冒険編 第1話 不安でございますか?
遂に町に着いた、こんなに歩いたのは初めてた、足が痛い、早くお風呂に入りたい。あっ、お風呂と言えば、そうね、アサと一緒に入ることになった。
この町は魔人の町だ、魔人とは、人類以外に知能を持つ生き物の総称だ。ちなみに、貧乳が好きだそうだ。
この町の皆さんの頭に角が付いている。
「お嬢ちゃん達、身分証明書になるものはあるかい?」
「あるよ」
「リリーナ・ナナリーと、アサ・オカン、アサ・オカン、そう、あなたが・・・」
「どうしたの?」
「いいえ、何でもない、さぁ、町に入って」
足が痛いから、先ずお風呂に入るべき。
服をぬいて、ん、視線を感じる、はぁ、想像はしたけど、まぁ、いいか。でも、ちょっと恥かしい、顔を見せないようにしなっきゃ。
「リリーナ~」
肩つかまれた、あたしどうして顔を隠している、体を隠さないと、でもなんか、体より、顔隠さないといけない感じがする。
いや、顔は逸らせばいいのよ、体を隠そう。
「あたしをちゃんと見なさい、リリーナ!」
今度は顔がつかまれた、見られた、今あたしの顔はきっと真っ赤になっている、もっと恥ずかしくなった。
「あ~リリーナ!」
顔近い! なにこの表情は? あたしはそんなに愛しいのか? 12歳の子供がこんな表情するの? それも友達に向けって・・・
「寒いからもう入ろう」
「ええ」
どうしてそんな顔になるの?まさかあたしのことが好き、じゃないよね・・・いやいやいや、そんなはずない、子供だし。見た目は子供 、頭脳は大人なあたしはこんな汚いことしか考えないのか?いや、ここは先ず子供と言う先入観を置いて、いや、でも、だた妹が欲しいかもしれないし、いずれにせよ、あたしに好意を抱くのなら、コントロールしやすい。
「リリーナ、どうして冒険者になったの?」
「そうね・・・」
桜子を探す為、本当にそう言えるか? 本当はただこの世界で生きる目標が欲しいだけじゃないか? ただ元の世界に戻らないから、桜子がいるこの世界に来ただけじゃないか? この世界に来たから、桜子を探さないと意味がない、だから桜子を探す。
「生きる為に・・・」
「え!?いや、でも、冒険者には危険が伴っているよ」
死んだほうが楽になれるかもしれない、どうしてアイとニーナの記憶まで承継したのよ! 前世の記憶なんで要らないよ、お陰でこんな人間不信になったじゃないか。
「アサが守ってくれるじゃないの? 」
「ええー!ええーーあたしが守るから !」
「じゃそろそろ上がるか」
「リリーナ、ご馳走様」
「いや、自分の分のお代は自分で払えよ」
「勿論よ」
「じゃ、上がるか、宿屋を探さないとね」
アサはお金沢山持っているけど、あたしはあまり持ってない、やすい宿屋探さないと。
「リリーナ、ここにしますか?」
こいつならきっとこの宿屋を選ぶと思った。
「駄目、ここ高そう」
「あたしはリリーナの分を払う、それでも駄目?」
「いや、あなたがあたしの分まで払う理由がない」
「それは違う、あなたをあたしのわがままに付き合わされて、あたしが払うのは道理だろう」
「そう言うのなら・・・」
「あの、お客様の銀行口座は凍結されています」
「え!? どうして、先まで使えるのに」
「お客様、お金がないのなら・・・」
「現金で払うわ」
おかしい、銀行口座は凍結されているし、門番もなんがあたし達のことを知っているみたいだし。まさか・・・
「居たぞ、アサ・オカンだ!」
あっ、やはりか・・・アサは、家に内緒しであたしと旅立っただな。それにしても、人多い過ぎない? 女の子を相手に、こんな人数要るの?
「紫色の子は生きたまま捉えろ、黒いの殺しても構わん」
はい、アサのせいに決定!
「アサ」
「リリーナ、皆殺すのはちょっと・・・」
「違う、一人だけは気絶させないでと言いたいだけ、情報引き出すの」
いや、待って、またいいこと考えた、こんな状況になったのもアサのせいだろう、もしあたしが怪我でもしたら、アサはあたしに対しての罪悪感に溺れて、もうあたしの言葉に逆らえないだろう。
でも、本当にいいの? アサの人生を滅茶苦茶にした上に、こんな形でアサにしたくないことをするように脅して。
でも怖い、もしアサに裏切ったら・・・あたしは不安なのよ、とっても不安だ、大好きって言われてもな、一緒に冒険者になるか、普通! 進学先が違う恋人もよく別れるじゃないか? ただの友達の為に冒険者になるなんで、それも貴族・・・ごめん、アサ、あたしはどうしても安心したいのよ!
