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冒険編 第2話 ランクでございますか

 「本当に両方を習得することが出来ないの? 」


 「出来るけど、一つだけ習得するよりずっと弱いよ」


 「それでいい、人前だけ風と土を使わないから、弱くでも大丈夫」

 

 土魔法で湯船を作って、火魔法でお湯を沸かす、完璧!


 偽造身分証明書と言うことは、偽名があるのね。

 

 「アサ、あなたの偽名は? 」


 「あとの楽しみ」


 「あっ、そう」


 ここが冒険者ギルド、なんがお酒臭いな、まだお昼なのに。


 受付嬢だけがこっちを見ている、あたし達は彼女の前に足を運ぶ。


 「こんにちは、冒険者ギルドにどのような御用件でしょうか? 」


 「はい、冒険者ギルドに登録したいのです」


 「では、これを書いてください」


 名前はリリーナ・ナナリー、歳は12歳で、誕生日は八月十日、職業は魔物研究員。


 「では、リリーナ・ナナリーさんとニーナ・アイさん、こっちに魔力を登録してください」


 今何て言った? 


 「ア・・・いや、ちょっとこっちに来い」


 「どうしたの、リリーナ? 」


 「いいから来い」


 きっと聞き間違いだ。


 「アサ、あなたの偽名? 」


 「ニーナ・アイだよ」


 「今すぐ偽名を変えて! 」


 「え?どうして? 」


 「変えて」


 「でもこの名前はリリーナへの思いを・・・」


 「変! え! て! 」


 「無理よ、身分証明書を偽造するのはとても難しい、叔母様みたいな凄腕な魔法使いじゃないと無理よ」


 「・・・・」


 絶対にその名前を呼ばないから、でもどうしてよりによってこの名前だよ!何この悪意しかない名前は? まさかあの神様の仕業じゃないよね・・・


 「あっ、リリーナ、指を貸して」


 「痛っ! 」


指に針が刺さった!


 「はい、ポーション、リリーナの指に魔法石を埋め込んだよ、叔母様のお土産だよ、砂サイズな魔法石、この魔法石はこのサイズで一番容量が大きい、350MAもあるよ、下級魔法なら、三回も使えるのよ」


 でも、下級魔法はゴブリン一匹も殺せないじゃないか。350MAか、下級魔法三回と安眠魔法が使える、普段使っている魔法石と一緒に使うと、五回も下級魔法を使える。アサに下級魔法をおしえてもらうか。


 「ア・・・いや、前に使った竜巻の魔法が魔力をどのくらい消費するの? 」


 「あの魔法? 六万五千MAで出せるよ」


 「・・・・」


 うん、魔法使いにとって、魔力蓄積形魔法石って、ガラクタなのね。一つの魔法で使える魔法石は一つだけ、どんだけ魔法石を持っていようと、中級魔法を出せない。


 「じゃ、登録を続けよう」


 案外簡単だね、速いし、こんなに簡単でいいのか?


 「あ、パーティーに少なくとも一人、十五歳以上の人がいないと、クエストを受注することが出来ないのですよ」


 「え!? 」


 「え!? 」


 これは本気に困った、アサはまだ風と土以外の属性魔法を習得していない、アサだとバレたら味方が敵になるかもしれない。


 「それと、二人は屑ランクです、役立たずランクになれば、十五歳以下でもクエストを受注ことができます」


 「え!? 」


 「え!? 」


 「はい、屑から、ゴミ、役立たず、平均以下、普通、平均以上、頼もしい、格が違うと完璧、九つランクがあります」


 何このネーミングは?いや、違う、そこじゃない。


 「あの、十五歳以上って」


 「そうよ、二人で充分です、こう見ても、あたし強いから、先ずクエストを受注させて、完璧にこなしてみせます」


 「これは規則です、例えあなたは本当に強い、一人でもクエストをクリアどしでも、他の弱い十五歳以下の子供が真似したら・・・」


 「なるほど、でも、実力を測るテストはないですか? 」


 「ないですよ、例え強い魔法を使える、身体能力が高いでも、野外サバイバルスキルや、臨機応変さや、適応力などの能力を測るのは難しい、ですから、大人と一緒に冒険して、経験とスキルを積んで行くわけですよ。受注出来るクエストはパーティーの一番高いランクと同じランクです、高いランクの人と組めば、より難しいクエストを受注出来て、ランクを上がるスビートも上がります」


