戦争介入編 第1話 前 策に溺れるでございますか?
リーダーと言っても実は実権全然握ってないなのよね。何せ、この組織は色んな種族が揃ってる。リーダーというより、まとめ役って言った方がしっくりくる。みんなを納得させるのは面倒だし、やり辛い……。
それに、ケルベロスに入ってくれたみんなは、人間側に限らず、魔人側でも厭戦的な人が殆どで、戦力として数えられない。だから、納得させても、勇者と魔界の幹部達をあやす必要があった。私が抜けた後、こいつらは本当にやっていけるのかなって心配になっちゃう。
ゴーストに付いた魔人はどうしようもないから、とりあえずドロシーに引き続き人間の国で反戦デモを進ませようにお願いした。いつものように、影響力のある人物を複数、大金で雇い、民衆とケルベロスに入った人を扇動して国を混乱させようにって。
今回私も旅商人のふりして視察に行ったんだけど。全く、人って本当に馬鹿なのよね。特に若者が。
インフルエンサーって言っていいのかな。雇った人の中、若い者の中でも特に影響力のある人がいて。その人が本当にうまくやってくれてた。目立ちすぎず、検証の難しい陰謀論をあたかも真実のように拡散させられた。いい勉強させてもらったよ。
トーマスの物資の支援もあってデモは長く続いてる。
さらに言えば、物資のためにデモに参加した人も結構いる。
若者沢山いるから、デモ活動で友達を作った人もそこそこいる。夢を共有するって言うのかな? みんな盛り上がってる。そのせいか、軍の関係者や貴族の屋敷を襲うようなアホも現れた。
まあ、助かったけどね。おかげて、デモを沈静化するために、軍の一部を街まで呼び戻した。
そのおかげで、人間側の前線での兵力が減少し、優勢だったけど徐々に互角になった。
魔人と違って、人間は食事を摂る必要があるし、戦士の負担も増え、疲労が蓄積していく。ゴーストの固有魔法は魂を媒介に発動することで強くなるし。人間側苦戦を強いられた。
と言っても、魔王警戒しているのか、残り勇者二人は戦場に姿を見せていない。各国も各々の最大戦力を投入したわけじゃない。一枚岩ではないか、何か策があるのかを調べるのは今後の課題ね。
結果からいうと、人間側は撤退余儀なくされた。引き際を弁えてるいい司令官がいるみたい。もちろん魔界側はこの好機を見逃さない。そこで我々の出番ってわけ。トーマスの財力で雇った傭兵で魔界軍を人間側と挟み撃ちの形になって魔界軍を強襲した。それが功を奏し、魔界軍も一時撤退した。
戦場になってた場所を桜子のドラゴンのブレスで汚染し、誰も近寄れないようにして、無理矢理一時的に休戦させた。
そんな中、喜びに溢れてたケルベロス本部は一つの知らせて最悪の気分に落ち込んだ。反戦デモは武力鎮圧されて、沢山死者が出たと。




