戦争介入編 第9話 前 心地良いでございますか?
「リリーナ、ただいま」
「おかえり」
「あぁ、疲れたよ。報告が終わったら休ませて」
「特に急ぎの報告がなければ先に休んでいいよ」
「えー、まだリリーナニウム吸いたいのに〜」
私も、ずっと寂しかった。アサが私に向ける感情は心地良い。アサが好きていてくれるから、私はアサに遠慮なく甘える。この寂しさを紛らせるの。
「それなら私の部屋に来て。私が膝枕してあげるから」
「え? そんなことされていいの?」
「アサ、なに言ってるの? いいに決まってるよ」
「嬉しい! あ、でも。もちろんリリーナに膝枕されると幸せでしょけど。実を言うとね、リリーナに膝枕されるより、リリーナに膝枕する方が幸せ感じなれると思う」
アサは愛されるより、愛したいのね。……羨ましい。私は人を愛することなんて……。
「あっ」
アサが躓いた。
「大丈夫?」
「大丈夫でございます! さあ、参りましょう」
アサの口調が。緊張してるかな? 膝枕ぐらいで? そういえば膝枕なんて前世もしてないかも。
私がアサの膝に頭を乗せたら、アサは噛み締めるような表情して、恐る恐る私の頭に手を伸ばそうとしては引く。
「触ったら?」
「いいの?」
「うん。恋人でしょ、私達。そんなに遠慮しなくていいよ?」
「あぁ〜 リリーナ〜」
膝枕しながら報告を聞くつもりだったけど。まあいいや。アサに甘いさせて、アサに甘えよ。
その夜、私達は手を繋ぎながら眠りに落ちた。
「私はリリーナに言われたように、監視役として、ドロシーと一緒に聖なる武器のレプリカの出所の情報を探った。まずはアサにトーマスのもとには行ったけど、トーマスも把握はしていなかった。トーマスと契約している情報屋と協力してなんとか尻尾を掴んだ。研究所の所在地は把握したけど、そこを攻め入るのに覚悟が必要なの。何せ、王宮の中なんだし」
王宮、それはそっか。
「その後、私はドロシーと別れて、リリーナにゾンビ化された貿易国の国王と接触した」
あの日のことを思い出した。元帥の息子を、元はキスをして口の中に不死のブレスを吹き込むつもりだったけど、一瞬頭にアサの顔が浮かんたからリスクをとって離れてブレス吹いた。その後、息子を使って元帥を殺し、国王にもゾンビにした。国王の権力は絶対ではなかった。元老院は国王を弾劾できるし、国の方針は王であってもそう簡単には変えられない。私の死霊術なら元老院をどうにかできるけど、死霊術のことあんまり知られたくないし、頼られたくない。剣の勇者には死霊術のこと話してたから、国のトップをゾンビにしてたのを知られたら敵対するかも。セレンも私の死霊術を正しく認識すれば魔界のため私の力を利用する可能性も。女神よ、この力を得たのが私でよかったね。




