戦争介入編II 第2話 前 都合のいい友達でございますか?
漫画でよく『友達100人作りたい!』なんてキャラが出てくるけど、私に言わせれば友達100人作ったところで幸せになれるとは限らない。友達って結局ギブアンドテイク。時間も体力も、心の余裕もお金も全部限りがある。用がある時だけ友達なんていらないし、都合のいい友達扱いするのも、されるのもいや。
私が悪いなのかな? 成り行きでみんなと仲良くなっただけなのに。ううん。きっと私が悪いんだ。人間の感情を利用しすぎた。意識してやる場合もあればし、無意識でしてしまったこともある。その結果がこれだ。
どこで間違ったでしょう? 学校でアサと仲良くなったから? 桜子を探しに魔界に行かなったから? そうしなかったら私はちゃんとした仕事について、好きてもない誰かと結婚して幸せになったのかな?
「アイちゃん! 会いたかった!」
いきなりロッティに抱きつかれて、頬ペロペロされた。
「ロッティ…しばらくぶりだね」
「アイちゃん……」
「ちょっと! ミシェルを離しなさい、この俗物獣がぁ!」
この二人も私の被害者なのよね。私に騙されてずっと私のことが忘れられないロッティと、折角出会った私という理解者を失いたくないドロシー。だから、この二人は多分私がいないとケルベロスには残らないと思う。
「まあ、俗物どもにこき使われるのは癪だとは思うけど、せめて姿を消す前に一言私に知らせれば……」
「そうよ。ついて行ったのに」
それが困るのよね。
「立ち話もなんだし、とりあえず上がろうよ」
アサは……一瞬恨めしそうな顔して、すぐ後ろめたい顔に変わった。
「食べてないよね」
「「うん」」
「じゃあ一緒に食べようか」
何が言いたそうな顔してる。まあ、この二人のことだし、きっと……。
「ねえ、ミシェル、今後どうするつもり? しばらくしたらケルベロスに戻る? それともずっとここにいる?」
「まだ決めてないけど、しばらくここに留まるつもりよ」
「じゃあ私もここに住む」
泊まるじゃなくて住むのね。
「私も。構わないのよね?」
「うん。部屋いっぱい空いてるからね」
食事後、私は二人にドラゴンさんのことを話した。
ロッティは獣人組織、ライオンズハートの幹部。いざという時に獣人の援軍を頼めるのかもしれない。ドロシーはブレイク公爵の協力のもとで煽動工作をしてくれてる。正直、そのままケルベロスに残って欲しい。そうでなくとも、ロッティには獣人の未来、ドロシーには演奏家になる夢がある。ここに縛るのは許されることではない。問題はいつこの話を切り出すか、だけど。
とりあえず。
「人生ゲームしようか」




