ピースフルケルベロス編II 番外編3 旅行でございますか?
第13話後編も同時に投稿したのでお忘れなく。
「賑やかだね」
「さすか貿易国家というところか」
この機に貿易国家の視察もしたかったけど、一応旅行という名目で来てるから……。アサはそういうのに敏感そうだし。とにかく、今は目一杯楽しもう。
国柄とういうかとにかくこの国のみんなが馴れ馴れ……フレンドリーで、人に会うたび挨拶する。あとこの国の人はとにかく博打が大好き。例えば、お店で食事していたら、壇上に誘われて大食い競争に参加させられた。断れない雰囲気だったから、いやいや参加したけど、負けても私に賭けたみんなは怒るところか、食べ方が上品で可愛いと褒めてくれた。相手に悪いと思ってたけど、その人も笑顔で「貿易国家へようこそ」って言ってくれた。ちなみに大食い競争に参加したから飯代はタダだった。
食べ物もとっても美味しかった。この国の主食は私の知らないいくつかの野菜を押し潰し、肉と香辛料を混ぜ合わせて、多分蒸した料理だと思う。肉の代わりに魚などの水産物から果物まで幅広い食材を取り入れた、家庭や店ごとにレシピが異なる国民的な料理らしい。ちょっとコッテリすぎたから、機会があれば果物入れたのも試したい。アサはこっちの方が好きみたいだけど。
アサもアサで満喫してた。魔力の回復にいい鉱石の上に横たわり、冷たい岩盤浴みたいなのもあったし、魔獣と触れ合える動物園ならぬ、魔物園みたいなのもあった。
「えーもうちょっとこの国にいようよ」
「ダぁーメ。私たちには使命があるでしょ」
「リリーナのケチ!」
「あのね……」
「わかってるけどさー。すごく楽しかったから! このまま永遠にリリーナと二人でいたい、こんな生活がいつでも続ければいいなと思ってるの」
「そのためにも世界を平和にするでしょ」
「それはそうだけど……もー! わかったよ! その代わり! 明日一日、恋人、いや、夫婦みたいに過ごしたい!」
「はいはい。わかったわかった」
「はいは一回!」
「アサ……」
アサの朝キスからはじまるその日はずっと恋人繋ぎしてた。すごく注目されて結構恥ずかしかった。食事する時もあんされた。寝る前におでこなんてくっつけてきたし、寝る時は抱き枕にされて大変な一日だった。みんなとの何気ない毎日も好きだけど、アサとの特別な日々がずっと続ければいいと私も思えるようになった。なってしまった。これがアサが私に求めた愛情かどうかはわからないけど、今の私は幸せ、そう思えるようになったかも。アサ、ありがとう。




