表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
253/314

戦争介入編 第2話 後 メイドでございますか?

 これが最後の潜入になるといいな。人間の目的もはっきりにしないと、停戦させるのは難しい。何せ、戦争の理由は基本的に利益が絡むもの。


 それにしても……。思ってたよりずっと酷かった。硝子は殆ど割れてるし、元帥邸が隣国の無名な貴族の紹介状しか持ってない私でさえ雇わなければならないだなんて。まあ、暴動の標的になる屋敷で働きたいなんて物好きはそうそういないと思うし。

 私の責任では……あるけど。でも、あくまでも非暴力不服従な手段としてデモを選んだわけだし。暴動になったのは予想外。全く人間って……。いや、どうあがいても責任は私にある。考えが甘かったなんて言い訳として最低な部類だ。だからちゃんと成果を出さないと。

 

 今回は私一人で潜入する。みんなには反対されたけど、アサは人間の国では顔が割れてる。今回は私一人で頑張るしかない。


 潜入期間は最大三日。運を全部抜き取れば三日以内で死ぬから。問題は家族もゾンビにするかどうかだ。

 息子三人の五人家族で、奥様は元帥と同じ部屋で寝るし、ゾンビバレするから殺すしかない。息子達は元帥との関係の良さや距離によって殺す必要が出るかも。それが暗殺ではなく、潜入にした理由。

 

 ごめんね。ゾンビにするしか、機密情報を得る手段がなくて。


 三日だと思ってたけど、元帥が忙しくてまだ暫く帰って来ないらしい。

 元帥の帰りを待つ私の仕事は一番下の子のお世話。あの暴動で大怪我をした。そのことがトラウマになって彼は人や音に怯えるようになった。

 年齢が近いことから、私は彼の専属メイドになった。


 コンコン。

 「だ、誰だ……?」

 怯えた声。う、罪悪感が……。

 「失礼します。本日よりレオン様の専属メイドに任命されました、リサと申します。包帯の交換に参りました」


 あれ? 人と目を合わせられなくなったって聞いたけど、なぜか見つめてくる。一目惚れとかやめてね。

 いや、関係ない。罪悪感はある。だからと言って被害者の誰か一人に償うつもりはない。最悪の場合彼をゾンビにしないといけないし。


 「失礼します。痛かったら教えてくださいね」


 痛々しい……。私の決断一つで一人の人生にこれほどの影響を与えてしまうと思うと……。いくらアサとの約束で一年しか……いや、他人を言い訳にするのはやめよう。ちゃんと見るべきだ。これが私の罪だと。


 「終わりました。では、失礼いたします」

 「名前……」

 「はい?」

 「名前、もう一回教えて」

 「リサと申します。どうぞよろしくお願いします」

 元帥の帰りを待ち、運を抜いて三日待ってゾンビにするだけの簡単なお仕事。うまくいけば元帥経由で国王をゾンビにすることも。頑張らないと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