 「なるほど、分かりました、お邪魔しました」


 「いえ、陰ながら応援しています」


 「ありがとうございます」


 「行くよ、ア・・・いや」


 「リリーナ・・・」


 絶対にその名前を呼ばないから。


 「まずこの町から出るよ、ここで暴れたから、パーティーに入りにくい」


 あたし達はスビードラゴン車に乗って、次に町へ出発した。


 「ね、リリーナ、この偽名、何の問題があるの? 」


 これはあたし前世の名前って、言えるわけない! 


 「とにかく嫌いよ、大嫌い」


 「ごめん」


 「仕方ない、ギルドにも登録したし」


それより、女の子、しかもこんな子供、絶対なめられる。何が方法を考えないと。


「ア・・・いや、これを暗記して」


 「でも、スビードラゴン車は苦手でもう吐きそうだ・・・」

  

 流石スビードラゴン車、半日で次の町に着いた、高いけどね。この町は前のより二倍くらい大きい。


 眠い、先ずは寝よう。


 「ア・・・いや、宿屋を探すのよ」


 「リリーナ、二人きりの時、小さい声でアサって呼んでもいいのよ」


 知っている、でもこれはあたしのあの偽名に対してのささやかな抗議だ。だから、あなたの新しい名前はア・・・いやだ。


 あっという間に宿屋を見つけた、ご飯も食べたし、もう寝ようか。


 「あたしはもう寝るよ、アサも暗記終わったら、寝ていいよ。優雅でエレガントな令嬢、それは水。静謐な水面よ、安らかな眠りをあたえたまえ」


 いつも通り、詠唱が終わったら、すぐに寝てしまう、夢も見なくて済む。


 「リリーナ、おはよう」


 「おはよう、全部頭に入れた? 」


 「ええ」


 「よろしい、じゃ冒険者ギルドに行くか」


 この冒険者ギルドは前の町のよりずっと大きい、それにお酒臭いもないし。


 次はパーティーに入る、どれにしようかな~


 「リリーナ、あそこに人間があるよ、あのパーティーに入ろう」


 「待って」


 騒がしい鬼人がいる。


 「俺は役立たずランクけど、俺にとってこんなクエストはちょろいもんさ」


 「でも、これは平均以下ランクのクエストです」


 「俺はもうすぐ平均以下だ」


 「では平均以下になってからこのクエストを受注してください」


 「チッ」


 こいつにしよう、あたしの男コントロール計画のモルモットにしてあげる。


 「あの鬼人と組む」

 

 「え!? でも、人間と組んだほうがいいじゃないか? 」


 「あの鬼人がいい、それより暗記した言葉を使うのよ」


 「はい」


 あの鬼人もあたし達を気付いた。


 「すごーい、この冒険者は鬼人です、こんなたくましい鬼人冒険者を見るのは初めてです」


 「おお、お嬢ちゃん、分かってるじゃないか」


 「こんな立派な角はなかなか見られませんわ」


 よくやった、アサ、鬼人なら誰でも自分の角が気になってしまう。この鬼人を選んだ理由は、彼はすごく自分に自信を持っている、そしてプライドが高い、でも肯定する人がない。理解者として肯定すれば、簡単に言うことを聞く。この方法は、相手のプライドが高い程、成功しやすい。


