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戦争介入編 第12話 後 捨てたくてすてたものでございますか?

 魔界を目指す旅ではなく、時間潰しのための観光でもなく、正真正銘の旅行でございます。目的地がなく、時間を気にせず、魔界と人間界のことをも忘れるリリーナとの時間。最高に幸せな時間でございます。

 前世で私もしろも忙しかったし、お金の余裕もなかったので、旅行なんて考えもしなかった。だから、こうやってしろと旅行できるなんて本当に夢のようだ。前世の分の幸せをも取り戻した気分。

 しかし、今生で一番幸せな日々が終わりを告げております。そう、リリーナの通信石の鳴る音と共に。

 

 リリーナは約束を守ってくれようとしてくださいました。嬉しゅうございました。リリーナがあの方々を叱咤激励するお姿が大変凛々しゅうでした。そして、わたくしのことを思ってくださったことに、胸がいっぱいになり、思わず涙が溢れてきました。

 桜子も、わたくしとリリーナの関係を認めてくださいました。桜子、貴女はいいライバルでしたわ。

 

 ところが、あの排泄物ドラゴンと来たら。いつかあのドラゴンを屠るために、わたくしは王族を手にかけ、光魔法を手に入れました。

 リリーナを困らせる悪いドラゴンは骨も残さず浄化して差し上げます。


 ……。リリーナを困らせる点に関しては、わたくしも他人のことを言えませんわ。なぜなら、今一番リリーナを困らせているのは他ではない、このわたくしなのですから。

 先ほど、リリーナは困ったような顔でわたくしの方を見ました。わかっております。リリーナは本当はリーダーとしてケルベロスに残りたいのです。

 リリーナが一番輝くのは悪者を論破し、みんなを導く時でございます。それを、わたくしが奪うとしているのです。

 桜子が私はリリーナのために、様々なものを捨てたと仰いました。しかし、わたくしが捨てた物の中で、わたくしにとって本当に大切な物は一つもありません。憎たらしい両親も、貴族のしがらみも、わたくしが捨てたくて捨てたものなのです。わたくしはリリーナのために何一つ犠牲にしていませんでした。それどころか、リリーナに犠牲させ続けた。

 重いという自覚がございます。リリーナはリリーナの全てを奪うとするわたくしを責めることなく、受け入れてくださいました。なのに、どうしてわたくしはリリーナを信用しようとしないのでしょうか。

 リリーナは他の人を好きになることはありえません。存じております。

 わたくしが一言、満足したしたから魔界に戻りましょうと申し上げれば全てが解決するのに……。

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