戦争介入編 第12話 前 職務放棄でございますか?
ドラゴンさんのことはちゃんと考えていたけど、結論出せなくて先延ばしにしてた。
ドラコンさんを私達の旅に同行されるか、このまま桜子の屋敷の地下に放置するか。前者の場合、アサは嫌がると思う。何せあのドラゴンはメンヘラだし、私がアサばかり構えばドラゴンは絶対メンヘる。それに、あのドラゴンを連れ回したら旅も定住もままならなくなる。でもなー、放置してしまうと、絶対地下で暴れるよ。
「桜子、ドラゴンさんのこと、お願いできる?」
「無茶言わないで。私とエリックの関係わかってるでしょ! エリックは今も私に選ばれなかったことを恨んでいるから。それに、私は忙しいのよ。でもそうね。元々スネーク家の問題だし……」
誰かにドラゴン語を教えることもできない。ドラゴン語は本来、桜子みたいな竜騎士やドラゴンと関わりを持つ種族しか学べない言語。私もドラゴン語をできず、神の能力で相手と意思疎通できるように喋れるだけ。だから私の代わりはいない。
私は思わずアサを見てしまった。アサは悲しそうな顔して目を逸らした。
はぁ……。それじゃあアサのせいで困ってるって言ってるみたいじゃない。まあ、実際そうだけど。アサの理想の生活は私との二人だけの生活。けど私が望んでいるのはアサと桜子、あとはソニア、ロッティ、ドロシー、なんなら勇者やセレン達、ドラゴンさんを入れてもいい。平和に暮らす毎日。接待双六だって楽しかった。今度は他のみんなとも遊びたい。お話たくさんしたいし、みんなが話してるところを眺めたい。学びのある会話はしたいけど、しょうもない女子トークもしたい。私は、本当はみんなと一緒にいたい。
でもダメよ。桜子が言ったように、アサは私のためにたくさん犠牲にしてきた。いや、なんとかアサを説得できないかな? ううん。説得なんてしたら、私がアサの味方ではなくなるし、アサは私に嫌われないために自分の心を殺すかもしれない。
じゃあ私は自分の心を殺せばいいの? 流されじゃダメよ。前世と前々世で学んだんでしょ。
いや、それを言ったら前世の教訓でそもそも人を信じてはいけないし、政に関わるべきでもないから今更よ。だから今重視すべきなのは私とアサの気持ちなのよ。
やはり一回アサに相談してみるべきなのでは? でもアサが承諾したとしても、承諾した時点で私が約束を破ったことになるから。
でも、私一応ドラゴンの世話係だから……。




