戦争介入編 第2話 前 前向きでございますか?
「方法か。その前に、色々説明させてほしい……弁解として受け取っても構わない」
「ああ。どうぞ」
「まず、犠牲者が沢山出したのは心苦しいし、こんな結果になったのは不本意で遺憾に思っている。でも、それほど後悔していない」
「何!?」
低い声……。相当頭に来たらしい。
「何故なら、軍を撤退させ、戦場をドラコンのブレスで封鎖できたのはやはり大きい。結局あのまま放置しても戦死者は沢山出る。平民でも軍人でも同じく、命に変わりはない」
「でも、君ならもっといい方法を考えたはずだ」
「それは買い被りすぎ。そもそもみんなはどうして私をリーダーに選んだの? 私が問題を解決できるから? 違うでしょ。私がみんなの架け橋になって、折り合いをつけさせられるからでしょ」
「ああ。リリーナはよくやってきた。よくやりすぎて甘えが出るくらいにね。だからここにいる魔人はみんなリリーナちゃんを信用するし、リリーナのせいにして楽になろうなんて考えない」
でも丸投げはする。
「……」
「セレンさんありがとう。それと、今回の作戦も、結果が出るまでいい作戦に思えたし、別の作戦を考えたとしても、また別の悪い結果を招いたかもしれない。私を責めるのは構わないけど、私達が目指してる目標は同じだということは忘れないでほしい」
「リリーナ……っ!」
剣の勇者は申し訳なさそうな顔にしてた。桜子が拍手を始めると、それに続いて他のみんなも拍手始めた。アサは桜子に対抗するように強く拍手した。そして桜子も負けじと更に強く手を叩いた。
「アサ、さく……クネス、ちょっとっ!」
「「あっ、ごめん」」
二人ともショボンした。
「最後に、その人達は犠牲になったけど、それはその人達の意志よ。私はデモするように煽ったけど、軍の要人や貴族の屋敷を襲う指示を出していない。私はきっかけを作ったにすぎない。遅かれ早かれその人達はそうしたかもしれない」
「そうだそうだ! リリーナに謝れ」
「……悪かった」
「あっ。謝ってほしいわけではなく、この状況を利用しよって言いたかったの」
「というと?」
「生き残ったみんなを支援し続けることで、このことをもっと広く知らせて、国に不信を抱かせて戦意と士気を下げるの」
「そしたらまたその人達が国に狙われる! また人が死ぬんだぞ」
「残念ながら、この局面では血を全く流さず戦争を止める都合のいい方法なんて私には思いつかない。どのみち、私たちが何をしようと、その人達はもう止まらないし、止められない」
少なくとも、魔石以外の人間が魔界と戦争をしたがる理由を知れば何かが変わるかもしれない。




