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戦争介入編 第10話 前 逞しいでございますか?

 宗教国家は本当の意味で宗教国家だった。建物には漏れなく女神の像が建てられており、しかも、全ての像にお供物が置かれてる。大きな女神像の前では、通行人はみんな立ち止まり、短い祈りを捧げる。

 食事はかなり質素で、基本的に肉は食べない。

 旅行に適した国ではない、そう思ったけど……違った。

 

 まず、建物はどれも異なり、それぞれ特徴的だ。例えば、女の子座りの女神像そのものが聖堂で、入り口は両膝。また別の聖堂には、いろんなポーズを取って、表情もそれぞれ違う百体以上の女神像が飾られてる。女神像は全部同じ人の作品だという。

 食べ物も同様、肉料理はないだけに、卵料理、野菜、乳製品にかなり力を入れてる。ご飯もパンもないのに、卵と野菜だけでもちゃんと食べた気がして、満腹感を得られる。菌類をペース状にし、卵液に入れ、茶碗蒸しと似たような料理が国民食。多分チーズも入れてて美味しかった。帰ったら作ってみよう。材料買わなくちゃね。食事を摂る必要のない魔人でも、この世界の美味しい料理を食べれば、人間と共存できたことを思い出せるはず。

 次は服装についてだが、この国の権力者、つまり教会は、肌の露出度を顔を含めて最大30%に定めている。この制限があるため、この国の女性の服はとにかくレースが多い。レースで隠した部分は露出に含めないから。レースベールで顔を隠しながら谷間と片足だけ出すとか、背中だけ出すとか色々工夫してる。

 

 この国の人は結構逞しいと思った。泊まってる宿屋の主人に話を聞いてみたけど、どうやら、およそ二百年ほど前に、教会が定めた厳しすぎた戒律に国民が耐えられなくなり、多くの国民が国を出たらしい。そこである神父さんが立ち上がり、国民を代表して教会と交渉した。

 『女神様も女性であり、女神様自体の露出度はそれほど低くない。女性を男性を誘惑する悪魔にすることは女神様への侮辱』や、『生き物は女神様が人間のために作ったというのなら、人間が雑食性になるように作った女神様は、私達に食べさせるために他の動物や魔獣を作ってくださったではないか』などと、教会の教えを疑うような発言を公開の場でした。その結果として、教皇は退任し、その神父が新しい教皇になった。そして、多くの国民が国に戻った。しかし、新しい教皇は戒律を全て廃止にすることはなかった。戒律は女神様が歴代の教皇に授けったという可能性を否定できないからだ。こうして『戒律を守りつつ、ゆるく生きよう』が、この国の方針となった。

 その交渉自体が教会の自作自演って噂もあるけど。

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