これを最後にする、もう二度とこんなことしない、いいでしょう?
そうと決まったら、しようか。でぇ、アサに何あげるの? 腕? 足? それとも顔に傷を付けるの?
「自由でマイペースの少女、それは疾風。風の拳よ、螺旋を描くように、敵を退け。」
もう戦闘が始まったか、いや、もっとえぐいことを考えた、別に永久性の傷を残さなくでも。力をオンにする、ふむふむ、敵全員の体が同じ形の赤黒オーラがある、多分アサの魔法を喰らったら、この形の傷が出来るだろう。
自分の体で同じ形で運を抜くか。
「逃がさない、この魔法は追尾なのよ」
あの野郎こっちに来た、逃げても無駄、あたしより速い、あたしを盾にして、痛い!
「リリーナーーーっ!」
あたしは意識を失った。
知らない天井、消毒液の匂い、上手くいったみたい。
「今何時? 」
「夜の八時だけど、リリーナは三日くらい寝たのよ、本当にごめんなさい、リリーナ、守ると言ったのに」
「痛かったよ」
「ごめんなさい」
「やはりアサはあたしを殺したいのか? 」
「それだけはあり得ない」
「アサはあたしを裏切るの? 」
「そんなことしない、ねぇ、リリーナ、どうしたらあたしを許せるの? 」
またまた計画通り!
「そうね、あたしの願いこと、全部叶ってくれると言ったよね? 」
「言ったよ」
「じゃ、先ずはあなたが持っているお金を全部あたしに管理させろ」
「ええ、いいよ」
思ったよりあっさりとするな。金がなければ、あたしを置き去りにすることも出来ない。
「どれくらいあるの? 」
「四十万くらい」
思ったより少ない、普通に暮らせば大金けどな、交通費がバカ高いから四十万はちょっと足りない。
「ちゃんと、一人残ったの? 」
「いいえ、あの連中、皆殺したよ」
「殺したって、アサ、あなた、前に人を殺したことある? 」
「ないけど」
やっば、アサを人殺しにした、アサの魂を汚れてしまった。これでアサの点はマイナス一万だ、どうしよう?
「ごめん」
「リリーナが謝ることじゃないよ、それに、大丈夫、情報はちゃんと引き出したから、あの連中は賞金稼ぎで、あたしは賞金首で、リリーナは巻き込まれて」
自責的な言い方。
「アサ、あたしの傍から離れないで、この傷を負わせた責任、取って貰うから、覚悟して」
「リリーナ! 死んでも離さない」
これでコントロール計画は完成かな、もうそんなことしない、あたしも罪悪感が湧いてきたから。
「アサ、手配されていると言ったよね」
「ええ」
「公開された情報は? 」
「名前、顔、歳と髪の色、特に魔法の属性が特徴されている、ちなみに、懸賞金は一千万G、でも、あたしが死んだら、懸賞金が貰えない」
「そう、オカン家が懸賞したのね」
「ええ」
「アサ、偽造身分証明書を作ることが出来る? 」
「もう持ってる、リリーナが寝ている間に伯母様が来た」
「そう、それと、アサ、依頼を受けないといけなくなった、後であたしと一緒に冒険者ギルドに行こう」
「だめ、リリーナを危険に晒すわけには・・・」
「あたしが足手まといと言いたいわけ? 」
「いや、ただ、リリーナの傷つくことが二度と見たくないだけ、これはきっと報いだ、あたしがあんなことばかり考えるから」
「え!? どういうこと? 」
「とにかく、依頼はあたし一人で受ける」
これは駄目、養うされるのはいや、ヒモオみたいな人なりたくない、それにあたしの力があればもっとリスクが少ないはず。
「あたしはあなたのペットなの? それともあたしを守る自信がない? 」
「リリーナ・・・わかった、あたしが守る」
「それともう一つ、変装すること、今使える属性って風と土だけ? 」
「ええ」
「他の属性を習得出来る? 」
「火と水なら一つ習得出来る」
火と水か? どれにしようかな~火なら料理出来る、水ならお風呂入れる。
迷うな。
皆さんの良い人と悪い人の判断基準は何ですか? あたしなら、罪悪感で判断します。 悪いことをしたら、罪悪感を覚える人はいい人、覚えないのが悪い人。
罪悪感を覚えない人は他人の気持ちを分かるようとしない、人の立場から考えるようとしないです、だから、手伝うしようとしないし、悪いことをしてもなにも感じないのです。
こう言う考え方をすれば、アサも、リリーナもまだ良い人ですね。