 「おお!俺の角の良さに気付いたとは、気に入った、お嬢ちゃん」


 「楽しい人ですね、あなたのパーティーに入ったら、楽しそう~」 

 

 「入らないか? いや、入って、歓迎するよ 」


 「でも、あたし達は弱いですよ」


 「大丈夫さ、俺がいるから」


 「甘えちゃっていいんですか? 」


 男は何時でも頼られたいものだ、それもこんなに甘々の頼り方で頼ると、いちころだな。おかわいそうに、こんなニヤニヤしてて。


でも、なんが、アサを見て、もやもやする。おかしい、アサはあたしの言う通りにしてるのに。


 「もちろん!問題ないさ、俺はオオ二、宜しくな」


 「ニーナ・アイです、よろしくお願いします」


 「リリーナ・ナナリーです」


やはり男のほうがずっとコントロールしやすい。女にプライドをくすぐられるだけで簡単に落ちる。こいつはもうアサにメロメロだな。あんなセリフ、あたしは言えないよ。


 でも、癪だ、あたし以外の人間にそんな顔するな!


 この後、あたし達は役立たずランクのクエストを受注した、内容はオーガを倒す簡単なクエストだ。


 帰り道であの鬼人の自慢話を聞くのが一番大変だ。


 「その時、俺はオーガを簡単に両断した、オーガなんて、十匹でも、百匹でも簡単なもんさ」


 今俺かっこいいとか、モテ期がキタとか、絶対考えてるよね、なんて単純。


 「へぇ~すごーいです」


 「それ程でも~あ、そうだ、ニーナちゃんのランクは? 」


 「あの、ちょっと頼ってもいいですか? 」


 「おうよ! 何でも言って! このオオ二様にお任せあれ! 」

 

 「あたし達はまだ屑です、一刻も早く役立たずに上がりたいのです、手伝って貰ったら嬉しいのですが」


 「任せっとけ! 」


 「頼もしい、流石役立たずのオオニさん」


 この褒め言葉、なんが違う、まぁ、嬉しそうだし、いいか。


 ふふ、馬鹿みたい。男はプライド高い生き物で、女の子に頼って欲しい。利用価値がなくなったら、ポイ捨てされるのも知らずに。


 ここまで、全部計算通りだ、でもこのイライラする気持ちは一体? いや、アサに手札を見せているからよ、きっと。


皆さん、異世界ファンタジはお好きですか? どうして異世界ファンタジを好きになったのか、考えたことありますか? 


 人間、特に男性の心に闘争本能が眠っています、けれど、この平和な世界で戦って欲しい欲望を満たすことが難しい、ボクサーに成れなければ、いじめしかないね。


 人は暴力が好きです、エンタテインメントがない古代に、処刑さえ娯楽になれる。でも、今みたいな平和な時代にそれも出来ないのです。


 男は強くなりたい、でもこの世界ではどんなに強くになっても、ボクサーに成る以外、身体能力を活かせる仕事はあんまりいませんね。


異世界に行けばあの世界がない知識を応用出来るし、他の誰も持っていない能力が与えられるし、召喚されたら、勇者として世界を救うこともできる、頭の良さ、運と生まれが全てを決めるこの世界より、異世界が全然素晴らしいではありませんか?


あたしも異世界に行きたい気持ちをよく分かります、ですから、あたしは、くだらない幻想を止めて現実に帰りなさいみたいなぶすいなことを言いません、けれど、この世界のこともちゃんと見て欲しいです、皆さんがこうやって電子機器を使って小説を読むことも、歌を聴くことも、ゲームをするのも、この世界にしか出来ないことではありませんか?


この物語の世界観によれば、転生したら、記憶を承継しない限り、前世の記憶をなくなるのです、勿論この世界に行きたい理由も忘れてしまうのです、でも、確かにこの世界に行きたいから、この世界を選んだと思います、ですから、皆さん、この世界の生活も大切にしてください、この世界は思ったより悪くないかもしれませんよ。


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