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戦争介入編 第13話 前 ギブアンドテイクでございますか?

 「リリーナ。ありがとう。もういいの?」

 「アサ?」

 

 アサが許してくれそうだけど、私は私であまり戻りたくないのよね。みんなに偉そうに説教して今更「エヘヘ、やはりリーダーに戻る」なんて言えないよ。


 「桜子、あとで連絡するね」

 「わかった」


 桜子は私とアサの意志を尊重するなんて言ってたけど、本心は私にケルベロスに戻って欲しいと思う。ドラゴンさんのことを切り出すタイミングも意地悪かったし。


 「アサ、大丈夫だよ。ドラゴンさんのことはどうにか……」

  

 約束破りたくないから、安易な約束はしたくない。ひとまずアサの出方を見るか。


 「リリーナ。もういいの! 満足したよ。戻ろう?」

 「アサはそれでいいの?」


 アサはいいって答えるでしょ。問題はアサに甘えていいのかどうかよ。


 「うん。もう満足したから」

 「満足って、これからじゃない? もっとこの世界を見て、知って、楽しむことだってできるのよ」


 お願いだから私に説得されないでよ。


 「ううん。これ以上リリーナを困らせたくない」

 「アサ……」

 

 そう、それでいいのよ。


 「リリーナ、私……私はね、本当は桜子が言ってたように、色々捨てたわけではないの。リリーナも知ってるように、私は今生の母との関係が悪く、貴族の身分になんの未練もない」


 あー、なるほど。桜子に敵わないって言われて、負い目を感じちゃったのね。


 「私、本当はリリーナを縛る資格なんてなかった」

 

 資格、ね。このままにしておいた方が私に都合がいい。でも、この人は今生でも、リリーナだった前世もずっと私のそばにいてくれた人。アサが悲しんでるのに、都合がいいだからってそのまま罪悪感に苛ませるわけにもいかないの。


 「要するに、アサは私にたくさん貰えたのに、私に何も返せてないと思ってるのね」

 「……うん」

 「私が思うに、どんな関係でも基本はギブアンドテイクだとは思う。でもね。ギブアンドテイクって何もお金や物質に限った話ではないと思うの。笑顔、幸せ、一緒にいてくれた時間。それらを私たちは与え合った。そうでしょ?」

 「リリーナ……」

 「だからね、アサはワガママを言っても、ばちは当たらないと思うの」

 「……だ…ダメだ。今日は涙腺が緩いみたい」


 覚悟決めるしかないね。今生は他人に捧げるって。アサが死ぬまでアサの側に、アサが死んだあとは桜子の側に。自由はないでしょうけど、幸せは確実にあると思う。


 「でも、そうね。他のみんなから貰った幸せはまだ返せてないし。約束の一年までまだ時間があるし、とりあえずドラゴンさんをなんとかして、陰ながらも戦争を止めるためにできることしよう。それでいい?」

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