戦争介入編 第1話 後 甘さでございますか?
「リリーナちゃん! この犠牲は想定済みだったのか?!」
「……いいえ」
提案者も責任者も私なんだから、責められるのは当然として……。
私は自分を客観視できると考えてる。他人に無関心……冷血って言ってもいいかも。でもこんな結果は望んでいなかった。正直、世論的に武力鎮圧してくれた方がありがたいと、この消息を聞いてそう思ってたし、犠牲を出しても撤退させたのは大きいって思ってた。
それでも……! どんなに理性的でいるつもりでも、感情はそう簡単に捨てられるものじゃなかった……。
そもそも、この結果を招いたのは、私の判断の甘さだ。立案した時、武力制圧なんて全く頭になかった。ちゃんと考えばわかるはずなのに! 武力鎮圧のが手取り早いし、抑止力にもなれるって! なのに、相手の対応の想定が甘かった。精々逮捕されると思ってた。私は、甘かった……。
「くっそ! 今こうしてる時でも僕達のせいで命を落とす人がいる!」
剣の勇者は席を立ち、出口へ歩き始めた。
「どこにいくつもりだ?」
セレンさんはすごいよ。さすがに魔界のトップなだけある。私じゃ勇者を止めることはできない。
「止めに行くんだよ! 当たり前だろう!」
「あんたが行ってどうする? 失踪した勇者が! 人間を裏切ったと思われた勇者が行ったところで、何かを変えられるというのか!」
「じゃあお前が手下の魔人を止めに行かせてくれよ!」
「……それはできない。距離もあるし、魔人の軍が簡単に人間の領域踏み入れるはずもない」
「獣人は?!」
ロッティは目を逸らした。
「ドラゴン!」
桜子は目を逸さなかったけど。
「傭兵は?」
「結局戦闘になって犠牲者更に増やすだけよ」
そう……ケルベロスはあくまでも抑止力として戦いを止めるためだけの組織。革命軍でも、テロリストでもない。傭兵が国内で攻撃を仕掛けると、デモ参加者もそれに参加し内戦へと発展してしまう。もっと沢山の人が巻き込まれて死ぬ。もちろんゴーストはそんな機会を見逃さない。
「本当に想定してなかったのか! 僕の友をアンデットにした君が!」
「実行する前、リリアちゃんはみんなに報告しただろう! お前も、俺も、ここにいるみんなも反対しなかった! 今更リリアちゃんだけのせいにするな!」
「わかってる! 誰のせいにするつもりは……するつもりじゃなかった! ただ……」
「気持ちはわかるよ。俺も勇者なんだから」
「リリーナちゃん。また丸投げしたような形になって申し訳ないが、何かいい方法ないのか?」




