戦争介入編II 第1話 後 抜けた穴でございますか?
「やった! 角とれた」
「すごいよ、ドラゴンさん。上達するのは早いね」
私とドラゴンさんが何をしてるというと、オセロよ。まあ、接待オセロだけどね。
オセロはパスさせるゲーム。それをせず、初心者のようにいっぱい裏返せるところに置くだけ。
ちなみに、このドラゴンさんも遊べるサイズのオセロをアサに作られた。イライラしながらも作ってくれた。将来は他のボードゲームも作らせる予定。
収穫はちゃんとあった。何せ、魔王の魔法について知れたんだから。
魔王は混沌魔法を使うらしい。
「目の前がばーって、もやもやかかって、体がペチャって」
話を聞く限り、恐らく範囲を指定し、その範囲内の物体を物理的に干渉できる魔法だと思う。空間そのものを歪める魔法か、あるいは見えない何かを操る魔法。もやもや自体は移動しないらしいから恐らく前者。
ドラゴンさんは魔王が眠りにつく前に魔王と戦ったことがあるらしい。魔王に体をポキポキ折られたけど、ドラゴンさんは不死だからゾンビ戦法ができる。でも魔王にダメージ与えられないから千日手になってしまう。
その空間の歪み? もやもやは多分聖なる武器で消せる。だから、魔王を倒せるのは勇者のみと言われてる。アサの光魔法も混沌魔法に対抗できるかも知れないけど、振ればいい武器と比べて、光魔法は詠唱を必要とするから、混沌魔法の対策になれないかも知れない。
そろそろ魔王対策を考えなければならない時期だったので助かったよ。
獣人を奴隷にしてた国はレプリカ工場が襲撃されたことで大慌て。虎の子のレプリカ部隊も、レプリカに聖なる力のチャージができなくなり、一般人部隊になってしまった。
魔界がどうなってるかっていうと、ゴーストはもちろん、あの魔物のアンデッドの群れを操ってたのはタイサだと知ってる。ただ、今タイサとセレンは魔王の支配下にはいない。タイサとセレンの介入を止めたければ武力に訴えるしかない。当然、魔界内戦になっちゃうし、二正面作戦にもなっちゃう。概ね計算通りことを運んだと言える。
まあ、一応引き継ぎ業務はちゃんと済ませたし。桜子の話によるけど、翻訳の仕事はソニアがきちんと務めてる。桜子は前世人間だったから、人間と魔族、両方の目線から物事を考えるし、困ったことがあったら桜子は実際相談役である私と連絡取れる。だから、私が抜けた穴はちゃんと埋められたと言っていいでしょ。
「ロッティとドロシーは必死にすずを探してるけど、すずの居場所黙っておいた方がいい?」




