぜ見抜けなかったのかと聞いているんだ!」
ゴースト様には返しきれないほどの恩義があるし、尊敬もしている。だが、上司としては……。
リリーナ・ナナリー、私が魔人になったきっかけにもなった宿命のライバル。
前回対峙した時も、思った通り、巧みに言葉を操り、人を意のままにするのを厭わない人だった。
一人だけとは言え、まさか私の固有魔法を破るとは思いもしなかった。それこそ私のライバルだ。
セレンとタイサが固有魔法で操る魔獣はともかく、傭兵を雇うための資金をどうやって用意したのか。
人間側に協力者もいると考えるべきだ。
人間の協力者か……。私も協力者を集めるべきか。ただ、人間を洗脳するのと、信者を集めるのとは訳が違う。 私の固有魔法は、心に秘められた感情を増幅するだけ。
例えば、傭兵に女神の愛を説いても、「女神の愛なんざ金にならねえよ」で終わってしまう。
それに、リリーナのように自己理解が深く、理性的な人にも効果が薄い。その人達は理性で感情を抑え込むことができるから。
例えば、好きな人と目が合った時、「目があった! 両思いに違いない」と考える人もいれば、「毎日会うんだから、目くらい合うだろ」と合理的に解釈する人もいる。
リリーナ・ナナリー、私のライバル。是非私の人間への復讐劇を彩ってくださいよ。
まあ、私は絶対負けないし。何せ、私にはゴースト様すら知らない、リリーナ・ナナリーに確実に勝てる奥の手があるのだから。




