戦争介入編II 第3話 前 将来の夢でございますか?
「ところで、人生ゲームって何?」
「えーとね、人生ゲームというのはボードゲームで、サイコロを振って、出た目だけマスを進んで、マスに応じてイベントカードを引く……」
「双六と同じじゃないか?」
もちろんドラゴンさんにもわかるように、ドラゴン語でもう一度説明しあげた。
「ちょっと違う。双六はゴールに辿り着く順番を競争するゲームで、人生ゲームは財産の多さを競争するゲーム。また、双六の指令を執行するのは私達プレイヤーで、人生ゲームのイベントの影響を受けるのはゲーム内の私達の化身である駒ゴーレム達」
もっと細かくルールを説明して、私たちはゲーム会場に移動した。桜子が用意してくれた土地で、今回もドラゴンさんがマスを見やすいように、アサに土魔法でマスを作ってもらった。
そして人生ゲームは始まる。
「まず種族を選んで」
「種族?」
「そう、人間か、魔人か」
「あー、なるほど。人生ゲームとは別の人生を体験するゲームってことだもんな」
「獣人を選べないの?」
「ライオンズハートの皆様の努力があって、獣人奴隷の殆どが解放されたし、これからは差別されることなく、人間と同じ人生を送れることになるでしょ。だから、獣人として人生ゲームを楽しみたいのなら、人間を選ぶといいの」
「アイちゃんのおかげでもあるのよ」
「ありがとう。そう言って貰えると嬉しいよ」
「「ふふっ、あはは」」
「ちょっと! 二人だけの世界に入らないで!」
「人間か、魔人か」
「そう。ドラゴンさんはどっちにする?」
「リリーナ今の種族は人間なの、魔人なの、どっち?」
「私は……」
難しいこと聞くのね。
「そうね。人間であり、魔人でもある」
この世界の分類だと魔人だけど。
「ドラゴンさんはまず人間を体験しようね」
「わかった」
私・アサのコンビとドロシーは魔人、ロッティとドラゴンさんは人間。
「ゲームスタート!」
サイコロで順番を決めた。今回も接待プレイだし、もちろん私たちの運をちょっとだけドラゴンさんに譲った。
まずは子供時期からスタート。
「勉強? 人間はなんのために勉強するの?」
「それはね! 俗物どもは基準が欲しいのさ。人の能力を評価する基準をね。勉強できるかどうかだけでは人の能力の測れないのにね。なのに、人それぞれの長所を伸ばさず、みんな同じようにする、させる」
ドロシーらしい意見だね。
「それもあるけど。子供ってね。みんながみんな小さいな頃に将来何になりたいかなんて、決められるわけではないからね。例えばドロシーは演奏家になるって、いつ決めたの?」
「子供の時から楽器習ったけど、演奏家になりたいと決めたのは数年前かな?」
「じゃあ、ドロシー子供の頃、今こうして平和のために奔走する日々を想像してた?」




